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『どうか生きてください』樹木希林が亡くなる直前、娘につぶやいた9月1日への思い

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以前と変わらぬ不登校の孤立感

 3年前に不登校をした子は、パニック障害が起きて、不登校になりましたが、それでも「行けない自分が許せなかった」と話してくれました。

 取材したほとんどの不登校の人は、一度は死を考え、その「死線」をくぐってきています。

 そういう意味では「不登校の苦しさ」が根本的に変わったとは思いませんし、だからこそ「9月1日」の夏休み明けに子どもの自殺が突出して多い、という現象が今も続いているんだと思います。

内田 「9月1日」の問題が今も続いているのは切実な問題だと思います。それを踏まえたうえで、現時点で私たちは何をしたらいいと思いますか。

石井 その質問に対して、誰にでも説得力のある回答ができれば、現実はもっと変えられると思っています。正直、答えが見えなくて私も苦しんでいます。

 ただ、少なくとも「学校以外の選択肢がない」という現実が子どもを苦しめているのはまちがいありません。「不登校の人がいる」という認知だけでは選択肢にはなりません。

内田 たしかに学校で、「選択肢がありますよ」とは言わないですよね。


石井 ロバート キャンベルさんは「魅力的なハッチ(非常口)が必要だ」と本紙の取材で話されていました。

 不登校にかぎらず、教室のなかにも魅力的な非常口はあったほうがいい。クラスの席替えや修学旅行の班決めなどで「あぶれた人」に対する選択肢がないんです。

 非常口が見えないことで、子どもからも大人からも余裕を奪っているのかな、と。

内田 私の友だちのお子さんは、ハーバード大学に合格した直後に「ギャップイヤー」(休学期間)をとったそうです。彼は1年間、九州の窯元で修行をしてから入学しています。

 本人も親も社会に出ることが遅れる心配よりも「何かに伸び悩む、立ち止まる、疑問を抱く、遊んでみる、転んでみる、模索する。そういうことをやる時間が大切だ」って思ったそうなんです。

石井 すごくよい制度ですね。樹木希林さんは、「ありがたいというのは漢字で書くと『有難い』、難が有る、と書きます。人がなぜ生まれたかと言えば、いろんな難を受けながら成熟していくためなんじゃないでしょうか」と言われていました。

 そう思うと、日本でも、もう少し立ちどまれるような設計、それこそ「有り難く生きられる設計」は本気で考えられるべきです。

内田 そうですね。今日はありがとうございました。


■『9月1日 母からのバトン』
著者・樹木希林、内田也哉子/発行・8月1日/ポプラ社/協力・不登校新聞、登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク、ほか ※お求めは全国の書店にて。

■略歴
内田也哉子(うちだ・ややこ)76年生まれ。文章家、音楽ユニットsighboatメンバー。3児の母。

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