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「覚せい剤を使ってでも仕事に行かなければ」麻薬で逮捕された経産省キャリア官僚の悲壮な叫び

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裁判傍聴芸人の阿曽山大噴火です。今回お伝えするのは、覚せい剤取締法違反(密輸・使用)などの罪で起訴された経産省キャリア官僚・西田哲也被告の2度目の裁判。証人喚問と被告人質問を傍聴してきました。

【初公判の記事はコチラ】
経産省キャリア官僚が麻薬を密輸 月300時間の残業が壊したエリートの理性

初公判の傍聴人は35人だったのですが、今回は28人。お盆の時期に行われた裁判とはいえ、世間の興味がかなり薄れているように感じました。

法廷には被告人の父親が情状証人として実家から東京地裁に来ていました。まるで逆帰省です。被告人の仕事が忙しいのは実家に帰った時に聞いていたようです。経産省に入省してからの2年間は毎日終電で帰宅できればいい方で、帰宅はタクシーを利用する事が多かったそうです。

病気が原因で職場を長期休暇している事もあり、父親は実家に戻って休む事を勧めていたのですが、被告人が東京で治療するというので任せてしまったと悔いていました。

被告人がうつ病になった事については、母親が被告人のマンションを訪れた時に薬を大量に飲んでいる様子を見て知ったようです。

両親は「実家で治療したら?」という考え方でした。今後は実家に戻して「人生を賭けてキチンと更生させます」と約束していました。

東大卒が300時間残業させられるエリート官僚の現実


被告人質問です。まずは弁護人から。なぜ覚せい剤を使用するようになったのかを聞かれ、「数年前からうつ病になって通勤が困難でした」と。「でも仕事を続けたいと思っていて、より効果の強い薬を求めてしまったから」だと。被告人にとっては覚せい剤を抗うつ剤みたいな感覚で使っていたようです。

うつ病になったきっかけについては「労働環境が過酷でした」と話しています。平成25年に経済産業省資源エネルギー庁勤務、平成27年に本省の自動車課に異動。この頃「この仕事を本当に好きでやっているのか」と悩んでいたようです。エネルギー庁での残業時間を聞かれると「平均で月150時間。多い時は300時間でした。1週間泊まり込みもありました」と。

通常の勤務時間を除いた残業だけで300時間ですからね。良い大学を出たら(※被告人は東京大学卒業)楽に稼げるのかと思っていたのに、現実は…という感じでしょうか。経産省の労働環境はいったいどうなっているのか。厚労省はすぐ近くにあるのに、こういった省庁には調査が及ばないのはなぜなのか。

残業が月100時間に減少、心に余裕が生まれてうつ病に

話を戻します。被告人が自動車課に異動になると労働環境は改善されたらしく「多くても残業100時間程度に減りました!」と。しかし、その年の冬に医者からうつ病だと診断されました。エネルギー庁の時は緊張感で耐えられていたけど、残業時間が減った事で心の余裕が生まれうつ病になったと診断されたそうです。残業100時間で心の余裕ができたと感じていた時点でヤバそうですよね。

そうした状況の中、被告人は3度の長期休暇。医者に診断をしてもらうたびに強い薬が処方され、より効果の高いベタナミンは処方できる上限の30mgを病院から渡されていたそうです。

ベタナミン30mgを処方されても効果を感じなくなってきた被告人は、もっと強い薬はないかと調べ、リタリンに辿り着きました。持っている人から購入して服用する事になったそうです。

なぜ、手を出したのかと聞かれると「酷いうつの中で、これ以上迷惑をかけられない。仕事に行きたいという気持ちが判断を狂わせてしまいました」と。「次に体調を崩したら長期休暇を取るしかないと思っていて、違う課に異動にすると言われていましたが自動車課でどうしても働き続けたいと思い、とにかく(仕事に)行かなければという思いでした」と。このような精神状態の中で違法薬物を使ったそうです。

仕事優先という考えは共感できますが、ルールに反してまで仕事をするのもどうなのかと。自分を犠牲にしてまで働くという被告人のようなタイプの人たちによって各省庁も支えられているのかもしれません。私が夜遅くに霞が関を通った時、明かりが灯っている部屋がポツポツとあります。

この事件は覚せい剤の使用だけでも十分ショッキングですが、現役の経産省のキャリアが密輸も行っています。密輸をした件については「経済的な理由からです。覚せい剤は高価なので私の収入では困難でした。探したところ海外なら格段に安く入手できると分かったので」と。あれだけ残業をしていた被告人が金銭的にキツいと話している事を聞いて、それだけ仕事をしても収入に直結しないのかと思いました。

覚せい剤を使用しながら通院していたので合法・違法を問わず、様々な薬を使っていたわけです。逮捕された事については「動揺して最初は何も考えられませんでしたが、ムリを続けなくていいという安堵感もありました」と。

自らの意思ではやめられないけどクスリをやめたいと思っていた被告人がよく口にする証言。覚せい剤の裁判あるあるです。本当にベタな証言ですが、やめるのが大変な薬だといつも思います。

現在は実家に戻って治療を行っているようです。担当医からは「(東京で処方されていた薬は)依存性が強くて量も多い」と、覚せい剤だけでなく処方されていた薬への依存も治療するようにアドバイスをされていました。そこは医者を信じて治療していたわけで、可哀想な話です。

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