- 2019年08月30日 08:09
オリエンタルラジオ中田敦彦さんと、吉本騒動を冷静に見つめ直す
2/2反社問題の本当の怖さとは
中田:
今回の問題の争点の一つは労使問題なんですけど、実は反社会的勢力の問題の方が大きい問題ですよね。
たかまつ:みんな忘れていますよね。今回の騒動は怖いですよね。反社と密接な関係であったのは芸能界だけではなく、企業もそうだったと思うんです。みかじめ料みたいのを払って、その代わり治安がよかったみたいな。暴対法ができたことによって暴力団っていうものを一斉に排除しましょうって、その結果暴力団とかがどんどん力をなくしてって、半グレという人たちがでてきましたよね。半グレは組織を持っていないので、アメーバ状に繋がっています。「今回詐欺をやるんだったら、この友達とやろう」いうような形で、組織化されていないので、警察も実態を掴んでいません。
だから、より我々の一般社会に入ってくる可能性がありますよね。なので、反社のことをあれだけ一緒に写真写っていた人たちを叩くってことは、自分達一般人も叩くことになりますよね。会社の社長とか、部長クラスの人たちも一緒に、ハメ撮りみたいな形でやったら、その人の地位を簡単に奪えるようになるって結構怖い社会だなって思いましたけどね。
芸能界と反社の密接な関係
中田:
そうなんです。反社会的な文化と表裏一体の中で歩んできた芸能の歴史をもう一度しっかり学ぶ必要があるんですよ。その上で、芸能は反社会的勢力と戦ってきたという歴史があることも知る必要があります。その文脈だと、今の吉本は決して最悪な状況ではなくて、「改善していく中でより明確に改善すべきことが見つかったんだ」と、僕は非常にポジティブに捉えています。
これまでも吉本興業は警察関係者を社内に入れたりして、反社会的な組織とのつながりを断ち切ろうという努力は間違いなくしてたんです。これはまず言っておくべきことですね。今の上層部が頑張ってきた歴史がここ10年あるんですよ。
たかまつ:
2011年に島田紳介さんが暴力団関係者と付き合いがあって、芸能界を引退した件もありましたよね。
中田:
あの辺りからずっと反社問題に取り組んでいたんですけど、今回それが機能していなかったんです。なぜかというと、反社会的勢力がアメーバ状になって活動しているからなんです。一社をチェックすれば反社会的勢力との関係を断ち切れるという単純な構造ではないんですよ。
警察関係者が企業の中にいて、リストと照合してチェックしてOKを出したとしても、あくまでOKが出ているのはフロント企業で、その裏に反社会的勢力が繋がっていて、そこまでは見抜けなかったのが今回の真相なんです。
たかまつ:
でも、このような経緯をちゃんと説明すれば、ここまで大きな騒動にならなかったはずですよね。
吉本は反社との関係を断ち切れていない?
中田:
おそらく反社会的勢力との関係を100%は断ち切れてないからだと思います。たかまつさんの「説明すべきである」という発言は、核心を突いているんですよ。なぜなら、この問題を解決する唯一の手段は契約書を作ることだからです。取引をするときに必ず「反社会的組織じゃありませんね。それを認証した上で私達は取引します」という文書を交わすことが最終的な落としどころなんですよ。でもそこに関しては吉本は二の足を踏んでた。企業として書類文化を導入するのは面倒だから。もそこに関しては吉本は二の足を踏んでた。企業として書類文化を導入するのは面倒だから。
たかまつ:
世間も許さないと思うので契約書は作ることになりますよね。公正取引委員会も吉本の契約書は交わさない方針に対して懸念を示していましたし。普通に考えたら、これで書類文化を導入するはずですよね。
吉本は、契約書を作らない可能性大
中田:
でもそんなにスピーディーには変わらないと思っています。今吉本は全タレントに「契約書をちゃんと作りたいですか?」というアンケートを取っているんです。芸人の性格をよく知っている行為ですよね。
たかまつ:
そうですね。アンケートの結果、「契約書を作りたい」と言う芸人は少なそうですもん。
中田:
そうなんですよ。僕の感覚ですけど99%が「契約書は作らなくて良いです」と言うでしょうね。その民意を盾に契約書を作らない方針を続けようとしているのが吉本です。
たかまつ:
中田さんが抗議した方が良いんじゃないですか?
