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米国の地方選挙で試験的実施 ”スマホ”投票 Voatz(ヴォーツ)とは?

インターネット投票が採用されている国といえばエストニア。国政選挙でも全国民がインターネット選挙の対象となっていますが、その他の国では技術、コスト、運用方法に課題が残りなかなか進んでいないのが現状です。
 
そんな中、アメリカでは「インターネット投票」ならぬ「スマホ投票」に特化した、ブロックチェーンによるモバイル投票アプリ開発企業の「Voatz(ヴォーツ)」の技術を試験的に採用する自治体が出てきました。
 
主に現役軍人やその扶養家族、米国外在住の有権者を対象にするもので、2018年5月ウェストバージニア州モノンガリア郡とハリソン郡の2つの郡における予備選挙で、同年11月ウェストバージニア州55郡中24郡での中間選挙で、また今年2019年5月デンバー市が市議会議員選挙で、Voatz(ヴォーツ)と提携したスマホ投票が実施されました。
 
今回は、インターネット選挙の一歩先を行く、スマホ投票のVoatz(ヴォーツ)を取り上げます。
 

■ウェストバージニア州 州務長官オフィスによる動画『2018年中間選挙 モバイル投票アプリ試験プロジェクト』

そもそもVoatz(ヴォーツ)って何?

Voatz(ヴォーツ)は、最新のスマートフォン技術に組み込まれているセキュリティとブロックチェーンの不変性を利用したモバイルデバイスからの投票を可能にするモバイル選挙プラットフォーム。2016年6月以降、30回以上の選挙でヴォーツのプラットフォームから80,000票以上が投じられています。安全、便利な投票を実現するため、これまで主要政党、教会、組合、大学、州、町、都市等と協力してきました。
 
(Voatz Frequently Asked Questions (FAQ)より)
 

いわゆるインターネット投票ですか?

「インターネット投票」にはさまざまな定義があります。この用語は通常、インターネット経由でWebサーバーに接続された有権者のPC上のブラウザを指しますが、従来のインターネット投票とヴォーツにはいくつかの重要な違いがあります。
 
1つ目:Apple(アップル)、Samsung(サムスン)、Google(グーグル)により近年製造されたスマートフォンモデルのみがヴォーツでサポートされていること。これらのデバイスは、指紋認証や顔認識等の投票者認証において不正アクセスや情報漏えいなどの危険にさらされる可能性がある、PC上の標準ブラウザをはるかに超えたセキュリティ機能で構築されています。
 
2つ目:現在のスマートフォンは秘密鍵(シークレットキー)を格納するためのハードウェアベースのセキュリティが提供されていること。これにより、安全性の高い暗号化処理を公衆ネット上で実行できます。
 
3つ目:投じられた票は許可されたブロックチェーンに格納され、最終的には様々な利害関係者(例:国務長官または州選挙委員会)によって改ざん防止および不変性が保証されていること。
 
(Voatz Frequently Asked Questions (FAQ)より)
 

なぜ”スマホ”なのでしょうか?

スマートフォンを使用する理由は、プラットフォームの迅速性、セキュリティおよび利便性のためです。
ピュー研究所(アメリカのシンクタンク)によると、米国のスマートフォンの所有率は18〜29歳が94%、30〜49歳が89%、および50〜64歳が73%となっています。
 
(Voatz Frequently Asked Questions (FAQ)より)  

Voats(ヴォーツ)最新ニュース 「モバイル投票技術に約7.5億円(700万ドル)の資金を調達」

投票および市民参加プラットフォームであり、モバイル投票のメリットと危険性について議論を巻き起こしているVoatz(ヴォーツ)(マサチューセッツ州ボストン)が、シリーズAの資金で約7.5億円(700万ドル)を調達。現在17名の従業員を抱える同社はSaaS(サービスとしてのソフトウェア)を提供する会社ですが、選挙の実施及びサイバーセキュリティサービス提供のために州や地方自治体と協力して活動するうちに、選挙管理に力を入れるようになりました。
 
デンバー市は今年5月の市議会選挙で、ヴォーツの技術を使用したモバイル投票試験を実施。ヴォーツのプラットフォームを使用した有権者数はまだ公表されていませんが、ヴォーツの共同創設者で最高経営責任者(CEO)のNimit Sawhney(ニミット・ソーニー)氏は「デンバーでの選挙は6月4日に終わり、選挙後の監査を間もなく開始する」と伝えています。

デンバー市はヴォーツにとっての最初の試験プログラムではなく、既に昨年のウェストバージニア州での2つの選挙を含む30ヶ所以上で試験が実施されており、その実績が投資家かつ戦略家であるBradley Tusk(ブラッドリー・タスク)氏の慈善事業Tusk Philanthropies(タスク フィランソロピーズ)からの資金援助にも繋がっています。
ヴォーツの次回の実施予定に関しては、ソーニー氏が「夏のうちに関連管轄から発表される」と伝えています。
 
ヴォーツは、昨夏に数多くのセキュリティ専門家によってヴァニティフェアの記事で批判されたことから多くの注目を集め、名を知られたモバイル投票アプリとなりました。「期待はずれに終わるだろう」「選挙でオンライン投票を行うには何らかの形での精査プロセスが必要だ」と警告する人もいれば「恐ろしくダメなアイデアだ」という専門家もいますが、多くの市や州政府での利用増加に伴い、現在利用されているシステムよりは優れている…という可能性に、投資家はまだまだ賭ける気のようです。
 
ヴォーツは前回、約2億4千万円(220万ドル)の資金を調達していました。
 
https://techcrunch.com/2019/06/06/voatz/より)  

ヴォーツへの期待

行政に関する業務の多くが電子化されつつありますが、インターネット選挙に関しては国内外問わず、期待の声、懐疑的な声等さまざまで普及どころか発展途上。
 
そんな中で「ブロックチェーンでスマホ選挙」に挑むヴォーツ。ヴォーツによる「インターネットとは違う、スマホを使う理由」で述べられているように、若い世代のスマホ普及率の高さからもスマホ投票が投票率向上の一助となり得るツールとして期待が高まっていくのでしょうか。
 
電子投票が米国において全国民、または国政選挙で実施されるまでは時間がかかりそうですが、いくつかの州が地方選挙でスマホ投票の実証試験を行ったこと、また今後も行う予定があることは、電子投票を前向きに捉える他国から大きな注目を集めるでしょう。ヴォーツに対する期待値は、投資家による調達した資金を見ても分かるとおり。スマホ投票の技術発展に注目です。  

参照
https://www.wvnews.com/news/wvnews/history-making-mobile-voting-app-for-overseas-military-now-in/article_0402b7dd-af11-56ed-a42d-5981a214f9c0.html
「History-making, mobile voting app for overseas military now in 24 counties」WVNews

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