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- 2012年05月28日 13:31
「こども子育て新システム」は日本の運命を決める法案【後編】
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ニコニコ生放送とBLOGOSがタッグを組んでお送りしている「ニコ生×BLOGOS」
第8回のテーマは「こども子育て新システムって結局どうなんですか?」
近頃、メディアで多く報道される待機児童問題。具体的な解決策が見出せない中で、政府が今国会に提出したのが「子ども・子育て新システム」の関連法案。
待機児童問題の解決や子育て支援が目的の法案ですが、そのシステムが非常にわかりにくく、世間への浸透度が薄いと問題だらけ。必要性と問題点を徹底討論した後編になります。
※前編はコチラ→http://blogos.com/article/39955/
【出演】
司会:大谷広太(BLOGOS編集長)
アナウンサー:小口絵理子
コメンテイター:須田慎一郎(経済ジャーナリスト)
ゲスト:泉健太(民主党・衆議院議員)
田村憲久(自民党・衆議院議員)
高木美智代(公明党・衆議院議員)
駒崎弘樹(NPO法人フローレンス代表理事)
小口:須田さん、やっぱりそれは投票権を持っている、持っていないといったことが影響しているんですか?
須田:やっぱり自民公明の旧政権時代に、そういう中高年以上の層が地盤になっていましたよね。ある意味、自民党っていうのは、そっちのほうにむかって政策をアピールしてきたわけです。
駒崎:誰が悪いという議論はおいといて。とにかく1対11っていうバランスの悪さを改善しないといけませんね。それを今回、消費税をあげて財源を確保し、子供に投資していこうという点は「こども子育て新システム」のいいところだと思います。では、この財源をいかに使っていくかという点では、もっと考えていかないといけないと思いますが。少なくとも、子供たち、そして働く親たちに対して、きちんと投資していこうというのは、どの議員さんも反対しないと思いますけどね。
大谷:まだまだ足りないところはありますか?
田村:子供たちに使うお金というのは、まだまだ必要だと思いますね。ただね、さっきもいいましたとおり、我々は、幼稚園は幼稚園でいいじゃないですかと。保育園は保育園でいい。待機児童を減らすなら保育園でいいんですよ。ただ、幼稚園が維持できないというんであれば、それなら認定保育園になって、保育園型になっていけばいいだけの話であって。そこがいままで使い勝手が悪いのであれば、認定こども園をもっと使い勝手をよくすれば早いじゃないですかと。こんな全部変えちゃって。施設側もわけわかんない!使う親御さんもわけわかんないっていう状況よりかは、ちゃんと手直しして動かしたほうが、よっぽどリーズナブルじゃないかと、我々は言ってるんです。
須田:まあ、リーズナブルという点では、自民党の田村さんの意見のほうに軍配があがるんですけど、それはダメなんですか?
泉:結局ね、今おっしゃっていることは「現状のままでいいじゃないか」と「やるんだったらトコトンやれ」って言っているのか、ちょっとわからないところがあって。待機児童が解消されるなら、幼稚園に0歳から2歳までの子供を入れるように義務化したらいいじゃないか・・・っていうわけですよ。でも一方では、やりすぎはよくないっていう。結局、どんな改革をしたら自民党さんは納得するのか。それがよくわからない。
田村:そんなことは言ってないんですよ!だから言ってるでしょ!幼稚園を求める親御さんもいるんです。だから、幼稚園はそのままでいいじゃないですか!このままじゃ枠が空いちゃって、幼稚園が運営できないというところは・・・
泉:幼稚園が総合こども園になりたいって言っているんであれば、それでいいんじゃないですか。
田村:認定こども園になればいいんじゃないですか?
泉:認定こども園になるのもいいけど、総合こども園になるのもあまり変わらないですよね。
田村:総合こども園と認定こども園は違いますよ。
泉:どんなところが?
田村:例えば、総合こども園っていうのは、最後は0歳から2歳の子供を預けさせるんでしょ?
泉:いやいや、そんな制度にあってないですよ、今は。
田村:元はそうだよ!
