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【たまねぎ男 異例の11時間追及】なぜ韓国政界では「誹謗」に重きが置かれるのか ベストセラー『反日種族主義』の韓国人学者が解説 - 「週刊文春」編集部

 韓国政界が揺れている。日本との外交関係が緊迫する中で勃発した、文在寅大統領の“後継者”ともいわれる曺国(チョ・グク)氏のスキャンダル。

【写真】『反日種族主義』(共著)を刊行した李宇衍(イ・ウヨン)氏

 曺氏は9月2日に緊急会見を開き、娘が名門大学に不正入学した疑惑などについて全面的に否定した。午後3時半に始まった会見では曺氏への追及が続き、休憩を挟みながら翌3日午前2時まで11時間にわたる異例の会見となった。


緊急会見での曺国氏。11時間にもわたり追及が続いた ©AFLO

互いを誹謗することが韓国政治の中心

 権力側に立つと途端に執拗な追及を受ける姿は、朴槿恵大統領のスキャンダルを思い起こさせる。朴前大統領が弾劾されたのも、知人女性の娘が大学に不正入学したことが原因だった。

 なぜ韓国政界では、権力者が次々と疑惑によって引きずり落とされ、逮捕など無惨な事態を迎えてしまうのだろうか。

 この夏、韓国社会の反日主義を強く批判した『反日種族主義』(共著)を刊行し、韓国で異例のベストセラーとなっている落星台経済研究所の李宇衍(イ・ウヨン)研究委員は、「週刊文春デジタル」の取材に、次のように語っていた。

「韓国の政治家は、対話と妥協が苦手で、互いを誹謗することが政治の中心になっている。さらに、固い支持基盤もないので、相手をどれだけ攻撃するかで支持率が乱高下する。民主主義が韓国において成長しないのは、そのあたりに限界があるからです」

 その「相手を誹謗すること」に重きが置かれる政治姿勢は、対日外交にも共通しているという。

「韓国はまだ民主主義の経験が乏しい。本来、政治とは、利害関係の違う他の勢力と意見を調整して統合させるものです。今の韓国には、その能力がないため、ひたすら相手が“悪魔”であるかのように追い込んでいくことしか出来ません。それは、外交において日本を悪魔のように扱ってきたのと同じロジックです」

 そして、韓国の政治スタイルの問題点について、次のように語った。

「権力が大統領にあまりに集中している。大統領責任制が韓国に向いているかどうか、考えてみる時が来たのではないでしょうか」

研究所に糞尿を掛けられる被害も

 韓国社会に対して率直な発言を続ける李氏は今、韓国で批判の的になっている。

 渦中の曺氏も、ベストセラー『反日種族主義』についてFacebookで「こんな吐き気がする本」と強く批判しているのだ。

 直接的な抗議活動も、李氏の元では続いている。

 7月29日には、韓国人男性3人が李氏の所属する研究所に押し入って、李氏に「売国奴」「親日野郎」などの罵声とともに、つばを吐いたと報じられた。男らは駆けつけた警察官に外に連れ出された後、逮捕されず釈放されたという。

 さらに8月28日には、研究所の正門に糞尿が投げつけられているのが見つかったと、「ハンギョレ新聞」が報じている。

 李氏は、韓国社会の反応について、「週刊文春デジタル」のインタビューで次のように答えている。

「私への抗議はありますが、それと無関係に研究を続けますし、また研究者はそうしなければならないと思います。私は『コンジョウ(根性)』のある人間ですので(笑)」

 文在寅大統領の“頭の中身”、北朝鮮にミサイルを撃たれ続ける韓国人の気持ち、朝日新聞などメディアの影響、ベストセラーで訴えた「反日種族主義」とは何か……など、日本人が疑問に抱かずにはいられない「52の質問」について、わかりやすく答えてくれた。約1万4000字にわたる全回答は「週刊文春デジタル」で公開している。

韓国には大統領制が向いていない

【Q】盧武鉉、李明博、朴槿恵と、韓国の歴代大統領は、なぜ辞めた後に逮捕、自殺など無惨な事態が待っているのでしょうか。

【A】韓国の政治的水準が非常に高いように話す人もいますが、韓国はまだ民主主義の経験が乏しい。本来、政治とは、利害関係の違う他の勢力と意見を調整して統合させるものです。今の韓国には、その能力がないため、ひたすら相手が“悪魔”であるかのように追い込んでいくことしか出来ません。それは、外交において日本を悪魔のように扱ってきたのと同じロジックです。ですから政権が代わる度に、前の政権に報復せざるを得ず、元大統領は悲惨な最期を迎えることになるのだと思います。

 韓国の政治家は、対話と妥協が苦手で、互いを誹謗することが政治の中心になっている。さらに、固い支持基盤もないので、相手をどれだけ攻撃するかで支持率が乱高下する。民主主義が韓国において成長しないのは、そのあたりに限界があるからです。

【Q】韓国の政治スタイルは「不通(プルトン)」と言われ、韓国の大統領は、官僚とも距離を置き、孤独だと報じられます。この問題についてはどのように考えますか。

【A】権力が大統領にあまりに集中しているからだと思います。大統領責任制が韓国に向いているかどうか、考えてみる時が来たのではないでしょうか。

抗議とは無関係に研究を続けます

【Q】これまで研究で、文献が少ないなど苦労はありましたか。事務所に抗議がきたといいますが、どのような気持ちで研究を続けられていますか。

【A】(前半省略)私への抗議はありますが、それと無関係に研究を続けますし、また研究者はそうしなければならないと思います。私は「コンジョウ(根性)」のある人間ですので(笑)。新刊の『反日種族主義』についても、市民団体から告発をうけました。慰安婦や徴用労働者問題に対する案件です。

◆ ◆ ◆

「週刊文春デジタル」で公開している約1万4000字にわたる全回答には、日本人にはなかなか理解しにくい、“文在寅の韓国”を理解するためのヒントが詰まっている。

(「週刊文春」編集部/週刊文春)

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