- 2019年08月27日 08:50
「記者なしで報道機関を再現する」AIを使った“爆速”報道はメディアの働き方を変えるか?
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ニュース報道における「速さ」の価値とはなんだろう?
速く読者に伝えることよりも、深く伝えることのほうが重要ではないのか?報道に携わる人なら、誰もが一度は感じたことがあるだろう。
今、報道における速さは、少なくとも人間が時間と労働力を割いて提供するものではなくなっているかもしれない。AIを活用して、どんな通信社、新聞社よりも「爆速」で情報を伝える会社がある。
「記者のいない通信社」であるJX通信社だ。今回、代表の米重克洋氏に話を聞いた。
報道機関がこぞって導入する、爆速で事件、事故を知らせるツール
JX通信社のサービスのひとつである「FASTALERT」は、報道前の災害、事故情報をSNSから収集、検知し配信するSaas(Software as a Service)だ。
具体的には、自然言語処理、画像解析などを駆使し、SNSで投稿されるテキストや画像を検知し、それらから今何が起こっているかを割り出す。

たとえば投稿された画像に黒々とした煙が写っていたり、「煙がすごい」などのテキストなどであれば、直接的に火事と明言されていなくとも火事と判断する。
あくまで投稿をもとに判断し配信するので、情報の裏取りはユーザー企業となる報道機関などが行う必要がある。しかし、注目なのは配信するまでの「速さ」だ。
――米重
「FASTALERTはとにかく『速さ』を極める部分に社内のリソースをつぎ込んでいます。災害や事件であれば、投稿されてから最短20秒ほどで管理画面に表示されます」
2018年、東海道新幹線内で殺傷事件が発生した。
その際、FASTALERTは発生からわずか5分ほどでSNS上の投稿を検知し、報道機関へ情報を配信。配信を受けた報道各社が裏取りに動き、事件の第一報を報じた。神奈川県警の発表があったのは大きく後だったという。
このことからも、いかにFASTALERTの情報が「速い」かがわかる。すでに公共放送や、在京のキー局すべてに導入されているという。
導入側の労働力削減の観点でも魅力がある。これまでは、上述の共同通信と同じく、たいていの報道機関にはSNS監視チームが存在し、数10人単位で5分に1回、SNSでの投稿を監視している状態だった。
FASTALERTを使えば、管理画面を見張る人間が1、2人で済む。数10人分の労働力が削減されることになる。

――米重
「FASTALERTはSaasとしては価格が高い方ではありますが、同じことを人がやるよりは安いと自負します」
事件の際にも、FASTALERTが発信する情報は警察などの公式発表よりも速い。SNSの情報を拾うからだ。しかし、公式しか知りえない情報(警察であれば事件現場の状況や犯人のペルソナなど)があるため、棲み分けはできていると米重氏は語る。
現在はNHKほか、民法キー局のすべてがFASTALERTを導入済みだという。



