- 2019年08月31日 10:41
【ラ・トート】、創業7年が米国最古のデパートメントストアのロード&テイラーを買収!

■ファッション・レンタル・サブスクリプション・サービスのラ・トート(Le Tote)は28日、デパートメントストアのロード&テイラーについて親会社のハドソンズ・ベイ・カンパニーと買収で合意したと発表した。買収額は米ドルで約1億ドル。ラ・トートはロード&テイラーのブランドなど知的財産権を取得し、リアル店舗38店とEコマース事業を引き継ぐ。
ラ・トートは2012年にサンフランシスコで創業したスタートアップでサブスクリプション(定額課金)モデルのオンライン・ファッション企業。会員は月額費用を支払い、様々なブランドの洋服をレンタルできる。
一方、ロード&テイラーは創業が1826年となるアメリカ最古のデパートメントストア。しかし同社の売上は低迷し店舗閉鎖などの縮小を余儀なくされている。
アパレルチェーンと同様、デパートメントストアはアマゾンなどの攻勢にあって苦境に陥っているのだ。ファッションを手掛ける大手小売チェーンはオンライン・レンタル・サブスクリプションに参入する事例が相次いでいる。
ファッションブランドのアーバン・アウトフィッターズが今夏、サブスクリプション女性衣料レンタルサービス「ニューリー(Nuuly)」を開始する。
ニューリーではアーバン・アウトフィッターズ以外にも同社が展開する「アンソロポロジー(Anthropologie)」や「フリー・ピープル(Free People)」に加え、リーボック(Reebok)やリーバイス(Levi's)、ラングラー(Wrangler)といった100を超えるブランドからレンタルができる。対象アイテムにはビンテージも含まれるという。
同じくファッションブランドのアメリカン・イーグル・アウトフィッターズも今年始め、レンタルサービス「アメリカン・イーグル・スタイル・ドロップ(American Eagle Style Drop)」を開始している。
カジュアルブランドのエクスプレスもサブスクリプションの「エクスプレス・スタイル・トライアル(Express Style Trial)」でローンチした。アンテイラーも「インフィニット・スタイル・バイ・アンテイラー(Infinite Style by Ann Taylor)」で展開中だ。
アパレルチェーンだけでなくデパートメントストアもオンライン・レンタル・サブスクリプションを開始する。メイシーズは8日、傘下で高級デパートメントストアのブルーミングデールズで「マイリスト・アット・ブルーミングデールズ(My List at Bloomingdale's)」を開始することを発表。
月額149ドルとなるレンタル・サブスクリプションは9月中旬からのローンチを予定する。同サブスクリプションサービスには60以上のブランドから集めた100点以上の限定コレクションを用意している。
またGAPも16日、傘下のバナナ・リパブリックでサブスクリプション・サービスを発表。女性向けに月額85ドル(3着)「スタイル・パスポート(Style Passport)」はファッション・サブスクリプションを手掛けるキャッスル(Caastle)と提携し9月末にローンチだ。
なおレンタル・サブスクリプションの物流から洗濯・ドライクリーニングサービスまで提供するキャッスルはアン・テイラーやブルーミングデールズもサポートしている。
調査会社グローバルデータ・リテールではファッションレンタルの2018年の市場規模を10億ドルと試算しており、年20%の急成長により2023年には25億ドルに達すると予想している。
サブスクリプションサービスによる小売チェーンの買収や逆に小売チェーンによる独自ブランドのサブスクリプションサービスのローンチは今後も続いていくだろう。
⇒こんにちは!アメリカン流通コンサルタントの後藤文俊です。後藤は当ブログやコンサルティングで喩え話を多用します。たとえとは、わかりにくい事象を単純化・一般化・抽象化して、似ている身近なものに表現し直すのです。
後藤がよく使う喩えは「変化」や「変革」に関することです。変化や変革の重要性は、それこそビジネスマン全員がわかっていることだと思います。しかし変化・変革の難しさのレベルについて表現できる人はあまりいません。困難さを喩えるなら「変化・変革とは生粋の阪神ファンが巨人ファンになること(またはその逆)」と言っています。
本人が変化したくても、また変革を起こそうにも周囲が黙っていないということ。親しい人から時には裏切り者扱いを受けるぐらいの軋轢を周りに生むことになります。企業で変革を起こそうものなら、止めさせようとする派閥だけでなく、敵対勢力さえ生じます。しかも企業が大きくなればなるほど、手を変え品を変えて変革への妨害を企んでくるのです。
⇒雇用の流動性が激しいアメリカでは日本ほど変化に抗う動きは大きくありません。日本では社員が動けない、動かないからこそ企業の変革には目を光らせて盾突いてきます。ではどうすればいいか?変化・変革の重要性をシェアすればいいだけです。
阪神ファンが巨人ファンにならなければ、逆に巨人ファンが阪神ファンにならなければ命を落とす、もしくは命をなくした事例を見せればいいのです。それを1回だけではなく何度も見せれば命おしさに敵対勢力でさえ変化・変革に同意せざる得なくなります。むしろ積極的に変化・変革を受け入れるようになります。
今の日本の流通にはそれさえできていないと思えます。背景にあるのは経営者や幹部の高齢化です。アメリカに勉強に行くことさえ体力的に躊躇します。また自分が学んできたことを否定しなければならないような刺激的なことは避けたがる傾向です。人は自分の心地よいものに向かいます。当社クライアントにも高齢な経営者や幹部もいますが、彼らがスマートなのは次世代の人に勉強してもらうとしていることです。
電化製品や自動車、ファッションまで「モノは所有すること」を常識として生きてきた人にとっては、老舗百貨店がオンラインレンタルのスタートアップに買収されるというのはありえないことかもしれません。自分が敵対するチームのファンになれないのなら、次の人にチャンスを与えることですね。



