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リクナビの個人情報の濫用が就職活動のシステムを変える!? ~ビジネスパーソンの言語学59



最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座59、いざ開講!

「新卒事業は継続の危機にある」―――就活生の同意を得ずに「内定辞退率」の予測を企業に販売していた問題で謝罪会見を行ったリクルートキャリア小林大三社長

いつの間にか吸い上げられていた情報が、自身の将来に影響を与える。就活学生ならずともぞっとするような話だ。就職情報サイト「リクナビ」がAIによるプロファイリングで就活生の内定辞退率を予測し、その情報を企業に販売していた問題をめぐって、政府の個人情報保護委員会がリクルートキャリアに個人情報の取り扱いを改善するよう勧告と指導を実施した。

リクルートキャリアでは、過去の内定辞退者がリクナビを閲覧した履歴を分析。その結果から、就職活動中の学生が内定を辞退する確率を5段階で推測して企業にセールス。これまで38社が400万円〜500万円で契約したという。現在は学生側の“売り手市場”だといわれているが、募集中の企業情報が集まり、検索・閲覧が可能なリクナビは就活学生にとっては、登録不可避なサイトだ。

また採用難のなか、長く働いてくれそうな学生を探したい企業側にとっても学生の細かな情報は喉から手が出るほどほしい。この両者のニーズを“勝手に”ビジネスにし、学生の個人情報を売り渡し、ざっと1億5000万円以上の売上を手にしたリクルートキャリア。その商法は、あまりにもコンプライアンスの意識が欠けているといわざるをえない。もちろんデータを購入した38社のモラルも問われる。

「新卒事業は存続の危機にある。今回、ご迷惑をおかけした学生の信頼をゼロから取り戻すために何が必要なのか。組織をどう変えるのか、というところに集中したい」

リクルートキャリアの小林大三社長は会見で謝罪し、反省の姿勢を見せたが、リクナビの継続はかなり厳しい状況だろう。この件が今後の就職活動、個人情報の取り扱いに対して提起した問題点は少なくない。

「この事例によって、本当に適切にデータを利活用してこの産業を進化させよう、個人の生活を便利にしようというデータ利活用の会社に迷惑をかけたのであれば本当に申し訳ない」

もちろんデータ社会に対する警鐘の意味合いは大きい。さらに言えば、学生が同じタイミングで同じようなスーツを着て企業詣でをする“就職活動”という日本独自のシステム自体の崩壊に繋がりかねない出来事だ。

そもそもこの新卒の一斉採用は、終身雇用とセットになっているから意味があった。学生が企業に忠誠を誓い、企業はその人間を定年まで雇い続ける。その終身雇用が崩壊しつつある現在では、新卒で入社する意味がほぼなくなっているといっても過言ではないだろう。

採用担当者は、「自分の頭で物事を考えられる自主性のある学生」、「常識にとらわれない自由な発想ができる学生」を求める。だが、同じスーツに身を包み、マニュアル通りの受け答えしかしない学生にそんなものを求めるのが間違っている。そしてこの学生を画一化するマニュアル就活をリードしてきたのが、このリクナビのようなビジネスなのだ。

これを機に各企業は、就活について見直しをすべきではないか。学生はデータではない。計算できない未来の可能性だ。ひとりひとりときちんと向き合い、互いのニーズにあった就職が実現できれば、日本の未来はもう少し明るいものになるような気がする。

Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images

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