泉:元は・・・という話ではなくて「今は」という話をしているんです。
田村:だからそれは、将来、0歳から2歳までの子供を預けてくださいという方向の中で、今は3歳以上でいいですよっていう話じゃないですか?
泉:いやだから、今は今ですよ。
田村:今はいいですけど、そういう幼稚園の将来は・・・
(収拾がつかなくなり、須田さんが場をおさめる)
須田:これ議論していても、、、
小口:駒崎さんちょっといいですか(笑)
駒崎:まあ、両党とも子供にとっていいシステムを作ろうと、ちゃんと財源を確保して運営していこうというのは、同意できると思います。幼保一体化のところは、議論があると思うので、そこは話し合っていただくにせよ、自民党さんがね、例えばもう「こども子育て新システム」の一部である幼保一体化がダメだから、この法案の全てをつぶそうということだったら、ちょっとおかしいかなって思うんです。だって、70年変わらず続いている保育制度を改革するために一歩でも二歩でも進めなきゃいけないんだから、何らかの合意と妥協をして、前に進めていかないといけないと思うんです。
須田:そういう点で、ぜひ駒崎さんに伺いたいんですけど、今1番解決しなきゃいけない問題ってなんですか?
駒崎:やっぱり待機児童の問題ですね。85万人の潜在待機児童がいる状況を放置するというのは、先進国として、文明国として、我が国の将来を考えた上で絶対にいけない。これはなんとしてでも解決しなくてはいけない。だから、そこは手を抜いてはいけないと思います。
高木:全く同じ意見です。ですから、今お話があったように、まず待機児童を解消する。そのためにさっきお話があった「地域型保育」っていうのが今回入っています。それは駒崎さんがやってらっしゃるような「おうち保育所」とか「保育ママさん」とかをきちんと拡充するとか。あと妊婦健診もちゃんとその中に入れて、責任をもってやるとか。
田村:大賛成!
高木:そういうのが一時預かりだと。また家庭で育ててらっしゃるお母さんたちが孤立しないように、地域子育て支援センターなどに行く。幼稚園や保育所に併設されていますから、そこで保育士さんたちから教わりながら、そしてなにかイベントがあったら一緒に参加するとか。そういうものが今回盛り込まれているので、私はこれをどうしても前に進めなければいけないと思っています。
須田:そうすると、与野党で一致したのは、待機児童を減らすっていうのは最優先課題です。これは一致しているということですね?
高木:そうです。
田村:ただし、待機児童の減らし方は一致していないかもわかりません。どうやって減らすのかっていう部分ですよね。
大谷:小規模保育って話もあると思うんですけど。今の幼稚園とか保育園とは、また別の小規模なサービスができるように・・・っていうのは今回盛り込まれていて。そこでいうと“新規参入”って話がありますよね。これまでの学校法人とか公益法人とかではなくて、企業の参加を促すっていう話が出ていますけれども、それについてはいかがですか?
駒崎:これまでの認可保育園は、社会福祉法人というちょっと特殊な法人が担うという形になっていました。その法人格によって、ある種の参入障壁が存在していたわけです。その参入障壁をなんとか緩和していこうという動きが自公政権時代からありまして。一部株式会社といった、社会福祉法人ではない法人でも保育所が運営できるようになってきましたが、まだまだ基本的には社会福祉法人がメインになっているわけです。でも、社会福祉法人ってそんなに多数があるわけでもないから、保育所を運営したいという組織があるのだったら、株式会社でもNPOでも参入できるようにしようというのがこの新システム。参入者が増えることにより、ドンドン保育園の供給が増えて行くだろうという考えです。そして、それに伴い保育園の間で「質」の競争というのもでてきてしまうねとも言われています。ただ「質」で競争する分には利用者の視点に立てば良いことなのでは・・・という意見もあるから、そこは議論すればいいかなと思いますね。
田村:ちょっとね、論点が色々あってですね。今回のこども園は不思議な制度になっているんですね。それは「総合こども園」っていう、今いった保育所だとか、幼稚園だとか、株式会社も入ってくる。ただし、これは認可なんです。今までの保育所だとか幼稚園と同じ「認可制度」なんです。結構チェックが入ります。ある意味、恣意的に「ここはちょっとおかしな所だな」と思ったら、認可にしないようにできるんです。だからそういう意味では、ある程度「質」は担保できると思います。
大谷:そのチェックはどこが?
