- 2019年09月03日 17:27
永年ドライバーへの奨め(第5回/全6回) - 大久保力
2/2◆踏み間違えを解消する方法
それならば、すっかり日本式AT運転に慣らされてしまった今、どうすれば良いのか。それは教習所のAT運転教習の抜本的見直しを行政指導するべき課題であると私は断言するものであります。
しかし、既に旧弊AT運転を覚えこまされてしまった今どうするのか、となりますが、その運転方法でも問題ない運転者は別として、改善したいと望むなら色々な方法があります。その幾つかの例を示して見ましょう。
先ず前後左右安全な場所で、それも低速で、MTでは働きATでは用無し扱いの左足でブレーキペダルを踏む練習があります。
①最初はアクセルから放れた右足を、いつものようにブレーキペダルに載せてブレーキングしますが、その時、左足を右足の甲なりペダルの左端なりに添え左右両足でブレーキングしてみます、怖くも危険でもありません、いつもの右足がメインで働いていますから、左足は添え物でしかありません。
②もっと簡単なのは、信号待ちで、Dギヤにいれたままブレーキペダルを踏んでいる時がありますが、その際、上記に同じくブレーキペダルを踏んでいる右足に左足を沿え、左足を働かせる訓練と意識を高めるのです。これも危険ではありません、停まっているのですから。こう述べますと、手には右利き左利きがあるように、左足操作は不得手と思っている方もいらっしゃるでしょうし、サッカー選手なら尚更ですが、日常の動作で左右の足には、利き手はどっち? ほどの違いは無いものなのです。
③そのような、ちょっとした左足操作を心がけることで意外と気づかない内に左足ブレーキになっているものなのです。何れにしましても左右の足が合理的な働きをするようになりますと、咄嗟のブレーキへの対応も楽になり、うっかりアクセルペダルを踏んでしまった、踏みすぎたなどの誤操作に自然と左足がブレーキをかけるようになるものです。
アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故はAT車特有のものになってしまったようですが、どのような時、また運転者のどのような操作が事故につながるのか?代表的な例を示して見ましょう。いずれも、その原因は誤操作以外の何物でもないのですが。
正常な走行中には、まず起こりえない事故と言えますが、△最も多いのは駐車しようとする時・徐行中・停止状態から走り出す時などに見られます。即ち、ノロノロ超低速で車が動いている時、誤ってアクセルペダルを踏みすぎ、急な加速にブレーキを踏んだ積りがアクセルを更に踏んでしまい、慌ててブレーキを踏もうと思ってもパニックに陥り、アクセルの足は硬直状態、ノンブレーキのまま突っ込んでしまうケースが殆どです。
また、△駐車したり駐車状態から走り出す時、うっかりアクセルを踏みすぎてしまった、ブレーキを踏んでいた右足が何かの拍子に滑ってアクセルペダルを踏んでしまいパニックに陥った、何階建てかの駐車場ビルで出庫の際、踏んでいたブレーキペダルの足が滑りアクセルを踏みすぎ車止めを乗り越え階下に転落など、アクセル・ブレーキ右足操作の事故は非常に多いのです。
一方において、手動変速のMT車には上記のような誤操作が無いのか?となれば、皆無とは言えませんが、右足はアクセルとブレーキ、左足はクラッチ、ギヤは手動ですから、停止から発進にはアクセル、ブレーキの踏み違いが起きにくい、むしろ敢えて失敗を演じて見せようにも構造上難しいと言えます。
ただ、アクセルの踏み加減とギヤを入れたクラッチペダルの足を放す(戻す)バランス(タイミング)を誤って急発進させパニックの例もありますが、MT車は先ず無難に発進(スタート)させる運転をとことん教え込まれますからAT車とMT車は全く異なる運転技術と言うことになります。
以上の如くAT車のペダル踏み間違い事故は運転者のミスそのものですが、少しでも楽な運転を目標に技術開発された構造でも、それを使いこなせない人間が増える以上、例えもっと上の事故防止技術が現れても新たな誤操作、事故は無くならないでしょう。
自動車を始め、生活周辺の科学工業製品は使いやすさとともに事故防止技術も進化しますが、それに依存するのではなく人間力を高めるスベ術が疎かになりつつあるのではないでしょうか。
次回(最終回)は、“高齢運転は危険”からの脱皮に向けた具体的提言です。
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大久保 力(自動車ジャーナリスト)
元レーシング ドライバー
レジェンド レーシングドライバーズ クラブ会長
日本自動車ジャーナリスト協会&日本外国特派員協会 所属



