- 2019年08月31日 19:41
夏休みの終わりを前に・・・つらいなら学校から逃げてもいいよと励ますテレビ番組が今夜放送されます
1/2『#8月31日の夜に。』
これがその番組の名前だ。
NHKのEテレで、8月31日(土)の午後10時から午前1時ころまで生放送する。
また、放送と同時にインターネットでも配信される。
NHKが番組の放送を同時にインターネットでも配信してもいいと、先日、国会で決まったばかりだけれど、それが実現するのはまだ少し先のことだ。ではなぜ、今回は放送とネットを同時にやるのかというと、番組に「公共性」があるからだろう。筆者がNHKの人間ではないので、正式な表現まではわからないが、大災害のときなどに緊急特番を放送するのと同時に同じ番組をネットでも見られるようにするのと同じ理由に違いない。
今回、私はこの番組のことは大きくピーアールした方がいいと考えて、自分が時々書いている「ヤフーニュース個人」に紹介原稿を書いてみようと思った。別にNHKの人に頼まれたわけでもないし、何か制作者とつながりがあってのことではない。
私は、元々は民放のテレビ局でドキュメンタリー番組をつくっていた経験が長くて、現在は大学で教師をしている人間だ。
専門が「テレビ番組」とか「ジャーナリズム」で、テレビ番組を批評することもなんとなく仕事のひとつのようになってしまっている。
そのため、テレビ番組はドラマもバラエティーも歌番組もニュースもと、いろいろなジャンルに目を通すし、ちょうどテレビがもつ「公共性」とは何か、その中でNHKが担うべき「公共性」って何だろうか?をこのところ考えていた。
そこで、はたと気がついた。
「今日は8月31日だっ!」
「あの番組が放送される日だっ!!」
それがこの『#8月31日の夜に。』という番組だ。
番組ホームページを見てみよう。
このサイトは、10代のみなさんが「学校に行きたくない」「生きるのがつらい」といった気持ちを吐き出し、共有できる場を目指しています。
きっかけは、夏休み最後の夜の、不安で憂うつな気分を分かち合おうと立ち上げたハッシュタグ「#8月31日の夜に」。 ハートネットTVでは、1年を通して、このサイトやハッシュタグで、10代のみなさんの気持ちに寄り添っていきます。このサイトは、10代のみなさんが「学校に行きたくない」「生きるのがつらい」といった気持ちを吐き出し、共有できる場を目指しています。
きっかけは、夏休み最後の夜の、不安で憂うつな気分を分かち合おうと立ち上げたハッシュタグ「#8月31日の夜に」。 ハートネットTVでは、1年を通して、このサイトやハッシュタグで、10代のみなさんの気持ちに寄り添っていきます。
簡単にいえば、たとえば、学校でひどい「いじめ」に遭っている子どもがいるとして、その子が夏休み中は学校に行かずに済んでいたのに、その夏休みが後1日、2日で終わってしまうことで、今すごーく思い悩んでいるのなら、「いいよ、学校に行くのを無理しないで」「楽に生きてごらん」と、ラクにさせてくれる番組だ。
一人で悩んでいる人の気持ちになって考えてくれて、きっと少し気持ちをホッとさせてくれる番組だ。
人生、死んでしまうほど悩んでしまうのなら、そこから逃げたっていいんだよ、と少しだけ年上のお兄さんやお姉さんたちが、自分自身の体験を話してくれたり、君たち自身の悩みを聞いてくれる番組だ。
番組ホームページは、タレントの中川翔子さんの写真が載っているから、きっと彼女も登場するのだろう。
この番組は、ひょっとすると自分の命を終わらせようなどと考えている「誰か」のために、いろいろな人たちが耳を傾けてくれて、解決方法を見つけようとしてくれる番組に違いない。
そうやって、この日本では10代の死因で一番多い「自殺」「自死」を一人でも少なくしようという試みだ。
私が今、テレビの「公共性」について考えていると言ったよね?
大きな地震や津波、豪雨災害などが来そうなときに、「このままだと危険ですよ~」「こういう方法だと命を守れるので参考にしてください」と呼びかけるのも「公共性」の大事な役割だと思う。
同じように、今、学校でいじめられたりして、親にも学校の先生にも友だちにも相談できずに、死のうとしている君の話を聞いてあげて、君が死なないですむ方法を見つけてあげられるなら、それも立派な「公共性」の役割だと思う。
この番組そのものは2017年から始まったもので、2018年にはすごく大きな賞ももらっている。
実はすごく地味な番組だけど、この番組は放送関係者には割と知られている。
テレビの世界で最も権威があるとされているコンクール「イタリア賞」だ。
専門家によると、「イタリア賞」の中でも、以下の賞だという。
ノンフィクション番組に関 連したオンラインコンテンツを対象とする「ウェブ・ノンフィクション部門賞」を受賞した。番組は、2017年8月31日に放送された『ハートネットTV+生きるためのテレビ「#8月31日の夜に。」』。テレビとウェブサイト,SNSを連動させて,新学期を前につらい気持ちを抱える10 代の若者たちの声に耳を傾け,彼らの“居場所” を作ろうとした試みだった。同番組は,229 の 全出品作品の中で最も優れた作品に贈られる「イタリア共和国大統領特別賞」も受賞した 。
やっぱり、立派に「公共性」の役割を果たしているんだね。
社会の中で立場の弱い人のことを考えて、励ましてくれる番組は『24時間テレビ』ばかりじゃないんだよ。