田村:自治体がやるんですけど。ただ、問題なのは、それとは別にもう1つこども園があるんです。これは、総合こども園じゃないこども園。つまり、認可じゃなくて指定だけのこども園っていうのがあるんです。ですから、さっきいいました総合こども園っていうのは、児童福祉施設であり、学校教育施設なんですね。ここに株式会社も入るもんだから、私学側が怒っているんですけどね。学校じゃないのに、学校教育施設やれるのかって。ところがそれでも、これは一応認可されているわけです。しかし、一方で学校教育施設でも、児童福祉施設でもないこども園っていうのがあるんです。
大谷:それはどういった内容のものなんですか?
田村:それは指定さえ受けちゃえば「市町村がやっていいですよ」って認めなきゃいけないこども園。
小口:審査の基準というのがまた違うんですか?
田村:それは外見的な基準さえクリアしていればOK!つまり、事前規制から事後チェックへという意味の規制改革ですよね。で、ここに株式会社やNPOがいっぱい入ってくるから、こども園が増えて、待機児童がなくなるんじゃないかという目算で、もう1つ作っちゃったんです。ところがですね、ここで問題が起こったのは、さっき言った総合こども園っていう認可のほうは、あがった利益を金儲けに使っちゃいけませんよって言っているんです。公金だから。ところが、今言った指定だけのこども園のほうに入ってきた株式会社は、儲かったお金を他の事業につぎ込もうが、何しようが勝手なんですよ。
大谷:ちなみに、駒崎さんのフローレンスは?
駒崎:要は、儲かったらそのお金をどうにでもできるじゃないかということが批判されているのですよね。公金だし、子供をビジネスにするのはいかがなものかという話だと思うのですが。保育士さんの反論としては「だからといっていい保育ができるかもしれない株式会社やNPOを排除したままでいいんですか?」っていうことなんです。それはムダな使い方をしていたり、不適切なお金の使い方をしている組織は、事後チェックを掛けることによって排除されるといった対応が取れる仕組みがあればいいですよね。今回、新システムには「情報開示義務」というものが加えられました。これ非常に重要だと思います。
これまで保育園は情報を開示しなくてもよかったんです。行政に「自分このように運営していますよ」という報告書類をあげていればよかった。しかし情報を公にするのが義務となったので、今、保育士が何人いて、事故を起こしたのか起こしてないのかといったことも、開示しなくてはいけなくなるわけですね。そうなりますと、株式会社だろうが、社会福祉法人だろうが、ちゃんと「良い保育をしなければならない」という圧力がかかるんですね。よくよく考えてみてください。株式会社だから保育の質がダメ、社会福祉法人だから保育の質が高い・・・そんなわけないんです。社会福祉法人でもブラックなところはありますし、いいところはある。株式会社もそれは同じですよね。そういったものを利用者がきちんと選べるように、情報開示していきましょう・・・という制度にしようという話なんだから、その点は、あまり議論を単純化させてしまうと、わからなくなっちゃいますよね。
須田:今まで情報開示でできてなかったこと自体がおかしいですよね。
高木:それで、市町村の話になりますと、ちゃんとやってくれている企業もあるわけです。一方で、苦情ばっかりくる企業もあって。そういった面も現実であるわけです。だからやっぱり現場で一番苦情がくるのは市町村ですから、そこでもう少し監視機能を高めるとか、機能を強化するとか。あとやっぱり公正な評価ができるシステムをちゃんとするとか。それはやっぱり情報開示と合わせて、ちゃんとできればいいんだと思うんですね。
第8回のテーマは「こども子育て新システムって結局どうなんですか?」
近頃、メディアで多く報道される待機児童問題。具体的な解決策が見出せない中で、政府が今国会に提出したのが「子ども・子育て新システム」の関連法案。
