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代替肉で注目 米インポッシブル・フーズに聞くサステナビリティ戦略

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ハンバーガーが大好きな国・アメリカで、植物由来の代替肉をつかったインポッシブル・バーガーが急速に人気を高めていることは不思議に思われていた。しかし、インポッシブル・フーズ(カリフォルニア)は人々が本当に求めるものをきちんと提供している。美味しさ、健康、倫理性である。(翻訳=梅原洋陽)

私は昨年、食品関係の学会で、普通のハンバーガーよりもインポッシブル・バーガーを多く食べた。例えば世界資源研究所(WRI)はワシントンD.C.で「地球を破壊しないで養うには?」というテーマで学会を開催し、最新のレポート「持続可能な食品の未来を創造する」を取り上げた。

昼食にはインポッシブル・バーガーが出され、昨年それを学会の昼食のメニューに加えた、ホワイト・キャッスルのキム・バートリーCMOの講演もあった。彼女によると、インポッシブル・バーガーによって、従来のファスト・フードのハンバーガーを食べなくなっていた人も、またバーガーを食べるようになったそうだ。

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分かってきたことは、肉を食べる消費者も、健康、気候、そして環境を気にかけているということだ。多くの人にとって、ハンバーガーを食べることは後ろめたさを伴う喜びだ。そのため、いくつかの罪悪感を取り除くという解決策を提案することは市場でうまくやるためには、当然のことかもしれない。

近頃の消費者はとても欲張りだ。インポッシブル・フーズは、味、気候、そして生物多様性をビジネスモデルに取り組み、欲張りな消費者に求められるものすべてを提供しようとしている。

インポッシブル・フーズのインパクト・ストラテジー部門シニア・マネージャーのレベッカ・モーセ氏に、消費者により持続可能な食べもの選択をしてもらう上での同社の役割について聞いた。

――インポッシブル・フーズは、自分たちをベジタリアンだと思っていない人たちをターゲットに、ファスト・フードから食通の人たちが通うような幅広いレストランまでにも製品を提供しています。なぜインポッシブル・バーガーを食べようと思うのか、消費者からどのような理由を聞いていますか?

モーセ氏:さまざまな属性の顧客が、植物性代替肉への関心を持っていると感じています。実際に私たちの顧客の90%はベジタリアンというわけではなく、肉を日常的に食べている人たちです。私たちのメインのターゲットは肉を好む人たちです。肉を食べる人たちに植物性代替肉を好んでもらうことが、ミッションを達成することにつながるからです。

裏返すと、ベジタリアンやヴィーガンの人たちはすでに正しいことをしているので、彼らが私たちの製品を食べても、それほど環境への好影響をもたらす訳ではありません。肉を好む人たちにターゲットを絞ることで、美味しい食べ物が、サステナブルで、大規模のフードチェーンに変革を起こすことになります。

インポッシブル・フーズは分子レベルで肉を食べるという経験を分析しています。だからこそ日常的に肉を好んで食べる人にも受け入れられるのでしょう。

食べ物を選ぶときの主な要因は、感覚的経験と入手しやすさです。植物性代替肉は美味しくて、動物を食べる量を減らすために味を妥協する必要がないということを私たちは示しています。私たちはサステナビリティを、コンセプト、開発、製品提供のいたるところに埋め込んでいます。その結果として環境へのインパクト大きくなると考えています。

――消費者は食品の気候に与える影響をいつでも気にしているわけではありません。インポッシブル・フーズはこの問題をどのように考えていますか?

モーセ氏:インポッシブル・フーズは、食品や食品選択が及ぼす影響に関する対話、コミュニケーションを積極的に行うようにしています。科学的に明らかなことも多いです。植物性代替肉を食べることは、食物連鎖の頂点にいる家畜を食べるよりも消費する資源がはるかに少ない。私たちはこの事実をさまざまな方法でメッセージとして打ち出していますが、主なメッセージは美味しさと、商品がもたらす経験です。消費者が製品を買う主な理由は味ですから。

私たちのビジネスの中核にはサステナビリティがあるので、私たちがビジネス的に成功するということは、サステナビリティの取り組みに成功するということです。多くの人がフードチェーンにおけるサステナビリティを気にかけていますし、私たちもさまざまな取り組みを行っています。それでも、多くの人はやはり、美味しさを重視しています。多くの人を、それと気づいていな人でさえも、サステナビリティへの取り組みに引き込んでいます。

――インポッシブル・バーガーは普通のバーガーと比べて環境的なインパクトはどのように違いますか?

モーセ氏:インポッシブル・バーガーは牛肉からできた通常のバーガーよりはるかに持続可能なものです。温室効果ガス排出量は87%低く、利用する土地の面積は96%少なく、水の使用量も87%少ないです。重要なポイントは、森林や自然の景観を犠牲に、すでに多くの土地のフットプリントを占領している牛を必要とする肉や乳製品を求めるフードチェーンがどんどん拡大していることです。植物性代替肉は、美味しさや、通常の料理を食べるのと同じ食事体験を保ちながら、はるかに少ない資源を使用し、土地や動植物の生息地の保全、自然の植物による二酸化炭素の回収を実現しています。

――もしアメリカの10人に1人の消費者が肉の消費をインポッシブル・バーガーに替えたら、どれくらいの水、土地、そして温室効果ガスを抑えられますか?

モーセ氏:いくつかの統計によると、牛肉の生産がアメリカ本土の土地の40%を使用していると言われています。そしてアメリカの消費者が食べる牛肉の半分は挽肉だそうです。もし植物性代替肉がそこを担うことができたら、相当な土地を使わずにすみます。必要なのはとても小さな耕作地で、放牧地や牧草を必要としません。

2017年にデンマーク工科大学と連携し、もしアメリカの50%の牛挽肉に、インポッシブル1.0のレシピが取って代わると、どのような変化が起きるかを計算しました。かなり控えめな見積もりでも、CO2換算で4500万トン相当の温室効果ガスの減少、12立方キロメートルの水の節約、そして73,000平方マイルもの耕作地と放牧地を減らすことができます。

――インポッシブル・フーズは収益を上げることでも成功しています。これは、環境的な解決策を提供する商品が求められているということでしょうか?

モーセ氏:消費者は選択肢を多く求め、私たちはその要求に応えています。私たちの投資家は、植物性の製品の需要の高まりや、取って代わろうとしている市場規模を認識しています。植物性代替肉への関心を後押ししている要因は沢山あります。環境的なことだけではなく、畜産業界に関連する多くのネガティブなことが認識されてきたからだと思います。

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