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【読書感想】ふしぎな県境 - 歩ける、またげる、愉しめる

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 著者は現地の人に話を聞いたあと、実際はどういう規定になっているのかを紹介しています。

 この「イオンモール高の原」は、建物の8割が京都に属しているため、ショッピングモールとしての住所は「京都府木津川市相楽台一丁目1番1号」となっており、代表の電話番号も市外局番が0744で京都府木津川市のものとなっている。

 法人税や固定資産税などの税金は、敷地面積に応じて、京都府側の自治体、奈良県側の自治体で按分しているが、地方消費税は、入り口が京都側にあったので、全額京都府の販売ということになっていたところ、奈良県側が抗議して、やはりこれも面積による按分ということになった。

 警察は、2007年(平成19年)の京都府警察本部長の通達によると、ショッピングモール内で発生した事案は、認知したほうが応急措置を講じたのち、犯行現場を所轄する警察へ引き継ぐという協定を京都府警と奈良県警で結んでいる。

 ちなみに、店内や駐車場などに引かれた県境を示す線は、もともと京都府警、奈良県警が事件事故の発生場所をわかりやすくするために引くよう申し入れたものという。

 税金や警察などは京都府、奈良県が協力しているものの、上下水道の契約先、ごみ処理の方法などは各テナントごとに違っているらしく、ゴミ捨て場も奈良県、京都府それぞれ二か所あるらしい。

 県境をまたいでショッピングモールをつくると、こんなめんどくさいことになるんですね。

 これぞお役所仕事だよなあ、どっちかひとつにしてしまえば、現場も手間が減るはずなのに。

 そう思う一方で、日本に「県」という単位が存在するかぎり、「県境」というのはどこかにできてしまうわけで、かえって手間がかかるように感じても、きっちり「線引き」しておかないと、「境界付近での面倒事の押しつけ合い」になりかねないのも事実なのです。

 融通が利かないと思うけれど、これも致し方ないことなのかもしれません。

「変わった形の県境クエスト」みたいなゲームがあるとすれば、ラスボス級の県境は「福島県の盲腸県境」で間違いない。

 福島県と山形県、新潟県の三県境のあたりを縮尺の大きい地図で見ていただきたい。

 福島県が、新潟県と山形県の間に細長く続いているのが見えると思う。三国小屋のあたりから飯豊山(2105.1メートル)の山頂を経て御西小屋までが福島県の領域だ。

 こういった細長い県境をぼくは勝手に「盲腸県境」と呼んでいる。このような盲腸県境は全国にいくつかあるけれど、これだけの規模のものはちょっと珍しい。

 そういった意味でも、県境マニアならば一度は行ってみたい、あこがれの県境のひとつである。

 しかし、山頂である。それもちょっとやそっとで登れるような山ではない。ガッツリした登山をしなければたどり着けない場所にある県境だ。

 地図でみると、「なんでこんな細長い部分だけ福島県が突き出ているんだろう?」と疑問になるし、かえって不便じゃないか、という気がするのです。

 しかしながら、こういう県境になった経緯を知ると、それなりの理由があるのです。

 地形の変化や地元の人々の生活や昔の藩の名残りなど、その理由はさまざまなのですが。

 僕自身は「実際に行ってみよう」とまでは思わないけれど、「人はなぜ『境界』にこだわるのか?」みたいなことを考えずにはいられなくなりました。
 「境界線なんて、なくしてしまえばいいのに」って思うことは多いけれど、実務的には、無いとけっこう困ることが多いのですよね。


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