待機児童問題の解決や子育て支援が目的の法案ですが、そのシステムが非常にわかりにくく、世間への浸透度が薄いと問題だらけ。必要性と問題点を徹底討論した後編になります。
※前編はコチラ→http://blogos.com/article/39955/
【出演】
司会:大谷広太(BLOGOS編集長)
アナウンサー:小口絵理子
コメンテイター:須田慎一郎(経済ジャーナリスト)
ゲスト:泉健太(民主党・衆議院議員)
田村憲久(自民党・衆議院議員)
高木美智代(公明党・衆議院議員)
駒崎弘樹(NPO法人フローレンス代表理事)
日本の公的支出は高齢者に偏りすぎ
駒崎:さきほど財源の話がありましたが、これはすごく重要な点です。日本の公的支出に占める家族や子供と高齢者の割合って、あまり知られていないのですが、子供1に対して高齢者11なのです。非常に高齢者に寄った体系になっており、これは先進諸国と比べてみても、日本がバランスの悪さでは最悪です。小口:須田さん、やっぱりそれは投票権を持っている、持っていないといったことが影響しているんですか?
須田:やっぱり自民公明の旧政権時代に、そういう中高年以上の層が地盤になっていましたよね。ある意味、自民党っていうのは、そっちのほうにむかって政策をアピールしてきたわけです。
駒崎:誰が悪いという議論はおいといて。とにかく1対11っていうバランスの悪さを改善しないといけませんね。それを今回、消費税をあげて財源を確保し、子供に投資していこうという点は「こども子育て新システム」のいいところだと思います。では、この財源をいかに使っていくかという点では、もっと考えていかないといけないと思いますが。少なくとも、子供たち、そして働く親たちに対して、きちんと投資していこうというのは、どの議員さんも反対しないと思いますけどね。
大谷:まだまだ足りないところはありますか?
田村:子供たちに使うお金というのは、まだまだ必要だと思いますね。ただね、さっきもいいましたとおり、我々は、幼稚園は幼稚園でいいじゃないですかと。保育園は保育園でいい。待機児童を減らすなら保育園でいいんですよ。ただ、幼稚園が維持できないというんであれば、それなら認定保育園になって、保育園型になっていけばいいだけの話であって。そこがいままで使い勝手が悪いのであれば、認定こども園をもっと使い勝手をよくすれば早いじゃないですかと。こんな全部変えちゃって。施設側もわけわかんない!使う親御さんもわけわかんないっていう状況よりかは、ちゃんと手直しして動かしたほうが、よっぽどリーズナブルじゃないかと、我々は言ってるんです。
須田:まあ、リーズナブルという点では、自民党の田村さんの意見のほうに軍配があがるんですけど、それはダメなんですか?
泉:結局ね、今おっしゃっていることは「現状のままでいいじゃないか」と「やるんだったらトコトンやれ」って言っているのか、ちょっとわからないところがあって。待機児童が解消されるなら、幼稚園に0歳から2歳までの子供を入れるように義務化したらいいじゃないか・・・っていうわけですよ。でも一方では、やりすぎはよくないっていう。結局、どんな改革をしたら自民党さんは納得するのか。それがよくわからない。
田村:そんなことは言ってないんですよ!だから言ってるでしょ!幼稚園を求める親御さんもいるんです。だから、幼稚園はそのままでいいじゃないですか!このままじゃ枠が空いちゃって、幼稚園が運営できないというところは・・・
泉:幼稚園が総合こども園になりたいって言っているんであれば、それでいいんじゃないですか。
田村:認定こども園になればいいんじゃないですか?
泉:認定こども園になるのもいいけど、総合こども園になるのもあまり変わらないですよね。
田村:総合こども園と認定こども園は違いますよ。
泉:どんなところが?
田村:例えば、総合こども園っていうのは、最後は0歳から2歳の子供を預けさせるんでしょ?
