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クリエイティブ (広告)よ静かに眠れ

インターネットやソーシャルメディア、そしてモバイル化したデジタルデバイスの普及と共に人々のコミュニケーションの仕組みが現在進行形で変化している現在。広告やマーケティングもその変化に追い付いていく必要があるはずですが、今回はそんな最中、米国で人気の、最先端の広告業界を舞台にしたテレビ番組の登場人物たちのセリフが余りに前近代的であることに業を煮やした筆者が語る広告についてのお話を。 — SEO Japan

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注意: もしあなたが、皆の意識を中断させ自分の製品やサービスやアイディアに気付かせるために膨大なお金を費やすことに夢中になっているなら、この記事は読まない方が良い。あなたが気に入ることはない。

マッドメン』、『ウォーキング・デッド』、『キリングAMCは過去20年で最高のテレビ番組を作ってきた。だから、彼らの最新作『The Pitch』の予告を見た時、私は早くも引き付けられた。

2日前の夜、私は犬を散歩させ、飲み物を手にし、お気に入りのブルーのカウチに腰を下ろして、AMCがもう一度それを私にすることができるのかを確かめた。

The Pitchは、二つの広告会社が大きなビジネスを勝ち取るために戦うのを追ったドキュドラマだ。

素晴らしい番組だ。

私の意見では、昔ながらの広告の死を記録したものでもある。

私たちの愛するいとこのご冥福をお祈りする。

セールスにおけるクリエイティビティの神話

The Pitchのパイロット番組は、ポテンシャル・クライアント(Subway)が自分たちの求めていることを両方の会社に説明するミーティングから始まる。このプロセスのカーテンの裏を見れるのにはワクワクするが、その要素は、両方の会社がキャンペーンを作るためにすぐに自分たちのオフィスに飛んで帰る時に急速に低下する。

“クリエイティブな人たち”が“クリエイティブな”アイディアをそれぞれのテーブルで投げるシーンの合間で、私たちはこのような広告主からの見解を聞かされる…

私たちは、安全策を取ることではなく、これまでに誰も見たことがないことをすること、クリエイティビティを誇っている。


は?オーディエンスに話しかけ、彼らに売り込むことは、主として、賢明にも見込み客の頭の中ですでに起きている会話に加わることの練習である。それは、オーディエンスがすでに使っている言語を使うことだ

“これまでに誰も見たことがない”ことを作り出すこと―その発言の誇大表現はさておき―は、アミューズメントパークの乗り物もしくは花火大会ではうまくいくが、セールスの過程においては命取りである。

ここでもう一つ“クリエイティブな人”からの宝の言葉を紹介しよう…

私たちはクライアントにリスクを負うことをお願いする。なぜなら、私たちはリスクを負ってきたからだ。


はあ。クライアントは、自分たちの商品を売りたいのであって、“リスクを負いたい”わけではないのは確かだ。それに、あなたがリスクを負ったことがあるかどうかなんて誰が気にするというのか?本当に、誰も気にしない。

コピーライターは、ある製品を所有すること、あるサービスを使用すること、あるアイディアを探索することの恩恵を伝えるためにお金をもらっている。私たちは、リスクを負うこと、それが何を意味するにしろ、そのために支払われているわけではないのだ。

私は、クリエイティビティ、そして技術には賛成である。私は、人生の大部分をそれ真剣に追及することに捧げてきたが、販売のこととなると、これらのタイプの会社によって考えられているクリエイティビティは、助けと言うよりも障害である。

私たちみんながテレビで3つのチャンネルを見ていたあの頃、『The Dukes of Hazzard』のシーンの合間に詰まったクリオ賞を撮った広告が私たちの注目を集めたかもしれないが、それは、放送されていたのがそれだけだったからに過ぎない。

そしてその頃でさえ、こんな言葉があった:

売れなければ、それはクリエイティブではない。~ デイヴィッド・オグルヴィ


ゲームは変わったのではなく、消失したのだ

最近、テレビと産業の混合の終わりについて話している中で、Seth Godinはこう述べた:

…そのモデルはとてもシンプルだった。あなたは100ドルをテレビ広告に突っ込んで、110ドルの利益を得た。そして、これが35年の間、真実だった。マッドメンは良い広告についてではなかった。たくさんの広告をただ出すだけで、支払った以上のお金を稼ぐことができたことが分かっている。そして、ここ数年で、そのすべてが崩壊したのだ…私たちの経済全体の土台が消え失せた。


もしあなたがブランド広告を大衆に投げ、何かが突き刺さることを期待しているのなら、あなたはすでに終わった試合をしている。消費者はボールを手に家に帰ったのだ。

確かに、多国籍企業はいまだに、もはや存在しないフェンスをめがけてホームランを打とうとしているが、今彼らはクリエイティブな広告キャンペーンをひと吹きする数百万を持っている。そして、数百万を使うのは気持ちが良い。ダウンタウンにある自分の広告やテレビで自分の広告を見ることは、戦略的な勝利のように思う。少なくともあなたは何かをしているのだと。