中田:
でもこれは、正しさよりも満足度だと僕は思っているんです。芸人さんの契約書を作る必要を理解していない状態で僕が無理矢理「契約書を作りなさいよ」と主張したところで、事務所側も芸人側も「中田はなんか過激だ」とだけ思われて終わっちゃいます。だとすれば、僕は無理に契約書を作る文化を導入することをせずに、僕自身のイズムに共感してくれた人に対しては、正しい道筋を示すというやり方を続けようと思いますね。

なんで吉本を辞めないんですか?
たかまつ:
あと一つお伺いしたいことがあるんです。中田さんは絶対一人でもやっていけますよね。なんで吉本を辞めないんですか?
中田:
いつでも、辞めそうではありますよ。
たかまつ:
それでも辞めない理由は、吉本に所属していることでうまみがあるからなんですか?
中田:
吉本は今回の騒動のこともあるし、労使問題の古さや変わらなきゃいけないこともあると思うんですけども、良いとこだけピックアップすると逆に言えばこんな会社すごく少ないんですよ。
吉本の真の価値は、知名度
たかまつ:
吉本はどんな価値を持っているのでしょうか?
中田:
他業種の人にも、その仕事内容と社名を知られている会社って本当に少ないですよね。例えば「芸能事務所を何個か挙げてください」と聞かれたらジャニーズさんとかホリプロさんとかくらいしか挙がらないと思うんですよ。その中でも「お笑いの事務所と言えば?」と聞かれたら吉本は必ず入ってきますよね。
なぜここまで認知されているかというと、100年間積み上げてきた吉本の歴史があるからなんです。この歴史は今トップランナーとして仕切っているプレイヤーのものでもなければ、今経営している人達のものでもない。それは文化として日本人の中で積み上げられてきた過去の偉大なる先人達の賜物なんです。それに関しては客観的に見てとても価値があるなと思いました。
たかまつ:キングコングの西野さんはよく「吉本の劇場で漫才をしたいから、自分は吉本にいる」とおっしゃっていますよね。でも、オリエンタルラジオさんって、今はライブにも出ていないですよね。そうすると「お笑いと言えば吉本」という知名度を持っている必要はないんじゃないですか?
中田:
僕はタレント業をセーブしてビシネスっぽいことをして、違うジャンルの人と話すことで改めて分かったことがあるんです。それは、僕なんかより遥かに経済的な価値を生み出してる社長さんとかであっても、僕のことをすごく羨望のまなざしで見るということです。
たかまつ:
それはそうじゃないですか?
中田:
なぜそう思います?
たかまつ:
だって中田さんはテレビスターですもん。
テレビスターの経済価値の限界と可能性
中田:
そこなんですよ。
でもテレビスターが生んでる経済価値は、ビジネスパーソンが生んでる価値の100分の1だったりします。それでも尊敬されるということは、数字に表れない価値がタレントにはあって、それは僕らがみなさんに知っていただいてるとていう知名度が作り出しているんです。知名度とか人気とか、そういう目には見えないし、お金にも換金されていないものが価値だと認識した時に、吉本興業の持っている価値がとてつもなく大きいものだと分かるんです。
たかまつ:
どんなに成功したビジネスパーソンでも獲得し得ないのが、中田さんほどの知名度かもしれないですよね。
中田:
だからこそ、国もそういうところに信頼してメリットを感じるからタレントに仕事を振ったりするわけですよね。そこに目をつけている吉本のトップは頭が良いと思いますし、吉本の価値が何かをよく分かって動いていると思いますよ。
●最後にー中田さんの勇気を無駄にしないー
中田さんには勇気をもってお話いただきました。このお話を無駄にしないよう、芸能界が取り残されないように、きちんと前進してほしいなと思っています。自分のいる組織を冷静に分析し、それを公の場で発言できるって本当にすごいと思います。
よろしければ、YouTube「たかまつななチャンネル」で、
中田さんと対談していますので、こちらご覧ください。
明日以降、中田さんと政治について
徹底対談している動画もアップ致します。
また、芸能人の人権問題に詳しい弁護士の佐藤大和先生に吉本騒動の問題点をお話していただいた記事はこちらからご覧いただけます。
【吉本騒動についてちゃんと語ります】
https://note.mu/takamatsunana/n/n0bc71005775f
ぜひご一読ください。
- たかまつなな
- お笑いジャーナリスト・株式会社 笑下村塾 取締役
1993年神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学大学院政策メディア研究科、東京大学大学院情報学環教育部修了。フェリス女学院出身のお嬢様芸人としてデビューし、日本テレビ「ワラチャン!」優勝。また「朝まで生テレビ」「NHKスペシャル」などに出演し、若者へ政治意識の喚起を促す。
笑下村塾ホームページ
https://www.shoukasonjuku.com/