泉:いやいや、そんな制度にあってないですよ、今は。
田村:元はそうだよ!
泉:元は・・・という話ではなくて「今は」という話をしているんです。
田村:だからそれは、将来、0歳から2歳までの子供を預けてくださいという方向の中で、今は3歳以上でいいですよっていう話じゃないですか?
泉:いやだから、今は今ですよ。
田村:今はいいですけど、そういう幼稚園の将来は・・・
(収拾がつかなくなり、須田さんが場をおさめる)
須田:これ議論していても、、、
小口:駒崎さんちょっといいですか(笑)
駒崎:まあ、両党とも子供にとっていいシステムを作ろうと、ちゃんと財源を確保して運営していこうというのは、同意できると思います。幼保一体化のところは、議論があると思うので、そこは話し合っていただくにせよ、自民党さんがね、例えばもう「こども子育て新システム」の一部である幼保一体化がダメだから、この法案の全てをつぶそうということだったら、ちょっとおかしいかなって思うんです。だって、70年変わらず続いている保育制度を改革するために一歩でも二歩でも進めなきゃいけないんだから、何らかの合意と妥協をして、前に進めていかないといけないと思うんです。
須田:そういう点で、ぜひ駒崎さんに伺いたいんですけど、今1番解決しなきゃいけない問題ってなんですか?
駒崎:やっぱり待機児童の問題ですね。85万人の潜在待機児童がいる状況を放置するというのは、先進国として、文明国として、我が国の将来を考えた上で絶対にいけない。これはなんとしてでも解決しなくてはいけない。だから、そこは手を抜いてはいけないと思います。
高木:全く同じ意見です。ですから、今お話があったように、まず待機児童を解消する。そのためにさっきお話があった「地域型保育」っていうのが今回入っています。それは駒崎さんがやってらっしゃるような「おうち保育所」とか「保育ママさん」とかをきちんと拡充するとか。あと妊婦健診もちゃんとその中に入れて、責任をもってやるとか。
田村:大賛成!
高木:そういうのが一時預かりだと。また家庭で育ててらっしゃるお母さんたちが孤立しないように、地域子育て支援センターなどに行く。幼稚園や保育所に併設されていますから、そこで保育士さんたちから教わりながら、そしてなにかイベントがあったら一緒に参加するとか。そういうものが今回盛り込まれているので、私はこれをどうしても前に進めなければいけないと思っています。
須田:そうすると、与野党で一致したのは、待機児童を減らすっていうのは最優先課題です。これは一致しているということですね?
高木:そうです。
田村:ただし、待機児童の減らし方は一致していないかもわかりません。どうやって減らすのかっていう部分ですよね。
情報開示義務で保育が変わる
大谷:小規模保育って話もあると思うんですけど。今の幼稚園とか保育園とは、また別の小規模なサービスができるように・・・っていうのは今回盛り込まれていて。そこでいうと“新規参入”って話がありますよね。これまでの学校法人とか公益法人とかではなくて、企業の参加を促すっていう話が出ていますけれども、それについてはいかがですか?
駒崎:これまでの認可保育園は、社会福祉法人というちょっと特殊な法人が担うという形になっていました。その法人格によって、ある種の参入障壁が存在していたわけです。その参入障壁をなんとか緩和していこうという動きが自公政権時代からありまして。一部株式会社といった、社会福祉法人ではない法人でも保育所が運営できるようになってきましたが、まだまだ基本的には社会福祉法人がメインになっているわけです。でも、社会福祉法人ってそんなに多数があるわけでもないから、保育所を運営したいという組織があるのだったら、株式会社でもNPOでも参入できるようにしようというのがこの新システム。参入者が増えることにより、ドンドン保育園の供給が増えて行くだろうという考えです。そして、それに伴い保育園の間で「質」の競争というのもでてきてしまうねとも言われています。ただ「質」で競争する分には利用者の視点に立てば良いことなのでは・・・という意見もあるから、そこは議論すればいいかなと思いますね。
田村:ちょっとね、論点が色々あってですね。今回のこども園は不思議な制度になっているんですね。それは「総合こども園」っていう、今いった保育所だとか、幼稚園だとか、株式会社も入ってくる。ただし、これは認可なんです。今までの保育所だとか幼稚園と同じ「認可制度」なんです。結構チェックが入ります。ある意味、恣意的に「ここはちょっとおかしな所だな」と思ったら、認可にしないようにできるんです。だからそういう意味では、ある程度「質」は担保できると思います。
大谷:そのチェックはどこが?
