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リアル書店は「企業努力が足りない」?

『書店の危機』が叫ばれて久しく、僕が子どもの頃通っていた書店も、ほとんど鬼籍に入ってしまいました。

村上春樹さんの『ノルウェイの森』の登場人物・緑の家は町の商店街の小さな書店だったのですが、学生運動の時代が舞台とされるこの作品でも、緑の書店は経営危機だった記憶がありますから、「書店の危機」がずっと叫ばれ続けていながらも、しぶとく生き延びている業界なのかもしれません。


 僕が小学校高学年~中学生くらい(いまから30年前くらい)に、「町の商店街の書店」から、「車で行く郊外型書店」へのシフトが起こり、ここ10年くらいは「町の書店」はほとんど壊滅、郊外型書店もすっかり斜陽となり、コンビニでも本が売れなくなりました。というか、ネットの普及などもあり、雑誌が売れなくなったので、コンビニでも雑誌が売れなくなった、というべきかもしれません。

いまは、ショッピングモール内の大規模書店TSUTAYAなどの複合型書店、Amazonがせめぎあっている、という印象です。

そこに「電子書籍」が伸びてくるであろう、と。

ちょっと田舎に行くと、まだ昔ながらの「書店」も残ってはいるのですが、雑誌とマンガとエロ本、ライトノベルと売れ線の文庫くらいしかなく、文芸書や専門書の品揃えがいちばん充実しているのはTSUTAYAだったりするんですよね。


 で、「既存の書店はAmazonに勝てない!」なんていうのを読んで、「そりゃそうだよなあ。品揃えも違うし、家まで持ってきてくれるし」と、僕はずっと頷いていたんですよ。

 既存の書店は、企業努力が足りない、という話にも、そうだよねえ、と。


 でもね、最近ちょっと、「Amazonはもちろん便利なんだけど、Amazonって、ちょっとめんどくさいよなあ」とも思っているのです。

 いや、クレジットカードの登録のめんどくささ、なんていうのは、一度済ませてしまえばそれまでなんですが(でも、それはけっこうハードルにはなりますよね)、注文したものを、家で受け取るというのは、家を仕事などで空けがちな人間には、けっこうめんどくさい。受け取り時間をある程度指定できるようにはなりましたが、それでもけっこう幅がありますしね。

家のインターフォンが鳴ると、宗教の勧誘とかを、ちょっと警戒します。

「午前中」とかにすると、お昼まで家にいなきゃならないし。

 リアル書店だったら、何かのついでに寄って、お金を払ってすぐ持ってかえればいいだけの話です。

 それに、週刊誌とかだと、「すぐ読めるかどうか」って、けっこう大事なんですよね。


 「リアル書店は努力が足りない」という人は多いのだろうけど、リアル書店のメリットというのは「その場ですぐ商品を持って帰れること」「中身を確かめられること」「時間つぶしができること」(これは、ショッピングモールの中ではかなり大きなセールスポイントになっているはずです)、そして、「後腐れがないこと」くらいだと思うんですよ(対面でエロ本とかレジに持っていくのは恥ずかしい、と僕も考えていたのですが、Amazonで購入すれば、それが「記録」としてずっと残るというリスクがあるんですよね。大人にとっては、後者のほうが「怖い」ような気もします)。


 それでも、僕の家の近くには、「マンガやライトノベルなど、オタク系のコンテンツを充実させて、コアな人気を集めている小さな書店」もあるので、やり方次第だとは思うのだけれども、その書店も最近ちょっと活気がないんだよなあ。


「さびれている郊外型書店」って、わざわざAmazonで買って配送してもらおうとは思わないような「雑誌とマンガとエロ本、ライトノベルと売れ線の文庫」を揃え、売れない本の在庫を減らし、店員を減らして人件費を削減しているのですから、「何の努力もしていない」わけじゃないんですよね。

田舎の車社会の人間にとっては、わざわざ駐車場に停めて人ごみのなかをけっこう歩かなければならないショッピングモールの大型書店よりも、店の前に車を停められる郊外型書店のほうが、気軽でもあります。

 こうして考えてみると、むしろ、「カリスマ店長がいない状況下で、できるかぎりの企業努力をしている」のです。

「努力が足りない」って言う人は、これ以上どうしろと言うのか、という気分にすらなってきます。

 そういえば、リアル書店では本の展示と「本の相談員」におススメ本を聞くだけにして、それをAmazonで購入してもらって紹介料をもらうようにすればどうか、なんていう話も聞いたことがあります。

 それだと、Amazon内で同じサービスをやってしまえば良いのではないか、という気もしますけど。


結局、ごく一部のカリスマ的な人気店を除いて、リアル書店は淘汰されるしかないのか、それとも、「コンビニと大型書店とAmazonと電子書籍のあいだ」にうまくハマることができるのか、これからが勝負といったところでしょう。


リアル書店が努力していない、というのは、外部からの思い込みであって、結局、生き残ろうとすればするほど、つまらなくなっていかざるをえない状況に追いつめられているのでしょうけど……

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