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共に生きる:保護犬猫への愛情としつけに力注ぐNPO

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行き場を失った犬猫を保護し、豊かな愛情を注いで新たな里親へ譲渡する活動をしているNPOが、兵庫県西宮市にあります。「飼い主と信頼関係を築き、再び手放されることがないよう、しつけに力を入れている」というシェルターに伺い、話を聞きました。(JAMMIN=山本 めぐみ)

住宅街の中にある、静かで清潔なシェルター


「ペッツ・フォー・ライフ・ジャパン」のシェルターで、トレーナーと遊ぶ犬たち

NPO法人「ペッツ・フォー・ライフ・ジャパン(以下「PFLJ」)」のシェルターに伺ったのは、7月のある日。元はコンビニだったという建物は閑静な住宅街の一角にありました。

「近隣が住宅で囲まれているからこそ、犬の鳴き声などの騒音や、においにはかなり気をつけています」と話すのは、PFLJ事務局長の石本理佐子(いしもと・りさこ)さん(31)。

PFLJのシェルターでは、最大10頭の犬と5匹の猫を保護しているほか、飼い犬に向けて「犬のマナー教室」と、飼い主の不在時に犬を預かる「犬の保育園」も運営しています。

お話をお伺いした石本理佐子さん。保護犬の「ダン」ちゃんと

「人間がペットを手放す理由はいくつかありますが、吠える・鳴く・噛むなどといった問題行動や、日中、仕事などのために世話ができないというのも理由のひとつ。不幸な命を減らすために私たちができることを行っています」と石本さん。ちょうど取材に訪れた時は「犬のマナー教室」が開催されていて、たくさんの犬たちがサークルの中で飼い主さんと一緒にレッスンを受けていました。

24時間スタッフが付き添う、安心・安全な居場所


犬のマナー教室の様子。「飼い主さんが愛犬と一緒に参加し、生活していく中で必要なしつけを人と犬がコミュニケーションを図り、褒めるしつけでお互い楽しみながら絆を深めています」(石本さん)

奥の部屋では、現在保護している4頭の犬と、飼い主から預かっている犬たちがそれぞれ布をかけられたケージの中で休んでいました。

「人間も、ホテルの部屋のドアが開きっぱなしで廊下から清掃員の方やほかのお客さんが見えたらすごく気になりますよね。犬も同じ。こうやって布をかぶせることで『ここは安心できるスペースなんだ』『自分の空間なんだ』と犬たちが感じることができます」と石本さん。

保護して間もない犬や見守りが必要な犬のための小部屋も二つあり、スタッフの休憩室の小窓からいつでも様子が伺えるようになっています。PFLJでは、24時間スタッフが交代で勤務し、必ず誰かが犬猫を見守れる体制を整えているといいます。

一つひとつ布が掛けられたケージ

さらにケージにもこだわりがあり、ステンレス製ではなくプラスチック製のケージを使用しています。「ステンレス製は冷たく、落とした時の音なども気になりますが、プラスチック製は扉がしっかりしていて格子も細かく、地震が起きても、上から落ちてきたものが動物たちを傷つける心配が減ります」と石本さん。犬たちが安心して生活できる様々な工夫がなされています。

「保護犬猫を引き取りたい」という人を増やすために


石本さんが「あご」というと、手に顎を乗せるダンちゃん。保護犬1頭1頭としっかりアイコンタクトをとることを大切にしているという

マナー教室を終えたサークルでは、保護犬と預かり犬たちが遊んでいました。犬はじゃれ合ったり、スタッフさんに撫でてもらったり、自由な時間を過ごします。こうやってサークルの中で何頭かを一緒に遊ばせることは、運動になるだけでなく、社会性を育むことにもつながるのだそう。犬同士で遊ぶ際のルールやトレーニングも、ここで身につくといいます。

「2000年に活動を始めた当初、自分たちのキャパシティとできることを考えた時に、そしてこの先々殺処分数が減っていくのではないかということを視野に入れつつ『近い将来ペットショップからでなくシェルターから犬を引き取るというかたちに目を向けてもらうためには、きちんとしつけされた犬であることが大事だ』と思いから、PFLJでは少ないながらも保護した犬にしっかりと愛情を注ぎ、譲渡へとつなげています」と石本さん。

現在保護している犬たちのトレーニング表。「ハウス」「(歯磨き・ブラッシングなどの)ケア」「アイコンタクト」「おすわり」「伏せ」…いろんな項目がそれぞれ「練習スタート」「あともう少し」「完ぺき!」の3つの段階で評価されている

ここで譲渡を受けた人たちが、周囲の知人や友達に「保護犬猫もいいよ」と口コミで広めていってもらえるようにと、一頭一匹に丁寧に丁寧に接してきました。これまでの19年間で譲渡した犬猫の数は970頭。

「たくさんの数ではないかもしれないけれど、私たちができる限りのことをやりたい」と話す石本さん。その言葉を裏付けるかのように、スタッフさんやボランティアさんがたっぷりと犬猫に愛情を注ぎながらお世話したり、一緒に遊んだりする姿が印象的でした。

阪神・淡路大震災で、ペットと被災。
石本さんの原点


愛犬「なな」と石本さん。石本さんの10歳の誕生日で

「この仕事はまさに天職」という石本さん。犬猫の保護活動に携わるようになった背景には、7歳の時に経験した阪神・淡路大震災の影響があるといいます。

「当時、私たち一家は神戸市須磨区に住んでいました。震災で自宅は半壊し、私は家具の下敷きになったものの、幸運にも家具と家具との間に挟まったために一命こそ取り留めました。なんとか引っ張り出してもらってやっと逃げることができましたが、自宅には住めなくなり、私たち一家は知人の元へ、飼っていた愛犬の『なな』は祖母の元へ、離れ離れで暮らさざるを得なくなったのです」

「一緒に暮らせない間、とても会いたかったし、そばにいなくて寂しかった。いかに彼女が家族の一員であるかを強く感じたし、子ども心に何もできない無力感も感じました。そんな時に震災で被災した犬をレスキューし、里親を探して譲渡する活動をしている人がいることを知り、すごいと思いましたし、必要な活動だと感じました」

「祖母の家にいた『なな』は、家の中では飼うことができず、外飼いでした。私たちの家ではずっと家の中で一緒に暮らしてきたので、そのことも常に心配でした。『ハウスの練習をしておけば、一緒に避難できたのに』とも思いましたね。今保護している犬たちは、皆ハウスに入りますし、新しい環境でも吠えたり噛んだりしないように訓練しています」

その後、社会人として働いていたものの、「たった一度の人生、やはり犬猫に携わる仕事がしたい」と転職を決意。理念に深く共感したPFLJで働くようになったといいます。

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