- 2019年08月16日 21:28
対韓輸出優遇見直しの理由(下)欧米の人種関係に害
1/2岩田太郎(在米ジャーナリスト)
【まとめ】
・韓国の主張は欧米諸国の歴史的正統性を脅かす。
・韓国併合が無効ならば、米国のハワイ併合も無効になるはず。
・朝鮮人は植民地支配の被害者でもあり、日本の協力者でもあった。
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韓国側の対日宣伝戦といかに効率的に戦うべきか、連載の前回は「覇権拡張を企てる中国に寝返った韓国の反日は、欧米の価値観や自由や経済的利益を害する」という観点から、いかに国際社会に対して韓国の害悪を説くべきかを地政学的観点から解説した。
最終回の今回は、韓国側が広める「1965年の日韓基本条約は無効」「1910年の日韓併合条約は国際法違反で無効」との認識が、いかに白人欧米諸国の成り立ちを否定し、元植民地や国内の有色人種からの賠償請求や領土放棄などにつながる「パンドラの箱」を開けることになるかを、それら諸国に理解させる道筋を示す。
また、米国において韓国系米国人が先住民や黒人などの権益を損ねる「白人支配の先兵」の有力な勢力であり、「植民地支配の被害者としての正統性」という主張が正確ではないことも示し、韓国の宣伝戦の「根拠」を突き崩す。
■ 脛に傷持つ欧米の弱点を利用
欧米諸国においては、韓国が日本の苛烈な植民地支配の被害者であったという認識が広範に行き渡っており、特に従軍慰安婦が多数強制連行され、日本兵の性暴力の対象になったとのナラティブが主流である。
この場合の日本人の立ち位置というのは、日本以上に過酷で残虐な植民地支配を行ってきた欧米人が、自分たちと同等、あるいはそれ以上にひどい植民地化を行った有色人種だ。
白人たちは日本の不正義の被害者の側に付くことによって「不正義をくじく正義の白人」という自己イメージを作り上げ、自分たちの先祖の悪行の償いとし、自分たちの過去に対する無実のアリバイを得るという倒錯した構図である。
また、韓国の主張を言い値で受け入れることは、「女性の被害者の言い分は検証しなくてもすべて真実」という欧米白人フェミニズムの根幹的主張と重なるため、フェミニスト言説が言論空間を支配する欧米において有用とみなされる。
こうしたことから、欧米人は一般的に韓国の主張をほぼ無条件で受け入れる。だが、それは両刃の剣でもある。なぜなら欧米は、先住民や黒人奴隷の子孫や元植民地の有色人種から、主権回復や領土の明け渡し、補償を求める動きに現在も直面しているからだ。
もし欧米が当時認知した日韓併合が、条約形式や手続きの面で国際法に違反し無効であるならば、先住民の大多数の反対にもかかわらず米国が領土にしたハワイの併合の条約形式や手続きもまた重大な瑕疵があり、無効であるはずだ。
さらに、「韓国の源流と正統性は、1919年に上海におかれた臨時政府に由来する」という主張を認知するなら、近年ハワイ人たちが主権回復を求めて樹立した臨時政府の正統性をも、欧米が認めなければならないということになる。
また、慰安婦問題や徴用工問題において、自国内の有色人種や植民地の人々に対する謝罪も賠償も済んでいない案件が欧米には数えきれないほど多く存在し、韓国の主張に沿うことは補償問題、ひいては補償が完了している案件の蒸し返しなどを自ら呼び込むことになりかねない。
これは、欧米諸国の正統性や法的地位にまで及ぶ問題であり、本当に簡単に韓国の主張を鵜呑みにしてよいかという問いに行き着く。
このように、欧米が韓国の植民地支配被害の主張を受け入れることは、欧米人のアリバイ作りの段階では役に立つが、人種問題や歴史問題が世界中で先鋭化するなか、究極的には白人の利益にならないことを悟らせるべきだろう。
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