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「年金財政検証」が示すもの

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年金手帳 出典:Wikimedia Commons; Katamakura

八木澤徹(日刊工業新聞 編集委員兼論説委員)

【まとめ】

・厚労省年金局は「100年安心年金」の維持可能と結論。

・年金給付水準確保の手段として非正規労働者の厚生年金適用拡大案。

・定年後も健康で働けるうちは働く、「波平理論」が望まれる。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合は、Japan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47655でお読みください。】

厚生労働省は5年に1度に公的年金の将来財政見通しを確認する年金財政検証」を公表した。今回も男性の現役世代の平均手取り収入額に対する65歳時点の「夫婦二人世帯」の厚生年金の給付水準を示す所得代替率は、2040年代半ばまでは5割を維持できるとしたが、重要なのは推計結果そのものではなく今後の年金改革の議論に繋がっていることである。

年金財政検証はあらゆる経済前提をベースに、5年ごとに年金保険料や給付額の将来推計を行う、いわば公的年金制度の「健康診断」といえる。財政検証を受け、政府は今秋から年金改革の議論に着手。20年の国会に関連法案を提出する考えだが、高齢者の増加と若者の減少という人口構造の急激な変化に正面からどう立ち向かうかが焦点となろう。

厚労省年金局は、今回も「100年安心年金」を「おおむね維持できる」と結論付けた。一方で、企業規模要件を見直した場合の被保険者の非正規雇用者への拡大や支給年齢引き上げ、在職老齢年金の見直しした場合の「オプション試算」を示すなど、苦しい財政事情も明らかになった。

今回の検証では、前回14年の検証と比較して財政的にプラス要因となる出生率推計を上方修正し、高齢化率も低下すると推計した。また生産性向上などを示す全要素生産性(TFP)上昇率や実質賃金上昇率のほか、厚生年金・国民年金などの公的年金資産の運用利回りなど経済の前提は前回より低く設定したという。

毎回注目されるのが所得代替率である。現在の代替率は61.7%だが、経済成長と労働参加が進んだ場合、財源の範囲内で給付水準を自動調節する「マクロ経済スライド調整」が終了する46~47年度時点での厚生年金所得代替率は5割を維持できるとするなど、現行制度の安定性を強調した。

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