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じっくり議論し、政策大転換を

 昨日衆議院本会議で、原子力規制委員会法案の趣旨説明を行なった。政府の原子力規制庁法案ともども、明後日6月1日(金)に環境委員会での審議が始まる。未曾有の原発事故を起こした国として、しっかりと事故の反省と教訓を反映し、発想を根本から転換する、原子力規制組織の抜本的改革を行なわなければならない。そのために必要な審議時間は、相当なものになるはずだ。

 私は当初、連日開催可能で、関係大臣が複数人出席の上、答弁可能である特別委員会(「復興特委」)での審議を主張していた。環境委員会のような常任委員会では、開催は週2回の「定例日」のみで、答弁も環境省以外の省庁は副大臣対応となるからだ。常任委員会での審議は残念だ。せめて「連合審査」については、今回、多くの省庁に関係するテーマであるため、経済産業委員会のみならず、文部科学委員会や内閣委員会も含めた連合審査とするよう主張している。

 しかし、既に昨日一部テレビ報道されたように、この法案をたった3回の審議で済ませ、再来週の12日(火)には衆議院を通してしまおうという動きがある。もちろん、そんな短い期間で法案の詰めを行うことは無理だ。参考人聴取についても、少なくとも、例えば組織論・緊急時対策、予算・人材育成策、新たな原子力規制策などに関し、各々1日はかけないといけないような重要なテーマがいくつもある。

 国民の原子力に対する目は厳しい。徹底的に議論を尽くしても、それでも一般国民、とりわけ原発立地自治体の不安は完全には解消されないだろう。福島の被災者の方々の苦難の日々を、国民は報道等で目の当たりにしているからだ。しかし永田町の「空気」はそうした国民感情からは大きくズレている。

 水面下の密室でさっさと与野党修正協議を済ませ、中身をじっくりと詰めることなく、とにかく一日も早く新たな原子力規制組織をスタートさせ、止まっている原発を再稼働させたいという、あらがいがたい「空気」が国会には漂っている。

 「福島原発事故では一人も死傷者を出さなかった」というのは嘘だ。実際に、被災者生活のストレスや生活環境の激変により、尊い命を落とされた方が出てきている。それでもなお、国会は水面下の密室で、この原発規制組織の議論を済ませてしまおうと言うのだ。国民は、そんな国会の「空気」を、決して許しはしないだろう。

 世界も、日本が今回の事故から学んだ教訓をどう活かすのか、注意深く見ている。スピードも大事だが、日本の原子力規制の仕組みを抜本から大転換する必要があり、看板替えさえすればよいという訳にはいかない。しっかりと中身を詰めるために、正々堂々国民の前で、じっくりと時間をかけて議論すべきだ。

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