私たちが気にかけているのは、これが中小規模のビジネスに送るメッセージだ。もしかするとあなたはこれらの戦略を見て、メディアに投げられたそのお金が自分の見込み客に手を伸ばす唯一の方法だと理解しているかもしれない。

そうではない。

Jaredの皮肉

The Pitchのこのエピソードを見るというフラストレーションの中で、私はJared Fogle(註:ファストフードマニアだった一般人の彼がSubwayのサンドイッチのみを食べることに生活を切り替えてから体重が劇的に痩せたと話題に。さらにSubwayが広告塔として彼を雇った所、売り上げが倍増した。)について考えずにはいられなかった。

そう、古き良きJared、彼がSubwayを食べることだけでどのようにそんなにも体重を減らしたのかという魅力的なストーリーを繰り返し私たちに教えてくれた男だ。

それは売れたストーリーだった。

Jaredのキャンペーンが継続している間、Subwayの売り上げは2倍以上の82億ドルとなった。2005年にJaredがSubwayのスポークスマンを外れると、すぐに売り上げは10%落ち、Subwayはすぐに彼を連れ戻した。

30秒フォーマットの中で可能な限り、それはたくさんの優れたコンテンツマーケティングの基本要素を統合した。それは役に立った。それは感動的だった。それは教育的だった。それは、広告賞ではなく恩恵についてだった。

Jaredの素晴らしいストーリーに目をつけ、それを10年間使った会社が今、飢えたアーティストであることを心に描いた“クリエイティブな人”と一緒にゲームをしたがっているという皮肉は、そんなに素晴らしいものに思えなかった。

成功するアプローチへの3つのステップ

この公式は、かつては、お金×メディア=ビジネスだった。

新しい公式は、時間×メディア=ビジネスである。

つまり、全ての会社がメディア会社であるということだ。

これは現実世界ではどのように見えるのか?ここで継続する“キャンペーン”を作り出す3つのステップを紹介する:

  1. 役に立つ、教育的で楽しいコンテンツで最小限の有望なオーディエンスを築く。
  2. 彼らのフラストレーション、恐れ、問題、願望を注意深く聞く。
  3. それらに役立つ製品やサービスを作ったり採用したりする。

これは、とてもシンプルだが実行するのは大変難しい戦略だ。しかし、絶対にその価値はある。

もしあなたに十分なお金があったなら、古き良き時代ブランド広告は、いともたやすい本当に良いことだった。その時代(そしてその世界)はとっくにいなくなり、私たちが今生きている世界のチャンスは過去をちっぽけに見せる。

もう一度Godin氏からの言葉を…

私が登場した時、私が言うべきことを聞いている人が私には100万人(もしくはそれ以上)いるという考えは常軌を逸していた。しかし今、それを望み、長い間力を注ぐ意思があり、幸運をつかむ人なら誰でもそれをすることができる。


もちろん、いいところは、大部分の会社には100万人のオーディエンスの必要性がないことだ。あなたのビジネスによっては、その数字の一部分が、あなたの望む年月の間あなたを忙しくするだろう。たった1つの真の疑問は、あなたが今何をするつもりなのかだ。

この記事は、CopyBloggerに掲載された「Traditional Advertising is Truly Dead」を翻訳した内容です。

私も若い頃は「広告業界のクリエイティブアウォードって誰得?」と斜めに構えていた時もありましたが、今はすっかり大人ですし、その価値は価値であるとは思っています。今回の記事、「米国最先端の広告業界」を扱っているはずの人気ドラマのキャラクター達が未だにネットやソーシャルと共に変化するべき広告やコミュニケーション、そして肝心のクライアントを無視してクリエイティビティの争いだけに従事していることに、筆者が怒りを覚えて書いた記事なのでしょうか。

内容自体は広告のクリエイティブ性追求志向に対して時にいわれる批判だとも思いますし、後半の文章もセス・ゴーディンを例に出すなど特に目新しさも強い説得力も感じませんでしたが、この元記事、1000リツイート&100近いコメントもされ、英語圏で非常に盛り上がった議論がされていました。興味ある方は是非元記事のコメント欄も眺めてみてはどうでしょう。

最後にこの記事、原題はtraditional advertisingだったのですが適切な日本語訳が思い浮かばなかったのと(伝統的では固すぎるし、古いでも少し違う気がしまして)、クリエイティブ性のみを追求した広告や姿勢を批判する内容と、日本で広告の制作物をクリエイティブと呼ぶ習慣を合わせて、クリエイティブ (広告)としてみました。ニュアンスは通じるかと思いますが、意味不明!といわれれば素直に謝ります。 — SEO Japan [G+]

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