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株主総会の機能が変われば「ネット出席株主」も増えるかもしれない

8月17日の日経朝刊に「株主総会、ネットで『出席』-経産省など、指針作成へ」と題する記事が掲載されていました。見出しだけ読んで「バーチャル株主総会」が開催できるような仕組みが作られるのか・・・と思いきや、さすがにそこまでは(会社法を改正しないと)無理ですよね。
ということで、経産省は現実に開催される株主総会に、株主がネットを通して出席したり、質問権を行使することができるような仕組みを「指針」として提言するそうです。早ければ2020年6月の総会シーズンからの実用化もあるかも、と報じています。

現実には議決権の書面行使やネット行使によって、総会の前日までにはほぼ総会議案の賛否が決まっておりますし、当日出席される大株主の方も「委任状行使」によって会社議案に一括賛成するケースがほとんどなので「株主総会の開催にはどれほどの意味があるのだろうか」と疑問を抱く方々も多いと思います。
それでも「想定問答集」作りや会場設営、議事進行に至るまで、ご担当者の方々の並々ならぬご尽力のおかげで「つつがなく」総会が執り行われておりますので、株主総会の姿は総会屋が闊歩する時代から、あまり変遷することもなく今日に至っています。

株主総会の機能として、会社の重要な意思決定機能が重要であることは間違いありません。会社法制度の理屈では、株主総会は会社の重要な意思決定機関であり、原則として(事前行使分も含めた出席株主の)議決権の過半数をもって議案の賛否がはかられます。要は会社側、株主側提案の議案に過半数の賛同が得られたかどうかが重要です。
この大原則からみれば、個人株主が株主総会にネットで参加することもあまり意味がないように思います。

しかし、ガバナンス・コードは、たとえば会社側議案が賛成多数で可決されたとしても、相当数の反対票が入った場合には、当該会社(もしくは取締役会)はその反対票が増えた原因を分析し、今後どう対応すべきか決定すべきである、と要望しています(そしてほぼ100%の上場会社が、このコードを実施しています)。そして「相当数」というのは、英国のガバナンス・コードに倣って、日本でも20%以上の反対票が投じられた場合を想定しているようです。

つまり、企業統治改革が進む時代における株主総会の機能として、会社の重要な意思決定機能のほかに、株主意思の定量的評価機能も無視できない時代になってきた、といえます。

また、スチュワードシップ・コードの遵守を宣言する機関投資家が増え、議決権行使結果と理由の開示が施行されるようになったため、先日のリクシルの株主総会における支配権争いのように、総会当日の朝になって大口の機関投資家が議決権を行使し、その賛否によって決着がつくような事例も出てきました。
最後まで会社側、株主側の情報提供を慎重に検討したうえで(実質株主にも説明がつくような形で)議決権行使に及ぶ姿勢にも留意すべき株主総会の運営が必要かもしれません。

このように、ガバナンス・コードやスチュワードシップ・コードなどのソフトローが会社法実務に浸透するなかで、株主総会の果たすべき機能も変遷するわけでして、そうなりますと現実の株主総会には出席できないけれども、ネット上で質問をしたり議決権を行使する株主の存在も無視できないのではないかと。
「過半数」というハードルは高すぎるかもしれませんが、持ち合い株式の解消が進む中、「20%」というハードルならネット議決権行使もそれなりの影響力を及ぼしうる、と考えることもできそうです。

株主提案権の数も増えていますし、議決権行使助言会社の推奨指針も会社側に厳格化する傾向にありますので、「この議案は20%以上の反対票が出るかも」といったことへの株主の関心も高まるかもしれません。

ただ、ネット参加する株主の質問票を「記入フォーム」で書かせるとなれば、会社側が都合の良い内容の質問だけをピックアップするようなことも予想されますし、5G環境が整備されるとしても、通信の断絶によって双方向性が確保されない事態も想定されることから、ネット参加による株主総会の手続的公正を図る仕組みが必要になりそうですね。

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