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今治タオル組合、NHK報道受け「サステナビリティ方針」策定 ブランド再構築へ



今治タオル工業組合はこのほど、コンプライアンス委員会を設置し、サプライチェーンにおける人権、サステナビリティ調達方針などを策定した。NHKが6月、同組合員の下請け会社が技能実習生を劣悪な労働環境で働かせていた問題を報道したことを受けての対応。今後、労働者の権利や人権侵害などのコンプライアンス違反があった場合は認定マークの使用中止などを行うほか、取引先の実態調査を求め、場合によっては取引中止を求める方針。外国人技能実習生に関して、法務省は昨年1年間で9052人が失踪し、過去6年間に事故や病気で174人が死亡していると発表している。(サステナブル・ブランド ジャパン編集局=小松遥香)

今年6月末、NHKのドキュメンタリー番組「ノーナレ」が映し出した下請け工場の実態と技能実習生が直面する現実はあまりにもひどかった。「朝7時から15分の休憩を挟んで夜11時まで働いた」「家畜扱いされて、一日中叱られている」「このままでは人が死んでしまう」と涙ながらに訴えるベトナム人技能実習生らは、記者らに助けを求め、最終的には佐賀にあるシェルターで保護された。

この放送の2日後、今治タオル工業組合は「組合員の工場ではないが、組合員等の下請け企業。組合にも社会的責任及び道義的責任がある。労働環境の改善に努める」と発表した。

以降、協議を進めてきた同組合は今月23日、コンプライアンス体制の確立・強化を目的に「今治タオルコンプライアンス委員会」を立ち上げ、同委員会内に実習生からの相談や失踪事件の情報を交換するための「外国人技能実習生等連絡会議」を設置した。同会議には、今治市や同商工会議所、外国人技能実習機構、今治労働基準監督署、愛媛県中小企業団体中央会も入っている。

今回、組合は「人権方針」「サステナビリティ調達方針」「行動規範」「外国人労働者方針」も策定した。サプライチェーンにおける労働環境の安全性を確保し、労働者への敬意と尊厳を持って対応し、地球環境への負荷を最小限にとどめることを目指す考え。これまで、CSR(企業の社会的責任)は組合員企業に委ねていたという。

1952年に設立された今治タオル工業組合は、「『安心・安全』で上質な今治タオルを創り続けていくタオル産地」を目指してきた。現在、組合員数は104社。2006年以降は、クリエイティブディレクターの佐藤可士和氏の指導を受けながら、現在の「今治タオル」ブランドを確立してきた。

同組合の担当者は、今後のブランドの再構築についてこう話す。

「良いものを作って、適正価格で売り、社会に提供していくというだけでは持続可能な産地になりえない。世界の流れも変わっている。労働者にツケを回していては、ブランドとしての成功はないと実感している。組合員や関連企業を対象に、8月、9月も外国人技能実習生・制度に関する研修、コンプライアンス研修を実施していく計画だ」

9月のコンプライアンス研修には、「ビジネスと人権」に関わる専門家や佐藤可士和氏も参加するといい、同ブランドの新たな方向性を築いていく。しかし104社の組合員に加え、下請け企業への浸透は容易なことではない。同担当者は、「時間をかけてもやっていく。ブランド力があってこそタオル産地・今治であり続けることができる。組合員の中には、取引先からサステナビリティへの取り組みを求められ、すでに実行している企業もある」と話した。

技能実習生問題が浮き彫りにする、日本の社会問題

この問題の根底には、人口減少、地方の人口流出、労働者不足、地域間格差を含めたさまざまな格差の拡大、政治など日本社会の問題があり、この国に暮らす人がこれからの社会をどう考え、構築してくのかということが問われている。

「地域の労働力がひっ迫している。これからの日本経済の変化を考えてみると、技能実習生に頼り続けていけるとは思わない」

前述の担当者はそう話した。繊維・衣服産業は女性が多く働く産業だ。人手不足が進む中、同組合は今年7月から子どものいる女性への支援を開始した。組合員企業で働き、義務教育を受ける子どものいる女性に月額1万円を支給するという。

このほかに、日本では「留学生」という新たな働き手も増加している。「労働者としての留学生が陥る問題と技能実習生が陥る問題が類似している」と指摘するのは、日本の移民問題を取り上げた『ふたつの日本 「移民国家」の建前と現実』(講談社現代新書)を今年3月に上梓した望月優大氏だ。

望月氏は同著で、日本が、表向きには専門性や技術を持った外国人のみを限定的に受け入れ、それ以外の外国人労働者を日本人の仕事を奪うなどのさまざまな社会的影響を考えて受け入れないという姿勢をとりながら、裏側では「いわゆる単純労働者」をサイドドアから積極的に受け入れてきた「欺瞞」が、実習生や留学生が陥る構造的問題を生み出していると述べている。

「ビジネスと人権」に詳しいヒューライツ大阪の松岡秀紀氏は、「人権」の取り組みを企業で進める難しさについて、「権利」という概念が多くの人に腹落ちしていないことがあると話す。人権に関する日本の教育課程や法務省が出す冊子などを見ても、「女性」「子ども」「障害のある人」「部落差別」など個別の問題として取り上げられ、具体的にどのような権利が侵害されているかというところまで考えるようになっていない。

このことが、自分も他人も含め、誰もが本来持っているはずの「人間として尊厳を持って生きるのに不可欠な当たり前の権利」に対する鈍感さを生んでいると指摘する。苦手な人、無関心な人、知らない人であっても、「人権」があるということを認識するための仕組みが必要とされている。

外国人技能実習生の労働環境に関する問題は国内にとどまらず、海外でも明るみになっている。英BBCは今週、コムデギャルソンやバーニーズニューヨークの製品をつくっているという日本の工場で働いていた技能実習生などを取材し、「『メイド・イン・ジャパン』の影にある問題」という報じ方で、「日本で『搾取』される移民労働者たち」と題した約10分の動画を世界に配信した。

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