- 2019年08月25日 08:18
踊り場に来たクルーズ船ビジネス、異業種からの黒船参入で衝撃走る - 中西 享 (経済ジャーナリスト)
2/2「ジャパネット」が挑戦
家電通販大手のジャパネットがクルーズ市場に参入、チャーター船で大量の利用客を見込んでおり、業界に衝撃を与えている。今年は既に6回のチャータークルーズを実施してほぼ満席の盛況だったという。
20年は4月から10日間の日程で横浜―高知―鹿児島―済州島―秋田―函館を回るコースを5回、横浜―鹿児島―那覇―宮古島―基隆(台湾)を回るコースを3回の計8回のチャータークルーズを行うと発表した。一度に5600人が乗船できる大型船「MSCベリッシマ」を全船チャーターし、予約が埋まれば年間で約4万5千人が利用する計算になる。
同社が受けている理由は、クルーズ旅行が割高で敷居が高いというイメージをなくしていることだ。具体的には、寄港地での主要観光地を回る無料循環バス、船内ではアルコールを含むドリンクの追加料金がなく飲み放題、ジャパネットの添乗員が搭乗して専用デスクを設置―など。
またテレビショッピングを通じてツアーの内容に関して丁寧に説明をしていることもあって、他社のクルーズツアーと比較して初めての参加者が7割と多いのが特徴。

ジャパネットはこの数年、家電製品だけでなく、寝具や水の宅配サービスなど商品・サービスの幅を広げてきており、クルーズビジネスへの参入もその一環とみられる。既存の旅行会社も販売力のあるジャパネットの参入により、安閑とはしておられない。
「水際作戦」
寄港地で観光客が急増すると、心配なのが違法薬物の持ち込みや密輸などが増えるリスクが高まることだ。超大型船の場合、一度に5000人もが入国するため手続きに時間が掛かるのが課題になる。全国の税関を統括する財務省関税局監視課では、違法入国や違法物の持ち込みを防ごうと「水際」作戦を進めている。
数年前まではクルーズ船で入国する人の多くは富裕層だったが、いまは1泊1万円で楽しめるクルーズもあるため、多様な人が入国する。こうした事態に対応するため、同省では本年度からボディスキャナーという機器を税関に導入、入国する際にゲートをくぐってもらい、違法薬物などの持ち込みを食い止める。
また、入国手続きをスピードアップするため、パスポートのコピーを読み取るバーコードリーダーを設置し、ブラックリストに載った不審者などを素早く特定する。また、空港や港の税関に配置する職員数も17、18年度と200人以上増やし、19年度は9617人になっている。
同省によると、いまのところクルーズ船の乗客で大きな捕り物事件は発生していないが、油断はできない。入国に際しては、入国、税関、検疫の3つの手続きが必要になる。日本の港ではこの手続きが遅いなどのクレームは聞こえてこないが、今後は入港回数の増加に伴い、厳重な検査を行いながら円滑な手続きをどう確保していくかが課題になる。
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