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小池都政の負の遺産が2020東京五輪の成功を妨げている

 1年後の7月24日に東京オリンピックの開会式を迎える。各地で盛り上げのためのイベントが行われたが、今年も日本列島は連日の猛暑が続いた。

 健康のためのスポーツ大会が、健康を害すことにつながるようでは話にならないが、なぜ56年前のように10月の気候の良い時期ではだめなのか。それは、テレビ放映権との絡みである。

 東京大会についても、暑さ対策の他に、競技施設建設、宿泊施設準備、交通渋滞・選手の輸送、ボランティアの確保、バリアフリー化など問題が山積している。組織委員会と東京都が、これらの問題に対応しているが、あと1年で完備できるかどうか微妙なところである。

 とりわけ豊洲新市場への移転が2年遅れたことは、五輪準備にも多大な影響を与えている。築地の跡地は、一大駐車場として活用する予定であったが、それができなければ、周辺のパーキングに分散させることになる。

 また、環状2号線の全面開通もできず、選手の輸送などの交通に大きな障害を与える。そのため、五輪開催中は首都高が1000円値上げになる。

 マスコミが囃したてる劇場型政治では、たとえば豊洲市場が問題になると、それのみを数週間にわたり一点集中的に取り上げる。豊洲・築地問題が2020五輪とどのような関連があるかなど一切注意しない。警告を発する者がいても、沈黙させられるのみである。

 小池都知事が大衆を扇動した豊洲騒動が、交通渋滞など、五輪の円滑な運営に大きなマイナスとなっている。小池ポピュリズムの大きな負の遺産だ。豊洲騒動で小池のお先棒を担いだ記者は、責任をとるどころか栄転している。

 暑さ対策、交通、セキュリティなどの技術的な諸問題に加えて、そもそも東京五輪は何のために開催し、どういうメリットがあるのかを東京都知事は明確にする必要がある。30兆円にのぼる経済効果があると試算されているが、それは本当か。東京が立候補するときは、コンパクトが売り物で、お金は潤沢だというのもセールスポイントであった。しかし、その両者とも今や事実ではない。

 1964年東京大会は、新幹線、首都高、青山通り建設など戦後復興を内外に示し、敗戦国日本の国民に大きな希望と勇気を与えた。2020年大会はどうなのか。一定の物質的豊かさを実現したものの、他の先進国に比べて豊かさの実感がない。それは、スポーツや文化を楽しむゆとりがないからである。 

 五輪を生活様式や価値観の大きな転換をもたらすきっかけとすべきではないか。

 そのような話は小池都知事から聞いたことがない。未来への哲学もビジョンもない。五輪開催の意義について、得意げにレガシーを語るのなら、プラスの遺産を残す東京大会にしてほしいと思う。

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