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「#採用やめよう」で働き手の給与は増えるのか

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クラウドソーシング大手・ランサーズが今年6月、「#採用やめよう」というキャンペーンを展開し、注目を集めた。このキャンペーンは企業向けのメッセージだが、一方で、働き手にとってフリーランスとして働くことにはどんなメリットがあるのか。秋好陽介社長に聞いた——。

ランサーズ・秋好陽介社長 - 撮影=プレジデントオンライン編集部

■「年収2000万円」のフリーランスもぜんぜんいる

——「採用をやめよう」という刺激的なキャンペーンを始めたのは、どうしてですか。

ランサーズのユーザーであるフリーランスには、社員以上に優秀な方がたくさんいます。たとえば「年収2000万円」といった方もぜんぜんいる。そういう方たちが社会のメインではなく、サブとなってしまうことに、以前から違和感をもっていました。

そして今年5月、フリーランスのユーザーの結婚式に招かれて、あらためて衝撃を受けました。その方は、ライターや講師としてランサーズでもトップクラスで稼いでいるすごいフリーランスなのですが、結婚式にはフリーランスの仲間や、発注者の上場企業の幹部社員など、面識の有無にかかわらず、いろいろな属性の人が出席していたのです。

普通の結婚式なら大学の同級生や会社の上司、同僚が集まるのだと思いますが、まったく違う。集まっている人たちの熱気がすごかった。上場企業の方からは「本当にいい人を紹介いただいて、ありがとう」と言われました。

フリーランスも企業も、お互いにハッピーになれる関係性が確かに存在する。もっとこうした関係を広めたいとあらためて思ったのです。

■「正社員を否定するのか」という批判も起きた

——「採用やめよう」というコピーはどこで生まれたのですか。

結婚式に出た後、社内で議論をしました。新しい働き方について、世の中に議論を巻き起こすような広告キャンペーンをしようと、社外からコピーライターも招いて話し合いました。社内からは「もっと丁寧に説明するほうがいいのではないか」という意見もありましたが、最後は「採用やめよう」で意見がまとまりました。

ランサーズの特設サイトより

——確かにコピーは刺激的でないと話題にならないとは思います。しかし「正社員を取るな」とも読めるメッセージを、新卒の面接解禁日となる6月1日に日本経済新聞の全面広告で展開したことで、「正社員を否定するのか」という批判も起きました。批判は想定内だったということですか。

全社集会で広告キャンペーンを説明した際、社員からもさまざまな意見が出ました。「今後ランサーズも正社員をとらないのですか」という質問が出たほどです。正社員をとらないというのは誤解です。私たちは正社員を否定しているわけではありません。

ランサーズでは200人の正社員と800人のフリーランスがいっしょに働いています。私の秘書業務はタイ・バンコクにいるフリーランスにも手伝ってもらっています。かつては執行役レベルのチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)もフリーランスでした。

今後も正社員をもちろん採用しますが、基本的にフリーランスでできることはフリーランスにもお任せするのが、ランサーズが求めている働き方です。そういう働き方にアップデートしたいと考えているのです。

——しかし、いい人材を求めている会社ほど、「いい人ならば正社員として採用しよう」と考えて、熱心に動いているのではないでしょうか。

今回の「採用やめよう」というメッセージのポイントは、「正社員だけで人材を確保するという考え方をやめませんか」というものです。

東京でも地方でも人材確保の視野に入っているのは正社員ばかりです。日本の労働人口は現在6600万人。30年後には4400万人まで減少すると予想されています。一方、有効求人倍率は1.6倍と思うように人を採れない状況が続いています。今後、ますます状況は厳しくなりますし、地方ではなおさらでしょう。

■社員と同じくらい仕事にコミットしてくれるフリーランスがいる

いつまでも正社員で人材確保し、補助的・補完的な仕事はフリーランスやパートといった考え方では立ち行かなくなります。社員と同じくらい優秀で、社員と同じくらい仕事にコミットしてくれるフリーランスがいるのですから、正社員とフリーランスをバランスよく採用した方がハッピーになれるはずです。政府も兼業、副業を増やそうとしている時代です。

ランサーズ・秋好陽介社長 - 撮影=プレジデントオンライン編集部

——いい人材がとれないというならば、幹部社員を年収1000万円で採用しようとしているすしチェーン「くら寿司」のように、待遇をグッと引き上げるという手もあるのではないですか。

求人の内容が労働市場の現状とギャップがあるのかもしれません。そのギャップを埋めるための企業努力はもちろん必要です。フリーランスを安く買いたたける相手として考えているような企業は正社員ばかりかフリーランスからも嫌われます。正社員、フリーランスを対等なパートナーとして人材確保する会社が選ばれる時代にならなければなりません。

新しい働き方を考える時に、社外の人材をもっと本気で活用しないと日本の未来は危うい。米国はフリーランスに重要な仕事を発注するのは当たり前です。日本企業も自社が得意でない仕事は社外人材に任せ、自ら得意な仕事に邁進(まいしん)するようになるべきです。

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