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日米大争奪戦は大船渡・佐々木から星稜・奥川に〝鞍替え〟 - 新田日明 (スポーツライター)

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(Santa_Papa/gettyimages)

聖地を席巻した。第101回全国高校野球選手権大会で星稜(石川)のエース・奥川恭伸投手(3年)が3回戦の智弁和歌山(和歌山)戦で延長14回を投げ抜き、165球で3安打1失点の完投勝利。自己最速タイの154キロを連発させながら23奪三振もマークし、夏の甲子園では作新学院の江川卓(プロ入り後は巨人)に並ぶ奪三振記録を作り上げて強烈なインパクトを残した。

高校最速163キロを誇る大船渡(岩手)・佐々木朗希投手(3年)や、横浜(神奈川)・及川雅貴(3年)、創志学園(岡山)・西純矢(3年)とともに「高校ビッグ4」と称されている。その3人が予選で敗退する中、ただ1人だけ今大会の出場権をつかむとチームをベスト4へと導いた。

ストレートは球威、球速ともに十二分。そしてコーナーへ丁寧に投げ分けられる制球力も兼ね備えている。変化球も多彩でスライダーにチェンジアップ、カーブ、そしてストレートと同じ腕の振りから投じられるフォークも兼ね備えており、ネット裏の12球団プロスカウトからは「配球の組み込み方も高校生の域を超えており、現状のままでもベストピッチならばプロ選手を翻弄させられる」との声まで上がっているほどだ。

甲子園でデータ収集を行うプロスカウトたちは例年、1回戦から2回戦にかけて、出場メンバーを一通りチェックし終えるとスタンドを後にするケースがほとんど。ところが今年はまだ一部球団のスカウトが居残る異例の事態となっている。

その理由は奥川だ。まず7日の初戦・旭川大戦(北北海道)では95球、散発3安打で〝令和完封1号〟に名乗りを上げた。13日の2回戦・立命館宇治戦(京都)では2イニングのリリーフで154キロを計測し、自己最速記録を更新。そして17日の3回戦で23Kの奪三振ショーを見せつけられたのだからスカウトたちは「帰るに帰れない」という心境のようだ。

18日の準々決勝・仙台育英戦こそ、さすがに前日登板の疲労が残っている影響でベンチ待機に終わったものの、エースを休ませるために一丸となった打線が猛打を爆発させてチームも大勝。前夜に宿舎で開かれたミーティングでは3回戦完投直後の疲れも気にせずチームメートを鼓舞するなど、マウンドに立たなくても奥川の存在はキラ星のごとく光り輝いている。

あるセ・リーグ球団のスカウトは、次のように口にした。

「もともと高いポテンシャルを持っている投手であることは言うまでもない。だが甲子園という大舞台が奥川君をさらに成長させているのは紛れもない事実。炎天下の中、プロ選手も使用する甲子園のマウンドで全国の県予選を突破した代表校を相手に、あれだけ堂々とした投球ができる対応力と潜在能力は今の高校球児の中でも抜きん出た存在だ。

特に智弁和歌山には彼と同じように今秋のドラフト会議で上位指名候補と目されている好打者が複数いる。その強豪校をたった1人できりきり舞いにさせたのだから末恐ろしい。しかも多くの観客が集まり、日本中の注目も一身に浴びる重圧の中でこれだけのスーパーピッチができるのだから、彼こそが本物の『令和の怪物』だろう」

ちなみに「令和の怪物」といえば、高校最速163キロ右腕を誇る大船渡・佐々木の異名だ。しかしながら前出のスカウトは「この異名は個人的には奥川君のほうがふさわしいと思う」と述べ、こう続けた。

「分析の仕方は各球団によって三者三様だろうが、我々の球団は現段階で奥川君のほうが佐々木君よりも総合力では上と考えている。実は当初、我々は佐々木君のランク付けを奥川君よりも上にしていた。だが今や、それも完全に覆った格好だ。

その理由は簡単に言えば、この夏の甲子園という大舞台で奥川君が彼自身の引き出しの奥深さを見せつけてくれたから。何よりも佐々木君は甲子園に来ておらず、重圧のかかる中で強敵相手にどれだけのピッチングを見せられるのかは未知数。

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