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マーケティングは戦闘か、恋愛か

昨日は、北海道大学での「マーケティングは戦闘か、恋愛か」をテーマにした講演会に多数のみなさまのご参加をたまわり、ありがとうございました。御礼申し上げます。また、講演後の懇親会も、ポーランドや中国の留学生の人たちも加わり、楽しく、国際色豊かなものになりました。

さて、日本のマーケティングは、混迷の渦のなかにさ迷い込んでしまった感があります。競争に勝つためには、新製品を次々とださざるをえない、しかし、その新製品も、極めて短期間で寿命を終えてしまいます。神戸大学大学院で行った調査では、飲料などは、コンビニでの平均販売期間はたった14週間、1年後の生存率は、8%にすぎないそうです。

家電業界でも、新製品効果があるのは、ほんの1〜2ヶ月、その後は、家電量販店からの圧力で、どんどん価格が下げられてしまいます。新製品が消耗品化しはじめたのです。開発にかけた資金の回収もままならならず、企業収益がずるずると落ちてきました。そして、中国を代表とする新興国市場になんとか市場を広げることで売上げをかさ上げしよう、またかさ上げしてきたというのが現在です。

しかし、この悪循環にはまると、なかなか抜け出せません。開発コストがかけられず、だせる違いは、既存商品やライバルの商品との相対的なものとなり、大きなヒット商品がでなくなりました。何年ぐらい前からでしょうか、日経トレンディなどのヒット商品番付でも、商品よりも、「PB」とか「ファストファッション」などのトレンドのほうが目立つようになってきました。

市場は、自社とライバルと、消費者・顧客の3つのプレイヤーがいて成り立ちますが、ライバルとシェアを争うこと、消費者・顧客も、エンドユーザーというよりは、直接の顧客である流通業に目をむけすぎ、バランスが悪くなってきているということを強く感じます。しかし、供給力過多というなかで、さらにインターネットの利用が進展し、供給側と消費者・顧客の情報格差がどんどんなくなり、ますます消費者・顧客の立場は強くなってきています。

さて、そんな状況をどう打開すればいいのかという解答をだすことは決して簡単ではありません。ただ言えることは、消費者や顧客が求めている本質をもっと追求するマーケティングを再構築することだと思います。今や、消費者・顧客はありきたりなものでは、充足しており、目先を変えたものだけでは、あっという間に飽きられ、陳腐化していくのは当然でしょう。

消費者・顧客が気がついていない本質的な価値を想像し、創造するしかないわけですが、それは感動や共感を呼び覚ます意味を創り出せということになります。供給側にとってどんな画期的な技術であっても、消費者・顧客が評価する尺度は違います。これは実務経験から、幾度も体験してきたことです。

消費者や顧客がもっている意味の尺度、価値の尺度を探るためには、消費者や顧客のなかに飛び込んで、同じ目線で観察し、それを体感するしかありません。それはアンケートだけでは得ることはできないことは言うまでもありません。

ちょうどストリートミュージシャンが、足を止め、聴いてくれる人びとの反応を学びながら成長していくように、消費者や顧客との対話を積み重ねていくことから始めること、そして、どのような溝やギャップがあるかを自ら体感し、発見することから始めることが近道だす。寺山修司は「書を捨て、街に出よう」といいましたが、「閉ざされた社内会議を抜け、人びとのなかに」ということになるのでしょう。

インターネットのコミュニティのなかに、飛び込んでいくというのもいいアプローチですが、そのためには、顔をもった同じ立場の市民というスタンスが求められます。それができなければ、消費者や顧客とお友達にはなれず、本音はひきだせません。

消費者や顧客のインターネットの利用が深まり、またマス広告だけでの限界を感じ、インターネットを販売促進に活用したいという動きは当然出てきていますが、それはそれぞれの分野の専門家にアドバイスを受ければいいと思います。しかし、その半歩先、インターネットで本音で語り合えるにはどうしたらいいかを企業や組織は自ら考え、学ぶことこそ求められているのではないか、でないと製品やサービス、また事業や企業のファンという恋人はできないということを昨日はお話させていただきました。

昨日の講演会の機会をおつくりいただいた西先生、伊藤先生ありがとうございました。また講演会を支えていただいたスタッフのみなさま、ご来場いただいたみなさまありがとうございました。心から御礼申し上げます。

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