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【読書感想】国家を食べる

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国家を食べる (新潮新書)
作者: 松本仁一
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/07/12
メディア: 新書
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Kindle版もあります。

国家を食べる(新潮新書)
作者: 松本仁一
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/07/26
メディア: Kindle版
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内容紹介
世界一うまい羊肉は、もう食べられない――。
チグリス川の鯉の塩焼き、ソマリアのパパイヤ、カラシニコフ氏の冷凍ピロシキ……。
戦場で、紛争地帯で口にした「食」から考える国家の姿。
ノンフィクションで辿る究極の文明論。

1 世界一うまい羊肉――イラク
2 チグリス川の鯉――イラク
3 羊ひっくり返しご飯――パレスチナ
4 カラシニコフ氏の冷凍ピロシキ――ロシア
5 昼食はパパイヤだけです――ソマリア
6 エクソダスと血詰めソーセージ――南アフリカ・オーストラリア
7 ブドウの葉ご飯と王様――ヨルダン
8 モロヘイヤ・スープはウサギに限る―エジプト
9 スパゲッティマカロニ豆ライス!――エジプト
10 インジェラは辛くてつらい――エチオピア
11 砂漠の中のクスクス――西サハラ
12 ベラルーシのリンゴ――ゴメリ市
13 断崖絶壁バーミヤンのナン――アフガニスタン
14 何がなくても覚醒葉っぱ――イエメン
15 最高のフーフー――ガーナ

 著者は1942年の生まれで、68年朝日新聞入社。中東アフリカ総局長、編集委員などを歴任されています。
 僕の亡父と同世代なんですね。
 朝日新聞に勤めているのが誇らしい時代だったのだろうなあ。
 
 著者は、中東やアフリカなどの紛争地に長く赴任されてきたのですが、そのなかで印象的だった食べ物や人、事件などについて書いたのがこの本なのです。

 世界には、突然「日常」が失われてしまう地域が少なからずある(あった)のです。

 いまの日本で過ごしている僕は、毎日、「さて、今日は何を食べようかな」なんて悩むことが多いのですが、それどころじゃない、という国や地域は、今でも少なからず存在しています。

 2003年に米軍を中心とした有志連合がイラクのバクダッドに進攻したときのバクダッドの人気レストラン「アルアウエル」でのエピソード。

 米軍の侵攻の日は店を閉めた。従業員を5人ずつ交代で、銃を持って泊まりこませた。略奪防止のためだ。5人は客席のテーブルを倒して盾がわりにし、その後ろにマットレスを敷いて寝た。

 4月6日、米軍がバグダッドに入ってきた。イラク兵は逃げてしまった。そのあと、米軍が一軒一軒しらみつぶしに調べて回った。アルアウエルにも米兵がやってきて、表の大きなガラス戸を銃床で割って中を覗き込んだ。戦争による被害は、そのガラス1枚、約5000円分だけだった。

 4月11日午後3時ごろ、その割れたガラス戸から4人組の若者が入ってきた。従業員が銃を構え、ボルトを引いた。無人の店内でガチャリを音が響く。とたんに若者たちは手を挙げ、「撃つな!」と叫んだ。

「おれたちは店がやっているかどうか見に来ただけなんだ。撃たないでくれ!」

 じりじりと後ずさりし、表に出ると走って逃げて行った。

 店は、戦闘終結宣言を待たずに再開した。相変わらず満員の客だ。

 (店主の)ハレドさんは米軍の侵攻を歓迎していた。米軍がサダム・フセインの恐怖政治を壊してくれた。これで自由にものがいえる社会になる。そう感じたからだ。

 ところが、戦後の混乱は収まらず、治安も改善されることはありませんでした。

がテロで人が集まるレストランが狙われたこともあり、人気店だった「アルアウエル」も閑古鳥が鳴くようになり、閉店を余儀なくされたのです。
 
 多くの人に支持されていたレストランが、突然「戦場」になり、店員たちが客席のテーブルでバリケードをつくって、店を守ろうとする。

 こういうことが起こっている場所もあるのです。

 僕だったら、「従業員なんだから、略奪から店を守ってね」って言われても、「そんなの給料に入っていません!」って即座に逃げ出しそう。

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