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生き抜くための武器は持ったかを問う『僕は君たちに武器を配りたい』(瀧本哲史・著)

 瀧本先生に「いや、長女が生まれたんですよ。令和の女ですよ」と冗談めかしてお伝えしたところ、先生は「令和なんて関係ないよ。いつの時代だって先は読めないし、時代で人や社会を切るのは君らしくない」とDISられた私が通ります。

 ということで、瀧本哲史先生の代表作『僕は君たちに武器を配りたい』をお薦めしておきたいと思います。

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 そういう激動の時代を生き抜く知恵をイノベーションに求め、瀧本先生はリベラルアーツ(教養)と偶然に求め、チャンスを生かして身を立てるためには学歴や教養のような誰もが決まった肩書に固執してはならないと説く。そして、見せかけのラベルによる分類で選択を誤ってはならない、真実や正しい選択に至るためには、考え、生き抜くための「武器」が必要だ、と瀧本先生はブレずに語り続けるわけであります。

 また、人を見抜くためには、何者であるかを経歴ではなく素養で判断し、知識を(相対的に)善たるものに使っていこうというのは、瀧本先生がかなり繰り返し仰っている「正しく時間(とき)を過ごすための本質」であったと思います。もちろん、極端な内面主義、精神志向が、時として読む人を選んだり、理解できない人たちに対する凄まじい軽蔑だったり、瀧本先生はいったい何千枚と重ねられた座布団の上から指南しておられるのだろうという垂直落下式上から目線を感じるケースもあったかもしれません。

 しかしながら、限りある命を削り言葉に乗せ多くの心ある有望な人たちの目を見開かせたいという、瀧本先生の精神の発露であった、と思うのです。普遍的(コモディティ)になってはならない、特別であれという当たり前の議論だけではなく、手に持った武器(教養やら知恵やら独自性やら)を何に生かし、人生に、社会に何をもたらすのか、己が厳しく律して、その精神(倫理やら同じく教養やら)をさらに高めていきなさいという、ある種の知的生産時代、情報化時代に研ぎ澄ますべき精神という「武士道」みたいなものを説いているわけですね。

 武器となる付加価値は、独自性をもたらすスキルの多角化、組み合わせであって、瀧本流の叱咤激励が活字として目を通して脳にブチ刺さるような不思議な感じを持つのが本書である、と言えばご理解いただけるでしょうか。

 奇しくも瀧本哲史先生の代表作となった本書は、はっきり申し上げて毀誉褒貶あるし、また、分からない人には分からない、平凡なお説教の繰り返しに読めるんじゃないかと思うんですよ。瀧本先生はそういう人はいいんです、そういう人であるならば、という突き放し方をする人物です。でも、私はそうであったとしても、生きていく中でいずれ気づくときが来て、やがて読み直してみれば「ああ。瀧本先生はこういうことを仰りたかったのだな」と思い返し、また、読み解くために再び本を開くことが来るのではないかと感じます。

 そして、そういうエッセンスは令和の時代の幕開けであったとしても、瀧本先生の気概と同様に何事もなく、これでそのまま行くんだと割り切るかのように、何一つ変わることなく今後も語り継がれていくことになるのでしょう。「ミーム」って、本来そういうものだと思うし、その言葉を見て「ああ、瀧本先生はこういうことを語りたくて歩んでこられた方なのだな」と思い返す人が、多く出るのではないかと感じます。

 安心して旅立つことなど人間にはできないのが本質ではありますが、その旅路が輝かしいものであることを、心から祈ります。ありがとうございました。




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