今年6月に始まった香港の大規模デモが、11週目に入りました。
一昨日18日の日曜日には、主催者発表で170万人にのぼりました。香港の人口は、700万人ですから、どれだけ規模が大きいかが、わかります。
そもそもは、「逃亡犯条例」改正案を巡って、「一国二制度」に反して、逃亡犯を中国に引き渡せるようにする、ということに反対する、若者たち主体のデモから始まりました。その後、空港を占拠したり、一部に暴力的な行為があったりして、多数の拘束者も出て、警察の厳しい取り締まりに対しても、世代を超えたデモに発展しています。
香港政府のキャリー・ラム行政長官は、逃亡犯条例を先送りすることにしましたが、廃止するとは、中国との関係でせず、抗議の声は広がる一方です。この間に、中国は、香港との境界に向け部隊を展開し、深圳に武装警察車両が多数集結し、圧力をかけています。
これに対して、トランプ米大統領は、天安門事件のように中国当局が武力介入すれば、米中貿易協議での取引も難しくなると述べ、中国をけん制しました。中国外務省は「香港のことは完全に中国の内政に属する」と反発し、出口は見えません。
香港のデモが長引くにつれて、香港のテレビ局の記者に変装した人物がデモ現場に出没したり、デモ隊のイメージ悪化を狙ったとみられる虚偽の情報が、ツイッターやフェイスブックで大量に流れたりする事態になっている、ということです。
香港のテレビ局が、ニセ記者の写真を公表して注意を呼びかけたり、米ツイッター社も、936のアカウントの凍結を発表したりしています。フェイスブックも、香港の政治運動への情報操作を狙った7つのページと5つのアカウント、3つのグループを削除した、と発表しています。
香港では、住民生活や経済活動にも影響が出てきています。日曜日のデモでは、過激化せずに平和裏に活動するようリーダーが呼びかけたり、流れを変える動きも出ています。キャリー・ラム行政長官も、話し合う意向は示していて、香港の各界に人たちが参加できる対話の場を早急に設けて、解決策を話し合いで探るべきだと思います。
一国二制度は、1997年の香港返還の際に中国自身が掲げた国際公約です。香港の自治と自由を守るために、国際社会が声をあげるのは当然のことで、日本政府も是非、平和裏に解決するよう支援をすべきだと思います。