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「大阪には野党が学ぶべきモデルがある」気鋭の政治学者が語る“大阪維新の会”強さの秘密

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若い学生が悪いイメージを抱く「野党」

—地方政治から固めて成功するという話は、国政での現状の野党に対する批判にも通じる内容です。

多くの野党は色々な公約を掲げていますが、実際に自分たちに何をしてくれるのかがわかりにくい。橋下さんは自分でも実績をPRしていましたが、SNSなどのツールを用いて有権者とコミュニケーションをとることが出来ているから支持されているんだと思います。

野党は国政選挙で、自民党批判を中心に訴えていくことがほとんどです。もちろん、掲げている大きな理念は正しいのかもしれないけど、有権者にダイレクトに響くような実績はそれほどなく、政権を取る意志もないように見える。だから、維新の会が大阪でやっているように、どこかの自治体で実績を作って「私たちはこういう改善を実現したから評価してください」というやり方をすればいいと思います。

—地方政治での実績をアピールして、国政での支持に結びつける戦略をとるべきだと。

今回の参院選ではれいわ新選組が目立ちましたが、山本太郎氏もそういう方法をとることを考えても良いのではないかと思います。あるいは、それが難しければお金の分かりやすい話をするという方法も一つです。

自民党は国政で政権運営を長く担当しているので、今の政府が行っていることに不満がなければ有権者は自民党に投票しようと考えます。与党は「あなたの生活を良くします」っていうメッセージも明確な一方で、他の野党はそういうことができていない。だから有権者に「この人たちが政権とったら自分たちが得するな」と思わせることができないと、選挙で票は集まってきません。民主党が政権とった時は高速道路無料化や子ども手当など、もう少し訴えていることが分かりやすかったですよね。

—今と当時ではだいぶ印象が違いますね。

今、講義を受けている学生に聞いても、野党、特に民主党系はイメージが非常に悪いです。当時のことを知らない世代なんですけど「またあの時代に戻ったらいけない」「民主党政権は最悪だった」って言うんです。でも、野党にそういうラベルが貼られているのは事実で。

悪い印象を強く持っていなかったとしても、野党に対して良いイメージはあまりない。自民党の批判はするけど何もしない、実際に政権を担わせたらめちゃくちゃだった、というイメージで捉えられているんですね。ただ、維新の会はそのグループに含まれていないんです。大阪では与党で実績を作っているし、国政でも安倍さんたちと関係が良いんでしょう、と思われるイメージ作りに成功している。

—当時を知らない学生でも、野党に悪いイメージを持っているというのは興味深いですね。

今年の2月に遠藤晶久・ウィリージョウ『イデオロギーと日本政治』という本が出版されて話題になったことなんですけど、若い世代はもう「保守」と「革新」って意味がわからないんです。昔は自民党が保守で、社会党が革新といった右派左派の意味合いが通じましたが、若い世代に聞くと保守が共産党で、革新といえば維新で、その次に自民が来る、と思っている人が一部いる。だから維新の会は若い人にとっては改革政党のイメージが強くて、そういう意味では他の野党とは違う扱いになっているんです。

—なるほど。今後も現状のような与野党の力関係は変わらなそうですね。

個人的にはれいわ新選組に少し期待しています。極端な話もありますが、あのくらいやらないと不甲斐ない野党のイメージを打破できないですよ。もし山本太郎さんにアドバイスするなら、地方に進出した方が良いということは言いたいですね。日本では地方の首長の権限が大きい政治制度になっています。予算が組めるし、条例も通せる。そこで実績を出したことをアピールすれば、国政での支持も広がって行くんじゃないのかなと。

ただ、今は本当にそれくらいしか希望がないとも感じています。他の野党は政権を取りに行く気がないし、政権を奪っても何がしたいのかもよく分からない。各党には固定の支持層がいますが、それぞれがバラバラに動いているから自民党が選挙で勝つという構造はすぐには変わりません。

民主党が選挙で政権交代した時は、初めて日本で政党間競争が行われたと思いましたが、今は元の55年体制に戻っている感じがします。政治の雰囲気としてはまだあの時の方が良かったかもしれませんね。

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