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生活保護を現物給付に変えようとすると何が起こるか?

生活保護問題が取りざたされています。生活保護でパチンコなどで遊び暮らしている人などが報道されるたびに「現金給付を止めて現物給付にしろ」という議論も発生します。

では、実際に生活保護を現物給付にするとどうなるのだろうか。


食料を給付するにしても、人によって食べられるもの/食べられないものがあります。
野菜が好きな子/嫌いな子もあれば、牛乳を飲むとお腹を壊す場合もあれば、アゴが弱って固いものが食べられない人もいます。
彼らに対して一律に同じものを配るのでしょうか?
そうするといらないものを配られた世帯にとってはそれは無駄になります。貴重な食料配給なのに食べられないものを配られるという悲しさ…
そして、チョコレートはぜいたく品だから配らないならば、他の子がチョコレートを食べている横で子どもチョコレートの一つすら買ってあげられないという家庭になります。
生活保護を受けるということはそこまでひどい扱いを受けなければいけないものなのだろうか。

また、衣類や日常用品にも当てはまります。人によって必要とされる衣類や日常用品は異なります。
完全母乳で粉ミルクが不要な世帯もあれば粉ミルクが必要な世帯もあります。子どもがサッカー部に入ればサッカー用品が必要ですし、水泳部に入れば水着が必要です。これらの支給をどうするか?「サッカーシューズなしで練習しろ」だろうか。

個々のケースにきめ細やかに対応すると、ネットスーパーのようなもので150万世帯ともいえる世帯に対してこれを提供するのは膨大な作業になり、極めて非現実的です。
しかも生活保護に相応しい商品かの判定まですると、「どのスパイクは許可する/しないか?」「どのすね当ては許可する/しない?」というネットスーパー以上の大きな負担が発生します。

差別も助長

生活保護で一括で同じものを送る場合、差別助長につながります。
皆が同じ服を着るわけです。同じものを食べるわけです。仮にサッカー用品が支給されても決まった商品が来るのです。
生活保護ブランドの出来上がりです。間違いなく「あいつ、あの服着ている。生活保護だぜ」といういじめにつながります。ユニクロのような一般的な服を支給すれば非受給世帯と混じると思っても、生活保護世帯に配られてると聞きつければネット等で広まって皆が着なくなります。
「生活保護服ー、生活保護食ー、近づくと生活保護の貧乏くさいのがうつる(笑)」といういじめが横行するでしょうね。


生活を制限して、貧困スパイラルへ

生活保護受給者専用のアパートに集めろなどという意見もあります。しかしこれは階層固定につながります。例えば、一時の仕事を失って生活保護を受給する人がいた場合、アパートの場所などを決められてしまうと仕事を探そうにも制限を受けます。
住居、衣類、食事等が固定化されることでできることが制限され、貧困からの脱出が難しくなります。


現物支給は、かなり良く考えないと国としてまずいことになりかねません。

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