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「すぐ殴られる」国士舘高剣道部のスクハラ体質

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■体重が激減。医師の診断は「適応障害」

Aさんはこの日の夜、友人に携帯電話を借りて父親に電話した。父親によると、言葉をうまく発することができず、嗚咽する時間が長かったという。それでも少しずつこれまでの経験を話そうとする息子の様子に、尋常ではないものを感じた。このため父親は、埼玉県に住むAさんの祖父母に保護してもらった。

Aさんの診断書。病名に「適応障害」とある。

6月7日に病院で診断を受けたところ、「適応障害」との診断を受けた。その後、駆けつけた父親がAさんに会ったところ、顔つきが変わり、体重が激減していた。自宅に戻ってからも、なかなか布団から起き上がることができず、しばらくは布団とトイレを往復するだけの日々を送った。

さらにAさんからは、監督から「竹刀の置き方が悪い」として後頭部を平手ではたかれたり、「試合内容が悪い」としてこめかみを拳で殴られたり、といった体罰を受けていたことを聞いた。

Aさんが適応障害に追い込まれたことは、剣道部員の保護者の多くは知らなかった。親元を離れて寮生活をしている部員が多く、その大半が携帯電話を没収されていたため、情報が入ってこなかったのだ。

■部員を「ゴキブリ野郎」「奇形児」と呼ぶ

それでも有志の保護者が監督のハラスメント行為について調べ始めた。すると、Aさんに対してだけでなく、監督が傘や竹の棒、木刀、太鼓のバチでたたくなどの暴力をたびたびふるっていたことや、ケガをしても監督の同級生が経営する接骨院にしか行かせなかったことがわかった。

加えて、部員を「ゴキブリ野郎」「奇形児」と呼ぶなど、言葉の暴力によって部員を恐怖で支配していた実態が浮かび上がった。

部員たちは調査に対して「このままの状態がエスカレートすると自殺者が出ると思います」と答えた。そして「後輩たちに悪影響を及ぼさないためにも、監督と部長には部活動に関わってほしくない」という声が大半だった。

■半年間は謹慎させるが、その後は監督にも復帰させる

国士舘高校もAさんの父親から「どうしてこんなことになったのか調べてください」と連絡を受けてから、校長や各学年の主任が中心となって調査した。

その結果、Aさんへの「行きすぎた指導」「過度にやりすぎた指導」と、その他の部員への暴力の事実を認め、6月25日には「7月1日から半年間、剣道部の監督と寮の舎監の職務を謹慎させる」という処分を下した。一方で、学校の授業はこれまで通り担当させるとした。

謹慎処分を聞いたAさんの父親は、「処分が軽すぎるのではないか」とすぐに学校に抗議した。半年後に監督に復帰させるというのは、その場しのぎの対応に思えたからだ。なぜ学校側の処分は軽かったのか。その真意は7月18日に初めて開催された保護者説明会で明らかになった。

■「高校で強くして大学に行かせたいから付属にしている」

説明会では、まず校長が経緯を説明した。調査によって確認できた事実を報告しているのだが、ところどころで言い訳のような言葉が並んだ。たとえばAさんが法学部への進学を希望したことについて、校長はこう発言した。

「本人の希望が一番ですが、特に柔道、剣道は、中学・高校・大学と言われます。中学で強くなってもらうのは、それは高校に来てもらいたいから付属を作っている。高校で強くして大学に行かせたいから付属にしているわけです。柔道部もそうですが、強くてレギュラーだった子が、どんどんよそに行ってしまうと意味がないということで、経営者からもそれは方針が違うだろうと言われることもあります。付属はそういうことになっていると思います」

そして剣道部の部長を務める教員は、終始監督をかばった。

「なぜ厳しくするのかというと、先生もうちの卒業生です。何よりも子どもたちへの思いがあります。強くするのもそうですし、人間的に成長させたいからです。愛情も持っております。確かに厳しく、だめなときにはそういう言葉を使うこともあります。ただ厳しいだけではなく、いい成績を出した者、頑張っている者にはご褒美もあげることもあります」

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