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「AI・RPA導入、あらゆる業種で拡大の見込み」 求人広告大手・ディップ冨田英揮社長 独占インタビュー(後編)

-今後5年間でAI(人工知能)、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)事業へ最大500億円の投資を発表した
 紙からネットへ求人広告の主力が移行したように、将来的に“人”でなくてもAI・RPAで代替できる業務が拡大すると予測している。少子高齢化により、長期的に人手が足りないトレンドは継続するとみている。
 今後の(求人に関する)マーケット規模を想定した際、“人じゃなくてもできる業務”に対して、人を提案するのか、AI・RPAでサービスを提供するのか。AI・RPAを顧客に提供することで、“人にしかできない業務”に対して、必要な人材をしっかり提供することが可能になる。

-AI、RPA分野に参入するきっかけは?
  AIをいかに社内でうまく活用しようか、というところから始まった。そこから有望なスタートアップ企業といくつも面談させてもらった。「良い技術は持っているが、売る力がない」企業も少なくなかった。それは私が事業を立ち上げたネットバブル時代でもみられたことだ。
 彼らの高い技術力をディップの営業力でサポートできればと思い、2016年にAI専門組織「dip AI.Lab」がスタートした。翌17年には日本初のAI特化型アクセラレータープログラム「AI.Accelerator」を開始した。これは、AI・RPA関連のスタートアップ企業に最大1億円を出資し、業務提携する支援プログラムだ。

-支援プログラムに応募するスタートアップ企業も年々増加している。投資先に今後期待することは?
 当然だが“成長”だ。皆、上場を目指している会社なので、やはり計画通りに事業を成長させてもらいたい。
 だが、こちらも、ただ「頑張ってね」と応援するだけではなく、連携も深め、より顧客ニーズに合った製品開発をスピーディーに進めてもらう。これは彼らの成長にも繋がる。ディップをうまく活用して成長してほしい。
 今では役員を派遣している会社も何社かある。スタートアップ企業は経営者も若い。我々は“どういう風に組織を作り、育てていくか”というメンター的な役割も担っている。

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-顧客へのAI・RPAサービスの提供時期は
 現状、すでに派遣会社数社にRPA商品をトライアルで導入いただいている。テスト期間を終えて、早ければ9月ごろには本格的な販売を開始する予定だ。

-内容、ターゲットは?
 派遣会社や飲食店、小売店など、それぞれの業界に合った商品をリリースする。
 例えば、派遣会社の場合だと、利用している基幹システムが大手数社に限られている。そのため「こういう基幹システムだと、そこに付随するのは、この業務だ」と我々もすでに分かっており、事前にお客様に合ったRPA商品を準備して導入が可能だ。
 他社が同様の商品をリリースする場合は、事前にコンサルに入り、分析をして1社1社オーダーメイドで準備をしなければならない。そのため、コストも時間も要する。我々の場合は、準備した商品をお客様のシステムに合うよう微調整するだけなので、納期も非常に短く、コストも下がる。

-AI、RPAの導入で、何人分の業務を削減できるのか?
 その企業の規模にもよるが、極端に言えば、仕事をロボットに置き換えることで、コストが半分になることもある。その業務に20人必要な場合だと、10人分をAI・RPAに置き換えることも十分可能だ。
 人がやる業務を半分に削減できることに驚きの声も頂くが、逆に今、これぐらいのメリットがないと導入する方も決断が難しいだろう。初期の段階は、相応の導入費用が掛かる。そのため、業務を1割2割削減できたところで、お客様にも(業務削減の)実感は薄いだろう。

-AIに仕事が置き換わることを懸念する報道が少なくない
 子供たちの将来に不安を感じるという現役世代もいる。逆を言えば、AI・RPAに置き換えられない仕事がある。置き換えられるものを(AI・RPAに)移行しなければ、今、現実に進む少子高齢化への対応が困難となる。

-インターネット求人広告が引き続き好調だ。現在のトレンドは?
 一時期、工場専門の求人やアパレル販売員向けなど、職種に特化した求人サイトが流行った。だが、今はまた総合サイトで求人を探すトレンドに回帰している。極端な話、アルバイト・パートだけよりも、正社員も契約社員もすべて混ざったサイトが選ばれる新しい流れができている。今は“量をたくさん見たい”という人が多いからだろう。
 利用のボリュームで多いのは若年層だが、今は50代、60代の7割近くの方がスマホを使っている。こういう世代にも訴求し、今後は16歳~60代までの方々のレンジを考えている。

-今後の業界の展望は?
 業界でみると、資本力の大きいところは、求人広告の閲覧数、求人件数ともに増加するとみている。求人広告を出す企業は、“人が採れる”サイトを選ぶ。そうなれば、クライアントも自然と閲覧数が多いサイトを選ぶことになる。
 また、広告宣伝費は大きく関わる。やはり求職者に注目してもらわないといけない。そうすると広告宣伝費を使ってPRしなければならない。インターネット時代は、まずサイトに来てもらうことが大前提。体力勝負の傾向は今後も続くだろう。

 今年3月、AI・RPA領域の事業ドメイン拡大を発表したディップ。これまでも、コンビニ店頭のメディア端末での求人照会や、募集企業を動画で紹介する取り組みを他社に先駆けて導入してきた。設立から22年の間に紙からパソコン、スマートフォンと求人広告を取り巻く環境は急速なスピードで変容した。AI・RPAの普及も、近い将来業界の“スタンダード”になると冨田社長は予測する。
 「まだ現状のシェアは少ない。ただ、少子高齢化でじわじわと労働力人口が減り続けるなか、AI・RPAのマーケットは必ず拡大するだろう」と独自の慧眼で先を見通す。 (東京商工リサーチ発行「TSR情報全国版」2019年8月23日号掲載予定「Weekly Topics」を再編集)

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