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あおり運転は米国にもあるの?運転トラブルに気をつけよう - 山本隆三(常葉大学経営学部教授)

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交通違反と拳銃

米国でスピード違反で捕まるとどうなるのだろうか。ユタ州の州道で捕まった米国に住んでいる日本人の経験を聞いたことがある。州南部の山間部にある企業に出かけていた帰り最終便に乗り遅れそうな時間になり、制限速度55マイル(約90km)の山道をかなりのスピードで走っていた。ほとんど交通量をない道を追いかけてくる白いスポーツカーに気付いた時には、赤色灯がスポーツカーの上で点滅していた。

フォードのスポーツカーがパトカーだったのだ。降りてきた警察官からスピードが90マイルだったと告げられたが、セダンタイプのレンタカーで90マイルのスピードで山道を走るほどの運転技術はないので、その旨告げ90マイルの計測値はあり得ないと話したところ、警察官からは選択肢は2つある、ここでサインするか、このまま拘置所に行くかだ。どちらにすると迫られた。実際には申し立てが可能な筈だが、日本人とみて警察官は簡単に話を進めたのかもしれない。

サインするしかない。警察官が書類を作成している間、スポーツカーは珍しいと思い車を良く見てみようと車から降りたところ、警察官から「直ぐに車に戻りダッシュボードの上に両手を置き、動くな」と大変な剣幕で怒鳴られた。人気のない山道で拳銃を出されることを警察官は警戒したのだ。

教訓は米国では拳銃を警戒されるので行動に気を付けることだ。おもちゃの拳銃を取りだしただけで警察官に射殺された事件も報道されるほどだ。用心深い人は、財布を上着の内ポケットに入れ、それとは別に現金をズボンのポケットに入れている。強盗にあった時に財布を取り出そうと内ポケットに手を入れると拳銃を取り出すと勘違いされ、撃たれたり、刺されたりすることがあるかららしい。

米国人は、拳銃を持ち歩いているのだろうか。西部のロッキー山脈に近い地域では車の中に拳銃を持っている人が多いのは間違いない。私が仕事の関係で西部で車に乗せてもらった人は全員車のダッシュボードに拳銃を持っていた。理由は、熊がいる、毒蛇がいるというものだが、まあ護身用ということだろう。警察官が拳銃を警戒するのも理解できる。

州により異なるルール

米国では州により交通法規も罰則も異なるが、ユタ州は米国でも交通違反に厳しい州の一つだったらしい。反則切符をもらい、オンラインでクレジットカード決済を行うか、後で小切手を警察に送付することになる。不幸中の幸いは、スピード違反が95マイル以上でなかったことだった。40マイル以上のスピード違反では州裁判所への出頭が義務付けられ、裁判にあわせユタ州に行く必要があるとのことだった。日本からの旅行者がスピード違反を行うと日本から出頭する必要が生じるだろう。日本の国際免許だから反則金を免れることはないので、気を付けたい。

モンタナ州は、米国でもスピードに寛容な州として知られていた。90年代後半には州際道路での昼間の制限速度が撤廃されたこともある。日本より少し面積が広い州に人口は100万人だから、都市部を除けば車はあまり走っていない。時として30分間、約50kmの間民家はおろかガソリンスタンドも店もないという経験をするほどだ。すれ違う車もほとんどない。

モンタナ州では昼間10マイル(夜間5マイル)までの速度超過は、違反として記録されず、自動車保険の会社に連絡されることもなく、保険料金の上昇にはつながらないようだ。65マイルの制限速度の時には、軽微なスピード違反はその場で反則金を支払う制度が導入されていたほどだ。その場で現金を支払う制度は珍しいが、一部の途上国では警察官が違反もみ消しのためその場で現金を要求することがある。途上国の駐在経験がある人が米国に駐在を始めた時にシカゴの街中で運転中信号無視容疑で警察官に呼び止められた。

今までの経験では、現金を渡せばややこしい手続きを免れると考え現金を渡そうとしたところ、逮捕すると静かに告げられた。急いで米国に来たばかりで制度を知らないが、この場で罰金を払う制度ではないのか、とその場を取り繕い逮捕は免れたが、一部の途上国で行われていることを米国で実行するのは無茶だ。

州際道路の最高制限速度が州により異なるので、州を越えて運転する時には注意が必要だ。たとえば、最高制限速度80マイルのネバダ州から70マイルのカリフォルニア州に入り、そのままのスピードで運転をしていると州境を超えたところで警察官がスピードを計測していたりする。

トラブルに気をつけよう

米国では一時停止時のトラブルを時々目にする。日本では滅多にないが米国では信号機のない交差する道路の4方向全てに“Stop”一時停止の表示がある4-Way Stopと呼ばれる道路が結構ある。優先される道路がなく、到着した順番に優先権が生じるが、この道路で後から着いた車が先に出たりすると“You have to stop”などという怒声が聞こえたりする。

無理な車線変更、割込みはトラブルの元だが、米国では車線合流時などに“Yield”という表示がある。これは譲れという表示なので、本線を走行する車がいる場合には“Yield”の表示がある車線の車は譲る必要がある。因みに英国、豪州では”Yield”ではなく、”Give Way”の表示が譲れの意味だ。

米国では、赤信号でも歩行者がいなく右折したレーンに侵入する直進車両もなければ安全確認後右折することが原則認められている。但し、マンハッタンなど都市部の中心街では“No Turn on Red”の表示があり、赤信号時右折禁止だ。表示がない場所では右折が可能になる。右折可能なのに停止していればクラクションを鳴らされることもある。

スクールバスが生徒の乗り降りのためシグナルを点滅し停車している場合には、追い越しは禁止、中央分離帯がない道路では反対車線の車も停車する必要がある。一部の州では中央分離帯があっても反対車線の車も停車を要求される。鉄道線路の踏切では一時停止をしてはいけない。列車が来ていないことを確認し渡る。

交通量が多い道路では、右左折時に間違って反対車線に入り込むことはまずないが、例えば、ハワイ島、世界最古の国立公園イエローストーン、あるいは中央銀行総裁会議が開かれるジャクソンホールがあるワイオミング州などでは交通量が少なく、右左折時にうっかり反対車線に入る可能性がある。車線を間違わないように右に小さく、左に大きくと呟きながら運転している人も結構いる。

ニューヨーク・マンハッタンは、車も多く道路状態も悪く、しかも歩行者、時として車も信号無視をするので、運転がやっかいだ。さらに、面倒なのは繁華街を少し外れた道路で信号待ちをしていると、道路脇から何人かが登場し車の窓ガラスを磨き始めたりする。何をされるか分からないので、数ドル渡さないといけなくなる。

日本では一度もないが、米国で追突されたことが3年間で2度あった。同僚でも軽い追突事故にあった人が何人かいたので、米国のほうが追突は多いのかもしれない。私が経験した追突事故の一度目は、下り坂で信号待ちをしていたところ後ろの車が停止できず軽く追突した。傷を見に降りたが、相手は降りて来ず窓越しに“Sorry”だけ。傷もなかったのでそれで終わりだった。二度目は、土砂降りの高速で渋滞している時に、やはり軽く追突された。土砂降りだったので車外に出なかったが、ぶつけた方も出てこなかった。日本とは車に対する考え方が違うようだ。

交通トラブルは、どの国でも避けられないが、一番大切なことは、嫌なことがあっても「直ぐに忘れる」ことだ。寛容に直ぐに忘れることを心掛けたい。

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