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恫喝訴訟 公的機関や公人がやるのは大問題 宮古島市と「N国」

 相手に対して、嫌がらせのような、黙らせるために行うとされるスラップ訴訟(恫喝訴訟)ですが、2つのものがありました。
 1つは宮古島市、もう1つは「N国」のものです。
<宮古島市、住民訴訟の市民を提訴へ 「名誉毀損された」」(朝日新聞2019年9月3日)

「沖縄県宮古島市のごみ撤去事業について、市民6人が違法な契約だとして下地敏彦市長らに事業費の返還を求めて起こした住民訴訟をめぐり、市は3日、市の名誉が毀損(きそん)されたとして、6人に1100万円の損害賠償を求め提訴する方針を明らかにした。」

MXとマツコさん相手に原告1万人の集団訴訟提訴へ 「N国支持の有権者侮辱」理由に」(毎日新聞2019年9月4日)

「NHKから国民を守る党の立花孝志党首は、東京メトロポリタンテレビジョン(TOKYO MX)とタレントのマツコ・デラックスさんを相手取り、総額1億円の慰謝料を求める原告1万人の集団訴訟を起こす方針を示した。」

 前者の宮古島市の場合は、住民訴訟が敗訴になったことに対して、逆に自治体側が「名誉毀損」だとして訴訟を提起するというものですが、自治体の対応としては常軌を逸しています。

 仮に住民訴訟に問題があったとしても(問題の有無を論じるものではありません)、こうした訴訟提起をすることは、今後の住民訴訟を提起することを躊躇させ、萎縮させることは明らかです。自治体によって報復的な訴訟提起がなされるのではないかということで、住民訴訟提起を躊躇させることになるからです。

 これでは「住民訴訟で敗訴したら、お前らわかっているんだろうな」と言わんばかりのもので、弊害が大きすぎます。
 自治体側は粛々と訴訟を遂行すればよいのであって、それ以上に賠償請求をするというのはすべきことでありません。

 仮に明らかにその住民訴訟が不当という場合であれば(証拠をねつ造してまで訴えたとか、そうした事情が必要と思います。少なくとも報道ではそれが明らかに不当ということまでは報じられていません。単に名誉を害されたというだけです。)、訴訟費用の負担は住民側になるはずですから、せいぜい請求するにしても訴訟費用を限度とすべきでしょう。この訴訟費用だって、現実に自治体側が勝訴したとしても請求することはまずないものです。ましてや訴訟提起など尋常ではありません。

 この記事を見る限り、あまり歯切れのいい説明は宮古島市側からはなされていないようです。
市民に対する嫌がらせ? 宮古島市、損害賠償額は1100万円 市議会で質問集中」(沖縄タイムズ2019年9月5日)

「与党の新里匠氏は、提訴を決めた時期を質問。長濱政治副市長は、市民が7月26日に開いた報告会で「いたずらに市の行為を不正と主張したことが契機になった」と答弁した。」

 自治体のやることとしてはあまりにみっともないことです。こんな訴訟を提起すると表明したことで、宮古島市の恥を全国にさらしたのです。

 「N国」の訴訟はもっとひどいレベルです。

 「N国」に投票した人たち1万人を集めて、MXとマツコさん相手に総額1億円を請求する訴訟を起こそうというのです。1人が1万円ということのようですが、マツコさんの発言内容は、通常の論評の域を出ないものです。「N国」の支持者が不快に思うのはわかりますが、だからといってそれが法的にも慰謝料を生じせしめるものとは考えられません。これを国会議員が所属する公党が主導して行うというのですから、前代未聞です。公党とは思えない所業です。

NHKの集金よりひどいぞ



 ネットに限らずこれまでも「自民党支持者たちは~」とか野党支持者は毛針に釣られるとか、揶揄されることは普通にありました。それでもって精神的苦痛を被ったから慰謝料だ、なんていうことはありませんでした。

 当たり前のことですが、この程度で賠償だ、要はその発言が違法だということになってしまったら、政治的な論評もできなくなります。
 私もそういえば、このような表現を用いていました。
「NHKから国民を守る党」の議席獲得は投票行動の劣化 公共放送としてのNHKを守ろう

 私程度のものでは相手にもされませんが、それはともかく、この程度で違法とされてしまったら、たまったものではありません。
 裁判所が賠償を命じるのであれば、まさに裁判所による表現の自由の侵害です。
 裁判所だって国家権力であり、その裁判所によって表現の自由が侵害されるようなことがあってはなりません。

 それ以上に、「N国」のこうした行為は恫喝そのものです。自分たちを批判したら集団で押し掛けるぞ、というやり方も大問題ですが、訴訟行為だからといって許されようはずもない恫喝です。
「NHKから国民を守る党」が危ない 私人逮捕という名の恫喝

 「N国」側が訴えを起こしたとしても、マツコさん側は動じる必要はありません。それこそ淡々と訴訟対応を行い、裁判所の判断を待てば良いだけです。
 裁判所はさっさと棄却してください。

 これらの恫喝訴訟との対比で言えば、ばばあ発言をした石原慎太郎都知事(当時)が女性たちに訴えを提起された事件がありました。裁判所は請求を棄却しています。結論としては当然に棄却になります。ただし、この訴訟自体が不当訴訟だとは思いません。石原氏が公人だからです。石原氏に対する訴訟提起は、公人として不穏当な発言をしたことに対する問題提起という意味もあったからです。

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