- 2012年05月29日 13:44
新聞休刊日が”週”4日になる!?
「休刊日 なんだか孫の 来ぬに似る」
「所在なく 昨日を開く 休刊日」
「休刊日 うろうろ熊の 檻みたい」
「恋人に 振られたみたいな 休刊日」
半年ほど前のNHKラジオ「文芸選評ー川柳」で流れた一部です。新聞好きとしてはとても実感でき、笑っちゃったので、いくつか思い出してメモしました。でも、笑ってる場合じゃなくなる事態が迫っているのかも知れません。日本より深刻な状態にある米国で、「宅配は週3回程度」という動きがあちこちで出てきているからです。
南部ルイジアナ州の州最大の都市、ニューオーリンズで、175年の歴史を持ち、2005年のハリケーン・カトリーナ報道でピュリッツァー賞を2部門で取ったこともある日刊紙Times Picayuneが今秋から、印刷した新聞(プリント版)の発行は水、金、日の週3回に減らすと公表しました。
同紙は、大手出版社Condé Nast(Vogue,New Yorker,Vanity Fairなどを発行)も傘下に収めるAdvance Publicationsの最有力紙の一つですが、カトリーナ以前には26万部以上あった部数が、現在は半減しているそうです。カトリーナの後遺症で人口が減ったことに加え、やはりインターネットの影響が大きいのでしょう。
そこで、コスト節減を迫られ、カネのかかる印刷版は広告が集まる水、金、日に集約することになったのです。同時にレイオフ、賃金カットも行うようです。レイオフの数は明らかにされていませんが、地元のニュースサイト<Gambit>の記事は「150人の記者が100人か、それ以下になる」との見通しを伝えています。カトリーナ以前には265人の記者がいたそうですから、大変な縮小なうえ、ネット報道は24時間体制で強化すると会社側は言っていますから、残った記者も辛い。新聞記者受難の時代です。
おもえば、新聞がネットに押されて、紙の発行を止めたり、ネット移行することで話題になった先駆けは2008年春に、クリスチャン・サイエンス・モニター(Christian Science Monitor CSM)が、来年4月からネットに移行すると表明したことでした。そのCSMのネット移行直前の2009年3月には、Seattle Post Intelligencerがオンラインのみに移行しました。
同じころ、当時、不況に喘いでいた自動車の街デトロイトのFree PressとThe Newsが共同で、宅配を木、金、日のみとし、それ以外の日は印刷部数を減らして街中の新聞BOXなどで提供したのも話題になりました。(余談ですが、この時に、木、金、日以外の4日間分を郵送するサービスは、宅配+デジタル版アクセス料金が12ドルのところ31ドルもしたのに6300人が注文したそうです。紙の新聞がないと落ち着かない人は洋の東西を問わず、沢山いることが証明されました)
実はPicayuneの親会社Advanceは、CSMからデトロイトまでの動きが盛んだった同時期に、デトロイト周辺のAnn Arborというミシガン大学のある学園都市でやはり、同じ事を始めていたことを初めて知りました。
Ann Arbor Newsという新聞の発行を木、日の2日に減らし、AnnArbor.comを充実させたそうです。料金はかっての週7日宅配時が月12ドルだったのを9ドルに下げたせいか、AnnArbor.comと題字まで変えた新聞の部数は微減に留まり、紙代、印刷代、配達代の節約を考えると十分ペイした上に、スタッフは従来の半分にしたので、経営は好転していると1年後の様子をPoynterが伝えていました。
細かいことは追い切れませんが、AdvanceはAnnArbor.comの成功を見て、ミシガン州内で徐々にローカル新聞の宅配日削減を進めていたようです。そして今年2月、Advanceは、AnnArbor.comを含む、近隣の小部数ローカル紙8紙の共同サイトMLive.comを立ち上げ、同時に4紙が新たに週7日の宅配から週3日に削減することを発表しています。残りの4紙はすでに削減を行なっていたようで、先のAnnArborが週2日、3紙は週4日体制です。
こうした実績を積み上げて、ついに有力紙Times Picayuneにまで宅配削減が及んだということです。同時に、アラバマ州でも州内最大部数というBirmingham Newsとその姉妹紙2紙の3紙が宅配週3日への移行と人員削減を発表したそうです。これもAdvanceグループです。
3月9日のエントリー「ローマは燃えている。ジャーナリズムを捨てよ!」で紹介したように、米国の新聞広告費は、インフレ率を勘案すると60年前のレベルまで落ち込んでいます。そうした困難な中で、生き残りの方途として、広告が集まりやすい日だけ宅配するというAdvance Publicationの行き方が、新聞サイトの課金という今の流れとは別の流れを作るような気がしないでもありません。
しかし、個人的には日本でそうなって欲しくはないですね。たった月1回程度の休刊日ですら、冒頭の川柳同様、切なくなるタイプですから。



