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エスカレーターの片側乗車、何でダメなの?専門家に聞いた

東京は左、大阪は右…片側は急ぐ人のためにあけて乗ることが当たり前になっている「エスカレーター」。空いているスペースは歩くというイメージを持つ人も多いと思うが、現在、エスカレーターを歩く行為は事故につながる恐れがあるとして、全国のJR・私鉄、空港などの52社局が共同で、エスカレーターの安全利用を呼びかけるキャンペーンを実施している。

掲出中の「エスカレーターの乗り方改革」を促すポスターには、「手すりにつかまる」「歩かず立ち止まる」といった、わかりやすいメッセージで安全な乗り方が示されている。このポスターは駅や商業施設に掲示され、あわせてポケットティッシュの配布なども行われているという。

一般社団法人日本エレベーター協会が推奨しているエスカレーターの正しい乗り方は、「手すりにつかまって立ち止まって乗る」。これは歩行者が、バランスを崩して他の利用者を巻き込み、事故をおこすなどの可能性があるためだ。

しかし、筆者が空いている側に立ち止まって乗車した際、「歩け」という視線を向けられたり、舌打ちをされたりしたことがある。このように、両側乗車を快く思っていない人もいるようで、NHKがTwitterでエスカレーターの乗り方改革を訴えたところ、様々な反対意見が寄せられていた。そんな両側側乗車への反対意見を一般社団法人日本エレベーター協会にぶつけてみた。

「片側乗車より両側乗車の方が輸送効率アップ」

両側乗車の反対意見で一番多いのは、「片側をあけ、歩けるようになっていないと、急いでいる時に不便」というもの。これに対し一般社団法人日本エレベーター協会は、「歩いたとしても短縮できる時間はわずかなので、安全を最優先に、立ち止まってのご利用をお願いします」と訴える。

他にも、「焦る人もゆっくり行きたい人もお互いが満足できる乗り方が、今の片側をあけての乗り方ではないか」「歩行乗車は危ないというが、転倒してケガをするリスクは本当にあるのか」など、現在の乗り方から変更しなくてもいいのではという声もあがっていた。こういった意見には、

エスカレーターが設置されてある駅舎・空港などで、エスカレーターでの歩行が起因の事故が現実に発生しているとの意見が寄せられております。また、エスカレーターでの利用者災害の調査を当協会は、5年に1度実施しています。最新の調査報告は、https://www.n-elekyo.or.jp/about/elevatorjournal/pdf/Journal7-13.pdfにあります。

と、歩行乗車の危険性を指摘。データを見てみると、2013-14年の転倒事故は階段上・乗り口・降り口合わせて1,023件で、前回調査(2008-09年)の事故件数から184件増えていることがわかる。エスカレーターの技術が向上しているにもかかわらず、転倒事故は減少せず、増加しているのだ。

また、「両側乗車だとエスカレーター前が混雑する」という意見もあるが、エレベーター協会は、「両側乗車をした方が、全体輸送効率は高い」と説明。そして、「通勤時間帯だけ、法令※で定められている範囲で速度をアップさせているものもある」と混雑解消のために工夫をしていると回答した。

「片側乗車でエスカレーター故障」は間違い?SNS上での疑問に対する専門家の答えは

写真AC

この他にも、様々な反対意見や疑問がSNS上で見られた。今回、その中の一部を一般社団法人日本エレベーター協会に直接聞くことができたため、Q&A方式で紹介する。

Q.「片側乗車よりも、両側乗車の方が危険だと考えています。出口でもたつく人がいると事故になる可能性があるため、片側をあけておくべきでは?」

A.歩きながらの乗車は、転倒など危険な状況が起こり、死亡または重傷を受ける可能性があり、大変危険です。ですので、出口での混雑を避けるため、前の方と1段空けて手すりを持ち、立ち止まってのご利用をお願いいたします。

Q.「知らない人と横並びで乗車することが苦痛で、両側乗車したくありません」

A.こういった状況や、荷物の関係で同じ踏段に乗車することが難しいこともあると思います。その場合は、千鳥乗車(一段に1人ずつ、前後の乗客と異なる側に乗車)で手すりにつかまり、立ち止まってご利用いただき、無理のない乗車をお願いいたします。

Q.「歩いての乗車を禁止するのであれば、一列のエスカレーターを増やすべきではありませんか」

A.一列のエスカレーターでも、歩行抑止になるとは限らないと考えております。一列でも二列でもエスカレーターでは安全を最優先に、立ち止まってご利用ください。

Q.「両側乗車を推奨する理由は、エスカレーターの寿命を縮めてしまうためですか?」

A.エスカレーターは一段の積載荷重だけではなく、エスカレーター全体での積載荷重に耐えられるように設計されています。どちらかにかたよって乗車することで壊れることはありませんが、メーカーではエスカレーターを歩いて利用する前提で製品化しておりません。

Q.「動く歩道は歩いて乗るものなのでしょうか?」

A.動く歩道も立ち止まって乗車いただくことがより安全と考えております。

覚えておきたい、正しいエスカレーターの乗り方チェックリスト

一般社団法人日本エレベーター協会のHPには、エスカレーターを安全、快適に利用するための注意事項が掲載されており、以下に記載する。

<ステップ上に立ち止まって利用することを前提にしています>
歩行禁止の呼びかけが始まっています。慣例となっているエスカレーターの片側あけですが、危険や不便をともなう行為だということが、少しずつ浸透してきました。多数の場所でエスカレーターの歩行禁止の呼びかけを始めています。

<移動手すりに必ずおつかまりください>
エスカレーターをご利用中にバランスを崩したり、停電による急停止などで不意の反動を受けることがあります。転倒・転落などの事故を防ぐためにも、移動手すりにおつかまり下さい。

<必ず黄色い線の内側にお立ちください>
ステップの黄色い部分は、エスカレーターの機構上、他の構造物と複雑にかみ合う場所です。くつやサンダル、衣類のすそなどが挟み込まれる場合があります。黄色の線の内側に立ってご利用ください。

<衣類のすそにご注意ください>
降り口のくし部に衣類が巻き込まれると大変危険です。ロングスカートや着物など、丈の長い衣類をご着用の際は、エスカレーターのステップに触れないように気をつけてください。

<踵のとがった履物をお履きの方はご注意ください>
ピンヒールなどの先のとがった履き物はステップの溝に挟まって抜けなくなる場合などがありますのでご注意下さい。

<傘の先などをステップのミゾに差し込まないでください>
傘の先などをステップのミゾに差し込まないでください。食い込んで抜けなくなる場合があります。

<乗り口付近や降り口付近には、立ち止まらないでください>
他の利用者の迷惑になるだけでなく、利用者との接触が原因で思わぬ事故につながることもあります。安全のために、エスカレーターの乗り口付近と降り口付近は広くお空けください。

<ベビーカー禁止>
ベビーカーのエスカレーターへの乗り入れは非常に危険です。タイヤがうまく乗らずにバランスを崩しますと、重さを支えきれずに転倒する恐れがあります。お子様を危険な状況にさらすことになりますので、絶対にしないで下さい。

<エスカレーターの利用中は禁煙です>
まわりの方への迷惑となるだけでなく、ステップの隙間からエスカレーターの内部へ落ちたタバコの火から引火する恐れもあります。エスカレーター利用中は禁煙です。

身近な存在だからこそ、乗り方やマナーが話題になるエスカレーター。本記事を参考に、ぜひ自分の乗り方を振り返ってみて欲しい。

※平成12年建設省告示第1417号第2

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