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“楽曲は無料、ライブも無料”の時代を--日本の音楽業界に挑む米国人シンガー

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——ネルソンさんのバンドも、事務所に所属せずに自分で何らかの手段で音楽を無料配信して、ライブに来てください、ということを実現しようとしているんですよね。

ネルソン:そうです。でも日本のライブハウスってすごく高いんです。理想としては「CDは無料だからライブに遊びに来てください」って言いたいんだけど、いまの日本だとそれも成り立たない。この間、お金は相当大変だけど、いったんライブを無料にしてみた。

そこで日本の若者に『ライブって楽しいじゃん』って思ってほしい。そこから積み上げていこうと思いました。お布施じゃないけどオープンプライスで、100円でも1000円でも1万円でもいいって仕組みを作っていきたい。音源無料、ライブ無料。そこまで行かないと日本は救われないかもしれない。

nothing ever lasts
nothing ever lastsのライブ風景


——そういえばインターネットの便利なサービスやアプリって無料で使えるものが多い。で、広告を表示したり、コアなファンに課金したりっていう収益の道がありますよね。音楽もそんなふうに「たくさんの人に聞いてもらえたら、何か別の手段で儲かるかもしれない」ってことになる?

ネルソン:そう、このあいだFacebookに買収されたInstagramみたいなね。そういうイメージです。音源がYouTubeでバーっと広がって、ライブも無料だけど人が集まれば、ムーブメントは作れるはずなんですよ。アーティストはライブが好きだし、これが死んでしまうと日本のアーティストで世界で活躍する人は現れないと思います。それが怖いんだよね。日本が大好きな自分として。

「よし、無料配信無料ライブでどうやって生活しようか」と思った時に、いま一番現実的なのがYouTubeの広告収入。最近パートナーアカウントになったんだけど、割と誰でもなれるんですよね、ある程度再生回数があれば。オリジナル動画を作って、広告収入から生活できる仕組みを作っていこうかなと。

■JASRACに任せるな

——YouTubeでそれなりのビジネスが成り立ったら、本当にタダでライブもできる。

ネルソン:それがベストですよね。そういうふうにしていきたいんだけどね。アーティストはJASRACと関わらずに生きていけるんですよ。JASRACって何もしていないです。楽曲がどこかで流されたらそこに行ってお金を取るだけ。何かを作るわけでもないし、何かを新しくするわけでもない。

これからアーティストに伝えたいのは、絶対にそういうところに登録するなってこと。自分で管理すればいいと思う。自分がちゃんと権利を持って、悪用されていたら訴えればいいわけ。JASRACに任せる必要はない。だけどテレビで流されたり、YouTubeで流されたりしたら、宣伝になったと思えばいいわけですよ。

音楽ってお金がなくても楽しめるはずのものですよね。音楽そのもののニーズは消えないですよ、ビジネスが衰退したって音楽は変わらない。世界中みんな、音楽が好き。じゃあどうやってニーズを満たせるかというと、どんどん敷居を下げるべきだと思う。

例えばライブハウスってすごく設備がいいんですよね。照明もあって音響もすごい。それをなくせばいいんです。音響も照明も、どうでもいい。ちょっとだけスポットライト当てればいい。

そういうものは悪い音楽を良くするためには必要かもしれないけど、良い音楽には必要ないんです。最低限の設備でやっていけば、良い音楽しか残らなくなる。「ルックス」とか「カワイイ」とかそういう人はどんどんいなくなって、実力あるアーティストしか残らなくなる。現実的にどんどんコストカットするしかないし、逆にそうすれば良いものが残っていく。

——ネルソンさんは音楽以外の事業も考えているとか。

ネルソン:事業というか、バンドはバンドなんだけど、自分のレーベルも作ってみたい。音楽で成功するためにはいろんなことをやらなきゃいけなくなる。僕らの場合は僕らのことを「面白いな」と思ってくれる人が集まってきてくれたんです。

それは映像を作っている人だったり絵を描いたりしている人、他にもPRを仕事にしている人とかWeb制作をしている人だったり。毎週金曜日に、ウチのマンションで会議というか飲み会をやっていて(笑)。だいたい皆同じぐらいの年齢。20代後半から30代前後。

みんなそれぞれ、お金がどうとかいうよりも面白いこと、楽しいことをやりたいなと思って集まってくる。そういう意識を持っている人たちがすごく増えてきたから、「これは会社をやるべきだな」と思って「ever lasts production」っていう組織を作った。

まだ会社組織にはしてないんだけど、その中で音楽の部門はいまやっているバンド「nothing ever lasts」になるし、アーティスト向けのPRやネット配信、コンテンツ作りとか、今後どんどん増やしていきたいと思っています。

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