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「子育てするなら都心か地方か」論と、現代の「血筋」の問題

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finalvent.cocolog-nifty.com  

 上掲の、田端信太郎さんのツイートを踏まえて書かれたとおぼしき、極東ブログのfinalventさんのブログ記事を読み、ぼんやりとした気持ちになった。
 
 郊外に4000万円の居をかまえるのと、都内のタワマンに8000万円の居をかまえるのは、どちらが望ましいのか?
 
 田端さんのツイートには将来の価格のことしか書かれていないのに対し、finalventさんのブログ記事の後半には、子育てとそれに関連した階層化の話が付け加えられている。
 
 こうしたネットで見かける「郊外の家か、都内のタワマンか」の話には、【①物件の未来の価格可能性】の話と【②子育て上の利便性や可能性】の話が混じっていて、しかも②に関しては、【③比較する家庭の社会的・文化的状況の違い】が略されている。【④地方や郊外という時、想定されるのはどういった地方や郊外なのか】も割と略されやすい。そんなわけで、万人を納得させる文章にはなかなか仕上がりにくい。
 
 たぶん、以下の文章もそのようなものだと自覚したうえで、地方で子育てをする者の一人として、自分の考えを書いてみる。

物件の価格は、都内に近いほど有利

 
 まず、あまり興味の無い①の問題を済ませてしまおう。
 未来の物件の価格、という視点でみれば、地方は都心にまったくかなわない。地方の物件に手を出すより東京首都圏の物件、それも都心の物件に手を出したほうが有利なのだろう。
 
 地球温暖化や大震災などのリスクを考えるなら、都心といえども無敵というわけでもあるまい。とはいえ確実視される少子化を踏まえるなら、物件の価格は都心ほど維持されやすく、都心から離れるほど下落しやすいとは予測できる。
 
 この点でいえば、地方都市のはずれに土地を買って家を建てるのが一番どうしようもなくて、数十年後には負の遺産になると覚悟しなければならない。
 
 ただし、地方都市のはずれ~都心の間には無数のグラデーションがある。ひとことで郊外と言っても、たとえば埼玉県や千葉県や神奈川県の、濃密な鉄道網に沿った物件がどれぐらい値下がりするものだろうか。
 
 東京首都圏の鉄道網があてになる限り、案外、東京首都圏の郊外の土地や物件は決定的には値下がりしないように私には思えてしまう。東京首都圏の鉄道網の沿線と、政令指定都市の物件を比べて、30年後により値下がりしているのはどちらだろう? 都心のタワマンには一生縁が無いように思われる私には、そういう比較のほうが気になる。どちらにせよ、地方都市辺縁の物件に比べればまだしも未来があるようにみえる。  

「都内の子育てのアドバンテージとは何か」

 それより②の問題、子育ての利便性や可能性について考えてみよう。
 
 都内での子育てについては、しばしばこんなことが言われている――「東京は博物館やイベントが充実しているし、人脈も豊富。だから子育てには有利」といった内容のものだ。
 
 本当にそうだろうか。
 
 東京は博物館や図書館といった文化インフラが充実しているし、イベントも日本一充実している。各方面のインストラクターも充実している。そういった可能性を語るなら、確かに東京は日本一に違いない。
 
 だが、そうした東京のインフラやイベントを大学進学以前から使いこなしている子どもが一体どれぐらいいるのだろう? もちろん、そういう子どもだっているだろう。とはいえ東京首都圏の凡百の子どもが皆、そこまでインフラやイベントを使い倒しているものなのか。
 
 都内と地方都市の末端を比較するなら、そうしたインフラやイベントの差異は埋めがたく、なるほど都内に軍配があがろう。しかし博物館や図書館にしてもイベントにしても、地方の中核都市にも「それなりのもの」は揃っているし、ほとんどの子どもは「それなりのもの」で事足りてしまうのではないだろうか*1
 
 あるいは普段は地方都市のインフラやイベントで間に合わせ、ここぞという場面では上京する、というやり方だってある。「地方で4000万の持ち家か、都心で8000万のタワマンか」という二者択一を考えられるような経済的・文化的状況にある家庭の子どもなら、よほど僻地に住んでいるのでもない限り、必要な時に上京するようなライフスタイルは十分やってのけられるはずである。
 
 もし例外があるとしたら、東京の第一人者をインストラクターにしなければならないレッスンを、大学進学前に受けなければならないようなシチュエーションぐらいか。だが、そこまでの可能性を必要とする子どもが一体どれぐらいいるのかわからないし、そこまでの可能性を可能性として求める親がどれぐらいいるのかもわからない。
 
 たとえばの話、都内のタワマンに余裕綽々で入居する人ならともかく、ローンを組んでカツカツに暮らすようなファミリーに、子どもの可能性をそこまで拡充する経済的・心理的余裕があるものだろうか。

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