- 2019年08月27日 08:50
「記者なしで報道機関を再現する」AIを使った“爆速”報道はメディアの働き方を変えるか?
2/2航空と報道は業界構造が似ている
「子供のころから航空会社を作りたかった」という米重氏。米重氏は、「航空と報道は似ている側面がある」と話す。
――米重
「最初は航空会社を作りたかったんですが、航空産業は初期の設備投資が膨大なうえ、国による規制があり、すぐに参入するのは難しい。そこで自分が関心を持てて、かつ解決できそうな課題がある領域はどこだろうと考えた結果、報道業界に行き着きました。もともとニュースが好きだったというのもありますが」
大規模な設備投資が必要な航空事業と比べると、報道事業の参入障壁はいくらか低い。一見まったくの畑違いだが、似ている側面もあるという。
報道業界に着目した米重氏は、起業した当初、記事の売買サービスを立ち上げたが、うまくいかなかった。
そんな折、共同通信のSNS監視チームが、数10人という体制で5分に1回SNSを監視していたのを目にした。そのとき、SNS監視と情報収集、配信などの作業をAIに代替させる策を思い立った。

――米重
「これって機械化できるんじゃないか? と思いました。報道は労働集約型の産業です。記者は取材でさまざまな場所に出向き、足で情報を稼ぎます。 どんなテクノロジーが出てきても、基本的には人間が取材して、記事を書くことは変わりません。 そうした環境で速さを求めるなら、他社より速くネタを取るか、他社より速く書くほかない。すると、現場の記者は疲弊していきます」
報道機関は記者が取材し記事を書くという労働集約型モデルのため、収益が下がってコスト削減を迫られれば、人を減らすしか方法はない。
かといって仕事が減るわけではないため、現場の記者の仕事は増え続ける一方だ。
少しでも自動化を進め記者の負担を減らさなければ、報道はどんどん窮地に追い込まれる。その状況をなんとかしたかったという。
バーチャル通信社として、記者なしで報道機関を再現する
――米重
「報道機関は数百人、数千人と記者を抱えています。JX通信社は、記者のいない『バーチャルな通信社』として、既存報道機関の存在を、日本国民全員のスマートフォンとFASTALERTで、どこまで再現できるかを目指しています」
ただ効率化、省人化することを目的にするのではなく、大きなビジョンがある。
もし報道機関に大規模に記者を抱えるのが不要なことが証明できれば、今後「小さな報道機関」が増えるかもしれない。そうすれば、報道機関同士の競争も活発化する。
FASTALERTは、報道機関だけでなく、公共セクターやインフラ企業など、広範囲かつリアルタイムに情報を把握する必要がある組織にニーズがあるサービスであり、今後ますますシェアを伸ばすだろう。
情報の「速さ」に、人間の時間と労働力を必要としない時代が来ることを祈りたい。
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by 高島 圭介
前職では、PRコンサルタントとしてBtoB企業を中心に、数々の企業のメディアリレーションを担当。Ledge.aiでは最先端のAIビジネス活用を取材するとともに、レッジ自体の広報活動も行なっている。



