- 2019年08月28日 19:29
「年金財政検証」が示すもの
2/2安倍晋三首相は昨年の自民党総裁選で、就労長期化や厚生年金加入者増を軸とした雇用と社会保障制度の改革を目指すとした。今回の財政検証の内容も政府の方針を後押しする内容ともなった。

厚労省は年金給付水準確保の手段として、非正規労働者の厚生年金の適用拡大案を示した。現行の企業規模要件を廃止した上で、短時間労働者や一定の収入がある学生、雇用契約期間1年未満の者も年金の支え手とする案だ。支え手は大幅に増えるが、中小企業と非正規労働者、学生の負担が増えることになる。
同時に、基礎年金の加入期間の延長や65歳以上の在職老齢年金制度の廃止、厚生年金加入年齢の上限を現行の70歳から75歳に延長する案も示した。これらの案が採用されれば、受給開始年齢を75歳まで伸ばし、同年齢まで働いた場合には40年度の年金給付水準は現役時代とほぼ同じ額となるという。
「波平理論」という言葉をご存じだろうか。1950年頃の東京を舞台に展開している漫画『サザエさん』の父親の磯野波平さん設定年齢は54歳だ。あの風貌や立ち振る舞い、趣味の盆栽など今から見れば「老人」に見えるがその頃のサラリーマン定年は55歳だから引退間近だ。
当時の男性の平均寿命は約65歳。「波平理論」を提唱する日銀の関根敏隆氏は「生物学的には現在の74歳に相当する」という。定年後も健康で働けるうちは働き、受給者から支え手になれ、という訳だ。
サザエさん一家のようなサラリーマンと専業主婦家庭を想定した厚生年金制度が始まったのは戦時中。令和の今、年金受給年齢は逃げ水のように遠ざかり、「老後」は死語となりつつある。
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