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自身の発言に反省、出口を模索し始めている?日韓外相会談を前に、文大統領のトーンダウンの意図は


 韓国内ではデモや不買運動などが続き、悪化を続ける日韓関係。19日には韓国の格安航空会社が日本向け路線の運休・減便を開始、来月には大韓航空やアシアナ航空などの大手空港会社も同様の措置を取るという。さらに韓国外務省は日本大使館の西永知史公使を呼び、福島第一原発の汚染水の処理計画についての説明を求めた。

 一方、2日には「これから起こる事態の責任は全面的に日本政府にあるということをはっきり警告する。加害者である日本が盗人猛々しくかえって大口を叩く状況を決して座視しない」と強く日本を非難していた文在寅大統領には変化も見られる。

 15日、日本による植民地支配からの解放記念日である「光復節」での演説で「今からでも日本が対話と協力の道に出るなら私たちは喜んで手を握るだろう」と発言、明らかにトーンダウンを見せている。日中韓外相会談を21日に控え、事態の打開を探っているのだろうか。


 共同通信ソウル支局長などを歴任した平井久志・共同通信客員論説委員は「文大統領は自分が煽っていたことについての反省があったのか、この3日前には"政治家が国民の感情を煽っては駄目だ"ということを言っていた。だから15日の演説のトーンも落ちるだろうと予想していたが、想像以上に協調的だった。もともと歴史問題の対立はなかなか解決がつかない。安倍さんがそれを経済に広げてしまったため、GSOMIAや安保の問題、各自治体の交流や文化交流にまで広がっている。これは両国にとってよくないし、どこかで歯止めをかけなければいけない。経済的に見ると韓国の方がしんどいので、この辺で出口を模索し始めているのではと感じる」と話す。

 一方、「文大統領は揺れが大きすぎる感じがする。今回の演説でも、"2045年にワン・コリアになる"と、南北の協力の夢を語った。今まで韓国政府は"国家連合"という考え方で、統一というのは遠い遠い将来にあるのだとしてきた。文大統領自身も強制的な力で統一することは良くないと言っていたたが、2045年と期日を指定してしまった。これは北朝鮮の立場から見ると吸収統一のように見えてしまうし、前段で言っていることと矛盾する。南北対話、南北平和協定の努力をしていることは事実だと思うが、演説の内容を精緻に組み立てる部分が少し足りないし、政権運営のテクニックはかなり下手だなという感じがする」と指摘した。


 東海大学の金慶珠教授は「韓国がなぜ反日を煽ったのかというと、日本の出方を読み切れなかったから。それが事実上の禁輸までには踏み切らないだろうということが見えてきたし、個別審査が必要な品目指定まではしなかったということが一つと、8日にはレジストに対して輸出許可を出した。日本も対立を拡大したいとは思っていないだろうし、韓国としてもさらなるカードを切らせるより、ちょっとトーンダウンさせたほうがいいということだ。また、国内で反日が盛り上がり過ぎて、"GSOMIA破棄しろ。東京オリンピックをボイコットしろ"といった強硬論が大きくなると、政権としてもコントロールしにくくなってしまうので、そこは抑えたかったのだと思う」との見方を示し、「北朝鮮に対して揺れ幅が大きいというよりは雑だ」と批判する。

 「北朝鮮はミサイルをバンバン撃ってくるし、文在寅大統領に対しても"まれに見るずうずうしい人間"だとか"揺れた牛の頭が空を仰いで大笑いするだろう"といった侮辱的な発言を続けているが、それに対してビシっと言わない。しかも"南北の経済協力を通じて日本経済を一気に追い抜くことができる"と、現実的にまず想定できない夢を語るところに多くの国民は不安を覚えている。文政権としては、米韓軍事合同演習の間は北朝鮮にも面子があるので仕方なく強気に出ているが、これが終われば米朝協議が進展するはずだし、今後の対話に備えて自分たちの優位な立ち位置を確保しようとしていると考えている。見方によってはなるほど、と思うかもしれないが、都合の良いように解釈しているともいえる。韓国の世論は激しく割れているが、外交に関しても真っ二つだ」。


 また、今後について金氏は「日本の場合、外務省が主導しておらず、官邸の首相の側近グループと経産省がやっている。その意味で、河野外相が政権の意向をどこまで伝えたり、意思決定したりできるか。韓国の康京和外相も大統領の操り人形みたいになっていて、自ら事を動かす力はない。ただ外相会談でもなんであっても、こういう形で会談が行われるのは悪くない」として、明日に予定されている日韓外相会談に期待を見せた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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