- 2019年08月27日 15:15
"平成のスター"木村拓哉が何でもできちゃう訳
2/2大成する若手時代の過ごし方
亀山千広も当時の木村を振り返りながら「とくに新人の役者さんの場合は、どの時期にどんな役を演じるのか自分でコントロールしていかなければ、大きな役者になれません(※5)」と語っています。
これは何も役者に限った話ではありません。
自分の理想とする仕事のビジョンを、きちんと把握できるのは、自分だけ。むしろ、自分の10年後の仕事のビジョンまで意識して、仕事を振ってもらうことを他人に求めるのは、なかなか難しい話です。
もちろん、他人に言われた仕事をこなし続けるのもひとつの美徳ではありますが、ときには、自分のビジョンとかけ離れていないか、その仕事の延長線上に自分の理想はあるのか、立ち止まって考えてみるべきなのかもしれません。
木村はひとつひとつの仕事が、自分の未来に及ぼす影響を考えて仕事をすることで、理想とする自分のビジョンに、強烈な意志をもって近づいていった人なのです。
仕事ではありませんが、当時のジャニーズのアイドルとしては珍しく、しかも『ビューティフルライフ』が大ヒットを記録した2000年、28歳での結婚や父になる決断も、なりたい自分の将来像に対する、強烈な意志の表れなのではないでしょうか。
意志を持ちながら、過信は絶対にしない
一方で、自分の意志をしっかり持つことと、自分の力を過信することは別だということにも気をつけているようです。
自分の力を過信すると、周囲で支えてくれている人たちがいる、ということを忘れがちになってしまいます。しかし、木村はその意識をきちんと持っています。
映画の記者会見などで「俳優部の一員として……」と言うのはその表れ。衣装部、照明部、演出部……他にも多くの人たちがいて作品が成立していて、自分はそのうちのひとつの部の一員でしかない、という意識が強いのです。そこに「自分が主役だ!」という自我は垣間見えません。
冒頭に引用した言葉の通り、木村拓哉はもちろん努力という意味で頑張ってきたけれど、語源のようにむやみに「“我”を張ってきた」男ではないのです。
本人もこう語っています。
「僕らの仕事は、『この役をあなたにお願いしたい』と誰かに言われて初めて成立します。まず、そう言ってもらえるのが信じられないほどありがたいこと。思いを作品という形にして、たくさんの人たちに向けて放つというのは、ものすごいエネルギー。僕は、そこに一員として参加させてもらっているだけです。一人じゃ、なんっにもできないんですよ。『自分一人で』という感覚は、僕の中では皆無です(※6)」
「自分の強みはジャニーズです」
どの世界にも、ひとりでできる仕事なんて、ありません。
木村拓哉は“自分の意志をしっかり持つこと”と“周囲のお陰で自分が仕事をできるという意識を持つこと”をしっかりと自分の中に共存させているのです。だからこそ、ときに
自分の意志をしっかりと主張しても、周囲が理解を示し、協力をする。
長年にわたって、正直、調子に乗ってもいいくらいの実績を出し続けながら、自分の力を過信しない。
逆説的な言い方ではありますが、そうやって、自分の力を謙虚に問い続けることも、相当な意志の強さがないとできない、とも言えるでしょう。
第一線を走り続けながらも、決して「自分ひとりで」という感覚を持たない。かつて、糸井重里が木村に「自分の強みは?」と聞いたところ、こう返ってきたといいます。
「ジャニーズです(※7)」と。
※1:「Invitation」2006年12月号 ※2:「ダ・ヴィンチ」2017年4月号 ※3:『TAKUYA KIMURA×MEN’S NON‐NO ENDLESS』(2011年9月、集英社) ※4:NHK『あさイチ』2017年4月21日放送 ※5:「THE21」2008年5月号 ※6:「婦人公論」2017年4月25日号 ※7:「MEKULUVOL.7」(2016年2月)
----------霜田 明寛(しもだ・あきひろ) 作家/チェリー編集長 1985(昭和60)年東京都生まれ。東京学芸大学附属高等学校を経て、早稲田大学商学部卒業。9歳でSMAPに憧れ、18歳でジャニーズJr.オーディションを受けた「元祖ジャニヲタ男子」。現在は「永遠のオトナ童貞のための文化系WEBマガジン・チェリー」の編集長として、著名人にインタビューを行い、成功の秘訣や人生哲学などを引き出している。『マスコミ就活革命~普通の僕らの負けない就活術~』ほか3冊の就活・キャリア関連の著書を持ち、『ジャニーズは努力が9割』が4作目の著書となる。 ----------
(作家/チェリー編集長 霜田 明寛)
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