田村:自治体がやるんですけど。ただ、問題なのは、それとは別にもう1つこども園があるんです。これは、総合こども園じゃないこども園。つまり、認可じゃなくて指定だけのこども園っていうのがあるんです。ですから、さっきいいました総合こども園っていうのは、児童福祉施設であり、学校教育施設なんですね。ここに株式会社も入るもんだから、私学側が怒っているんですけどね。学校じゃないのに、学校教育施設やれるのかって。ところがそれでも、これは一応認可されているわけです。しかし、一方で学校教育施設でも、児童福祉施設でもないこども園っていうのがあるんです。
大谷:それはどういった内容のものなんですか?
田村:それは指定さえ受けちゃえば「市町村がやっていいですよ」って認めなきゃいけないこども園。
小口:審査の基準というのがまた違うんですか?
田村:それは外見的な基準さえクリアしていればOK!つまり、事前規制から事後チェックへという意味の規制改革ですよね。で、ここに株式会社やNPOがいっぱい入ってくるから、こども園が増えて、待機児童がなくなるんじゃないかという目算で、もう1つ作っちゃったんです。ところがですね、ここで問題が起こったのは、さっき言った総合こども園っていう認可のほうは、あがった利益を金儲けに使っちゃいけませんよって言っているんです。公金だから。ところが、今言った指定だけのこども園のほうに入ってきた株式会社は、儲かったお金を他の事業につぎ込もうが、何しようが勝手なんですよ。
大谷:ちなみに、駒崎さんのフローレンスは?
駒崎:要は、儲かったらそのお金をどうにでもできるじゃないかということが批判されているのですよね。公金だし、子供をビジネスにするのはいかがなものかという話だと思うのですが。保育士さんの反論としては「だからといっていい保育ができるかもしれない株式会社やNPOを排除したままでいいんですか?」っていうことなんです。それはムダな使い方をしていたり、不適切なお金の使い方をしている組織は、事後チェックを掛けることによって排除されるといった対応が取れる仕組みがあればいいですよね。今回、新システムには「情報開示義務」というものが加えられました。これ非常に重要だと思います。
これまで保育園は情報を開示しなくてもよかったんです。行政に「自分このように運営していますよ」という報告書類をあげていればよかった。しかし情報を公にするのが義務となったので、今、保育士が何人いて、事故を起こしたのか起こしてないのかといったことも、開示しなくてはいけなくなるわけですね。そうなりますと、株式会社だろうが、社会福祉法人だろうが、ちゃんと「良い保育をしなければならない」という圧力がかかるんですね。よくよく考えてみてください。株式会社だから保育の質がダメ、社会福祉法人だから保育の質が高い・・・そんなわけないんです。社会福祉法人でもブラックなところはありますし、いいところはある。株式会社もそれは同じですよね。そういったものを利用者がきちんと選べるように、情報開示していきましょう・・・という制度にしようという話なんだから、その点は、あまり議論を単純化させてしまうと、わからなくなっちゃいますよね。
須田:今まで情報開示でできてなかったこと自体がおかしいですよね。
高木:それで、市町村の話になりますと、ちゃんとやってくれている企業もあるわけです。一方で、苦情ばっかりくる企業もあって。そういった面も現実であるわけです。だからやっぱり現場で一番苦情がくるのは市町村ですから、そこでもう少し監視機能を高めるとか、機能を強化するとか。あとやっぱり公正な評価ができるシステムをちゃんとするとか。それはやっぱり情報開示と合わせて、ちゃんとできればいいんだと思うんですね。




