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中国の弱点であり続ける香港

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香港デモ 出典:Flickr; Studio Incendo

宮家邦彦(立命館大学 客員教授・外交政策研究所代表)

2019年8月19-25日

【まとめ】

・中国の対香港権威害されれば介入は必至。

・CIAのデモ関与説はフェイクニュース。

・中国にとって、デモ「放置」も「介入」も「地獄」。

【注:この記事には複数の写真が含まれています。サイトによっては全て表示されないことがあります。その場合はJapan In-depthのサイトhttps://japan-indepth.jp/?p=47533でお読みください。】

先週はお盆休みだったが、驚いたことに、この時期のメディア出演依頼は例年よりずっと多かった。ニュースは夏枯れで、恐らくトランプ・ネタが最も無難だったのだろう。偶々東京にいた筆者にお声が掛かったということだ。トランプ外交については今週のJapanTimesと産経新聞に英文、和文でコラムを書いたので、ご一読願いたい。

要するに、「トランプ外交」「トランプ政権」が一体として行う外交活動だと思うから我々は間違えるのだ。トランプ外交には二面性(dichotomy)がある。これを理解しなければ「トランプ流」外交に振り回されるだけだ。それが最近ようやく判ってきた。何を今頃と言われそうだが、なぜもっと早く判らなかったのか悔やんでいるという話である。

▲写真 トランプ大統領 出典:Flickr; Gage Skidmore

それよりも筆者の今週の主要関心事は香港だ。先週末は主催者側発表で170万人がデモに参加したと報じられた。人口700万の香港で170万が参加する?・・・どうしても信じ難い。ここまで来ると、天邪鬼の筆者は、報じられている何もかも、すべてについて懐疑的になってしまう。という訳で、以下はいつもの筆者の勝手な見立だ。

そもそもCNNなどを見ていると、欧米メディアがはしゃぎ過ぎではないかとすら思う。道路上の無数の傘を差したデモ参加者の姿を放映するのだが、それでは隣の道路はどうなのか。ざっと見て数十万人はいたかもしれないが、100万を超えたかは自信がない。勿論それでも、あれだけ大規模なデモとなれば、香港では十分だろうが・・・。

中国は香港に武装警察を投入すると思うか、とよく聞かれる。当然投入する気だろう。香港政庁が腰砕けになって北京が認めない政治的譲歩を重ねたり、香港警察の一部が寝返ってデモ隊に協力したり、何でも良いのだが、要するに中華人民共和国の香港に対する権威が決定的に害されれば、中国は必ず介入する、と筆者は思う。

▲写真 香港デモ 出典:Wikimedia Commons; Jonashtand

言い換えれば、中国共産党の統治の正統性が害されれば中国は容赦しない、というか、嫌でも徹底的に弾圧せざるを得ない、というのが実態に近いだろう。流血の事態にでもなれば第二の「天安門事件」だから、良くて対中経済制裁、下手をすれば騒動が中国本土にまで波及する可能性すらある。中国は今頃本当に困っているはずだ。

アメリカのCIAがデモの背後にいるのは本当か、ともよく聞かれるが、恐らくフェイクニュースだ。そもそも米国の外交官がデモ隊と接触するのは当たり前、彼らがCIAの秘密工作員であるはずはない。大使館にいるCIA関係者はあくまで「表」の人々、「裏」の工作員はそんなところに「のこのこ」出ては来ない。それくらい常識だろう。

CIA関与説は中国の常套句。今中国に必要なのは、「外国勢力に扇動された香港の一部の過激派が暴徒となって香港の社会秩序を破壊している」からこそ、中国は「武警を投入せざるを得なかった」という説明(narrative)だ。CIAが全く無関与とは思わないが、世界にはデモ隊を支援する人権擁護派NGOなど無数にあるのだから。

そう考えれば、深圳での武警訓練はTV映像による対デモ隊抑止の行為。中国は本当は「やりたくない」。「やりたくない」からこそ、ああやって何度もデモ隊を威嚇するビデオを流させるのだ。繰り返すが、今の中国には、デモを「放置」しても、「介入」しても、「地獄」しかないのだ。やはり当面、香港は中国の「弱点」であり続けるのだろう。

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