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上昇する学費、モトをとるのは難しい未来が待っている?

「幼児教育無償化」「高等教育無償化」などの負担軽減策に該当せず、教育費を丸抱えしている保護者は少なくありません。特に、自己負担が原則の学校外教育費をがんばって負担するのは、子どもにかける教育費が子どもの将来に役立つことを期待するからでしょう。

「保護者が子どもを大学に行かせたいワケ~教育と賃金の格差を考える~」(※)にもあるように、学歴が高いほど生涯賃金が多いというデータがあります。
かけた教育費が子どもの将来の賃金に反映されるのであれば、モトは取れそうな気もします。

とは言え、大学を出ても満足できる収入を得られない若者もいます。
教育費と生涯賃金の傾向を見ながら、教育費の負担について考えてみましょう。

大学の学費は右肩上がり

国立大学の授業料は、法律により「標準額」が定められています。時代を経るごとに標準額は改定されて上がり続けてきました。グラフ「大学授業料の推移」にあるように、ここしばらく標準額53万5,800円に変化はありませんが、標準額を超える大学がいくつか出てきています。



東京芸術大学は、2019年度の入学生から授業料を2割値上げしました。法律で標準額の2割までは値上げOKとされている、その上限の64万2,960円です。東京工業大学は東京芸術大学よりも低額ですが、標準額よりも高い63万5,400円です。

私立大学の授業料+入学料も右肩上がりです。施設設備費などを含む学校納付金額も微増しています。

生涯賃金は右肩下がり

次に、学歴別の生涯賃金を見てみましょう。



データは、学校卒業後ただちに正社員として就職した女性が、60歳まで同じ企業に勤めた場合のものです。グラフからは、学歴が高いほど生涯賃金が多いことがわかります。

けれど、いずれの学歴でも折れ線は右肩下がり。減ってきているということです。大学卒の場合、1990年の2億5,570万円から微増減しつつも1997年の2億7,750万円をピークに2008年まで2億5,000万円超を保っていましたが、以降、2億3,000~4,000万円台で推移しています。

データは27年間を表していますが、この期間は親子の年齢差に相当します。保護者が自分の若いころのイメージで「大学卒業者の生涯賃金は多い」と思っていたとしても、最近はそれほどでもないと言えるのかもしれません。

子どもの「職」を親子で考えたい

終身雇用が当たり前とも言えた時代から、正社員、派遣社員、パートタイマー、フリーランスなど働き方の選択肢が増えています。

同時に、子どもたちの希望する職業も保護者の時代とは違ってきているようです。

小学生がなりたい職業ランキング(「日本FP協会『将来なりたい職業』ランキング」)を見ると、保護者が子どもの頃にはなかったであろう「ゲーム制作関連」や「ユーチューバー」があります。大学卒業資格が求められる医師や教師という職業も希望していますが、学歴というよりも実力を求められるものもランキング入りしています。



ユーチューバーの場合、「就職」ではなく、個人事業主という働き方になるのでしょうか。社会保険料を勤務先が半分負担してくれる会社員とは異なり、自分で保険料を負担して手続きも行う働き方です。最低賃金が保障される働き方でもありません。どれくらい稼げば暮らしていけるのか、本人が納得できる「生涯所得」を手にするための「収入」はどれくらいなのか、すぐに答えられる人は多くないと思います。



子どもが未来の職業を考えるとき、その選択肢を広げることが保護者にできることと考えるならば、ある程度の学歴を持たせて社会に送り出すことは、有効な手段と言えるでしょう。

ただ、未来は常に変化していて、保護者の常識がいつまでも常識であり続けてくれるとは限りません。学歴と職業、そして賃金などの収入が連動しない未来が来るとしたら…?

そんなことも含めて、子どもの教育費をどこまでかけるのか、冷静に考えてみることも大切ではないでしょうか。

保護者が子どもを大学に行かせたいワケ~教育と賃金の格差を考える~
https://benesse.jp/kyouiku/201710/20171031-1.html

「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=416M60000080016&openerCode=1

「国公私立大学の授業料等の推移(文部科学省)」
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/__icsFiles/afieldfile/2018/12/26/1412031_04.pdf

労働政策研究・研修機構『ユースフル労働統計2018』
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2018/documents/useful2018_21_p312-356.pdf

平成30年度学校基本調査(確定値)
http://www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__icsFiles/afieldfile/2018/12/25/1407449_1.pdf

2018年度 「将来なりたい職業」ランキング
https://www.jafp.or.jp/personal_finance/yume/syokugyo/

プロフィール

菅原直子
「らいふでざいん菅原おふぃす」代表。ファイナンシャルプランナー、教育資金コンサルタント。子育て世帯の教育費を中心としたライフプラン相談、進学資金が不足している高校生と保護者向けの教育資金セミナーおよび親が老後破産しないためのアドバイスに注力中。「子どもにかけるお金を考える会」メンバー。子どもは3人。

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