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アングル:アマゾン火災、なぜブラジルと世界の「危機」なのか


Jake Spring

[ブラジリア 25日 ロイター] - 地球環境にとって重要な存在であるアマゾン川流域の熱帯雨林で発生した記録的な件数の火災が、国際的な怒りを呼んでいる。ブラジルのボルソナロ大統領も、消火支援のため軍の派遣に踏みきった。

この災害について、知っておくべき情報をまとめた。

<なぜアマゾン川流域が重要なのか>

流域の60%がブラジル国内にあるアマゾン川の一帯には、世界最大の熱帯雨林が広がる。この熱帯雨林には、固有の植物種・動物種が多数育まれており、生物多様性の宝庫と考えられている。

密度の高い原生林は、気候変動の最大の要因と考えられている温室効果ガスの二酸化炭素を膨大に吸収しており、科学者らは、アマゾン熱帯雨林の保全が地球温暖化対策に必須であると話している。

<火災はどれほど深刻なのか>

ブラジル国立宇宙研究所(INPE)によれば、ブラジル国内全域の森林火災の件数は、少なくとも2013年以降で最悪の水準であり、年初から8月23日までに前年同期比で84%増加している。今年これまでに7万8383件の森林火災が発生しており、その約半分が8月に入ってからだ。

アマゾン川流域にある9つの州のうち8州で森林火災が増加しており、最大のアマゾナス州では146%の増加となっている。ロンドニア州・アマゾナス州の現地住民によれば、森林火災は毎年発生しているものの、これほどひどい年は記憶になく、煙が雲のように同地域を覆っているという。

<火災の原因は何か>

アマゾン川流域では、土地の開拓のために意図的な放火が行われることが多い。製材業者が樹木を伐採した後、投機筋が残った植生に放火して更地にし、農家・牧畜業者に販売しようと目論んでいるのだ。アマゾン川流域では乾期に入って数ヶ月たっており、火災は広がりやすくなっている。

環境保護団体によれば、ボルソナロ大統領がアマゾン川流域の開発拡大を主張していることで、こうした慣習がいっそう大胆になり、それによって処罰を受けることはないと思われている、という。

2019年1月から7月までに、森林伐採面積は前年同期比で67%増加し、7月だけを見れば3倍になっている。環境保護団体は、伐採と放火は同じ人々によって行われていると見ている。

<ブラジル政府の対応は>

ボルソナロ大統領は当初、森林火災は平年並みであると示唆していたが、その後、火災は同政権を攻撃するための環境NGOによる自作自演であると主張するようになった。だが同氏は何の根拠も示しておらず、その後、そうした主張を撤回している。

大統領は、ブラジルにはアマゾン川流域のように広大な地域で消火活動を行うリソースがないと述べつつ、外国資本がブラジルの主権侵害を狙っているとして、他国が干渉しないよう警告している。

現在では政府は消火活動のために軍を動員することを決断しており、その後アマゾン川流域の複数の州が支援を要請している。軍の部隊がどのように展開されるか、どの程度の効果を発揮するか、詳細は依然として不明だ。

<各国首脳の発言は>

フランスのマクロン大統領は、アマゾン川流域の森林火災は国際的な緊急事態であり「エコサイド」だと指摘。ブラジル政府の熱帯雨林保護は不十分だと批判した。

仏大統領府は、欧州連合(EU)と南米南部共同市場(メルコスール)との貿易協定に関する最終承認に反対するとの声明を出した。6月の20カ国・地域(G20)首脳会議(サミット)の際に協定について合意した際、環境面での懸念に関してボルソナロ大統領が虚偽の発言をしたためだとしている。

英国のジョンソン首相、ドイツのメルケル首相は、アマゾン川熱帯雨林の破壊を懸念しているとしつつ、貿易協定阻止は適切な対応ではないと述べている。

マクロン氏は25日、米国、日本、ドイツ、フランス、イタリア、英国、カナダの首脳が、ブラジルを含む森林火災の被災各国に対する「技術的・資金的支援」の合意案について、毎年恒例のG7首脳会談で採択できるよう最終調整に入っていると述べた。

トランプ米大統領はボルソナロ氏との電話会談で米国からの支援を提案したが、ブラジル当局者はその後、消火活動に関して米国とは協力していないと明かしている。

<世論の反応は>

ブラジルでは10数カ所の都市で、森林火災に対する政府の無策に抗議する市民のデモが行われ、ブラジリアやサンパウロの主要街路を麻痺させた。デモはパリおよびロンドンのブラジル大使館周辺でも行われた。

ソーシャルメディアでは、「#PrayForAmazon」(アマゾンのために祈ろう)などのハッシュタグがツイッターでトレンド入りしている。一方、ボルソナロ政権支持の投稿をするユーザーは、「NGO無きアマゾン」という意味のハッシュタグを、やはりツイッターでトレンド入りさせている。

<気候変動への影響は>

科学者らは、さらに破壊が続けばアマゾン熱帯雨林は回復不能点に達し、熱帯雨林からサバンナへと変貌する枯死サイクルに入ってしまうのではないかと懸念している。

ブラジルの気候学者カルロス・ノブレ氏は、すでにアマゾン熱帯雨林全体の15─17%が破壊されたと考えている。当初、研究者らは全体の40%が破壊されたら回復不能点に達すると考えていたが、地球温暖化によりアマゾン川流域の気温も上昇し、森林火災の件数も増加したため、見方が変わってきた。ノブレ氏は今のところ、この回復不能点は20─25%程度だろうと話している。

ノブレ氏によれば、もし回復不能点に達した場合、30─50年かけて枯死が進み、その過程で2000億トンの二酸化炭素が大気中に放出される。そうなれば、気候変動による最も破壊的な影響を回避するための、気温上昇を摂氏1.5─2度以内に収めるという世界的な目標を達成することははるかに難しくなる。

(翻訳:エァクレーレン)

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