
■ホールフーズ・マーケットのレジ会計では、手のひらで支払いが可能となるかもしれない。ホールフーズの親会社のアマゾンでは、人の手のひらとクレジットカードやデビットカードを紐付けた決済方法のテストを行っているとニューヨーク・ポストが3日報じた。
アマゾンのニューヨーク・オフィスで行っている実験は、飲み物などが入った自販機で手のひらをスキャンして買い物するというものだ。手をひらをスキャナーに触れたり当てたりせず、センサーにかざした手を振って認証するというもの。認証は指紋や指静脈、手相ではなく、手の大きさや形で個体判別を行う。
このプロジェクトに詳しい匿名の人が語ったことによると、手のひら認証のコードネームは「オービル(Orville)」。3〜4秒かかっているクレジットカードやデビットカードの処理速度をオービルでは30万分の1秒以内にするプロジェクトだ。コンピュータービジョンとデプス・ジオメトリーを応用したオービルは現在、正確さが1,000分の1となっているが100万分の1に高めようとしているという。
アマゾンは非接触の手のひら認証なら、顔や指紋認証ほど抵抗がないと見ているのだ。早ければ来年にもホールフーズに手のひら認証を導入する計画となっている。ホールフーズのチェックアウトではセンサーに手のひらをかざして振ることでプライム会員を認証。そこに紐付けているクレジットカードから決済を行えるようになるということだ。
ホールフーズでは現在、ホールフーズ・アプリに表示されるQRコードをチェックアウト時にスキャンしてもらうと、セール商品がさらに10%オフになったり、プライムメンバーのみの割引が適用されたりするプログラムを行っている。
アップルペイやホールフーズ・アプリのQRコードの代わりとなる手のひら認証では、スマートフォンを出す必要もなくディスカウントから決済が行われることになるのだ。
レジなしコンビニエンスストアのアマゾンゴーもアプリを使わず、手のひらによる入店となるかもしれない。
ただ手のひらといっても生体認証には変わりはない。顔や指紋よりプライバシー面での抵抗感が少ないかもしれないが、手のひら認証がどこまで浸透するかは未知数だ。
トップ画像:ホールフーズでは現在、ホールフーズ・アプリに表示されるQRコードをチェックアウト時にスキャンしてもらうと、セール商品がさらに10%オフになったり、プライムメンバーのみの割引が適用されたりするプログラムを行っている。手のひら認証ではスマートフォンを出す必要もなく手をかざして振るだけでディスカウントから決済まで行われることになるのだ。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。
当ブログでは顔認証決済はアメリカや日本では絶対に浸透しないと主張してきました。プライバシーの問題があるからです。顔認証は技術的には簡単にできますが(アイフォンでできますし)、企業や組織が自分の顔情報を扱うことに、消費者はかなりの抵抗感があるのです。
個人のプライバシーをなんとも思わない国では、人権より便利さや経済性が優先されます。そんな国では顔パス支払いは可能かもしれませんが、少なくともアメリカでは難しい。
で、アマゾンが目をつけたのが手のひら。しかもスキャナーに接触せず、手をかざして振るだけというものです。同じ生体認証ですが、アマゾンでは顔や指紋、手相に比べれば抵抗感が少なくなると見積もっています。指静脈認証のようにセンサーに触れることもないので、衛生面でも嫌悪感は少なくなります。ノーズピッキングを目の当たりにし、おっさんの人差し指が軽く触れただけで「もう無理」という若い女性もいますから。
それでも手のひら認証はホールフーズの一部でテストをやってみて、ジワジワと展開していくことになるでしょうね。