記事

ジャニーズのタレントは「特別な人間」ではない

1/2

※本稿は、霜田明寛『ジャニーズは努力が9割』(新潮新書)の一部を再編集したものです。

「元祖・ジャニヲタ男子」の作家・霜田明寛氏

■ジャニーズは努力でできている

努力は人を変える――。

そう、ジャニーズは教えてくれました。

中居正広と聞いてどんなイメージを思い浮かべるでしょうか?

多くの人が、そのバラエティ番組の司会者ぶりから、もともと明るく、機転の利く人という印象を持っているのではないでしょうか。

しかし、ジャニー喜多川は中居正広のことを「おとなしかった」と振り返り、本人も「話すのは、正直、苦手分野」「アドリブとか利く方ではない」と、10代から仕事に関するメモを書き溜め、今でも入念なシミュレーションをしてバラエティ番組にのぞんでいます。

今や俳優としての地位を確立している岡田准一には、毎日仕事終わりに、寝ずに映画を3本観て学んでいた日々がありました。

堂本剛は、Kinki Kidsとして成功をおさめた後も、ソロ・プロジェクトを始動させるために、自ら企画書を書いてコピーし、社内でプレゼンをする、というようなことまでやっています。

広く知られてはいませんが、ジャニーズのタレントたちは陰で必死の努力を続けていて、それぞれに「人生の哲学」を持っているのです。

■事務所からの連絡を15年間待っている

僕が初めて憧れた大人は、ジャニーズでした。9歳でSMAPに憧れ、15歳で同い年の山下智久の活躍に刺激を受けジャニーズ事務所に履歴書を送り始め、18歳でジャニーズJr.オーディションを受けました。

2009年、23歳のときに雑誌『SPA!』の「ジャニヲタ男子の奇妙な日常」という特集で、日本で初めて「ジャニヲタ男子」として取り上げられ、それ以降も、ジャニーズへの愛は冷めることなく、今も女性ばかりのライブ会場に勇気を持って乗り込んでいます。普段は、編集長を務めるWEBメディアで、俳優や映画監督にインタビューをし、人生の哲学や世に出るまでの努力の過程を聞いて、文章にしています。

ちなみにオーディションでは、事務所の女性に「皆さんはここに呼ばれた時点で、ジャニーズJr.研修生です。すぐに連絡が来なくてもあきらめないで待っていてください。時間が経って連絡することもありますから」と言われました。なので、現在の僕は「待っている」状況です。あれから15年が過ぎようとしています。

■ジャニーズ本人に思いを告白した日

元男闘呼組の岡本健一さんの舞台出演時に通った、西新宿の稽古場付近の公園。当時の感情を思い出すために定期的に足を運ぶ

冗談はさておき、「ジャニーズに自分の人生を変えてくれるような哲学がある」「ジャニーズは努力でできている」と聞いて、こう感じると思います。

「いやいや、彼らは“もともと”すごかったんでしょう?」と。

たしかに、僕もそう思っていました。

特別な星のもとに生まれてくる人と、それ以外の星に生まれてくる人――。

世の中にはその2種類しかいないと思っていたのです。

「ジャニーズは特別な星のもとに生まれた人たちなんだ」と、彼らと自分の間に線を引いていました。

しかし、そうではないと、ジャニーズ本人から突きつけられたことがあります。

オーディションに落ちた翌年。20歳の頃、端役ながら、元男闘呼組の岡本健一さんの舞台に出演する機会を得ました。稽古期間も3週間を過ぎ、だいぶ打ち解けてきた頃、休憩場で2人きりになった瞬間を見計らって、ずっと言おうと思っていたことを、岡本さんに伝えました。

「僕、ジャニーズJr.になりたいんです」

笑われるかと思っていました。「その顔で?」「その身長で?」「その歳で?」……何を言われるんだろうと怖くもありました。そもそもオーディションで一度落ちている身。自分が何者でもないということをあらためて突きつけられる可能性のほうが高かったと思います。

しかし、岡本さんは僕の目をまっすぐに見て、こう言いました。

「努力できる?」

岡本さんは、ルックスや運動神経のような生まれもった才能ではなく、「努力できるかどうか」の一点のみで、ジャニーズ入りの資格を問うてきたのです。岡本さんの目は真剣で、僕の直訴を一笑に付したりはしませんでした。

■初めて出会った「無謀な夢を否定しない大人」

現在持ち合わせている能力で判断するのではなく、未来を見て「やるのか、やらないのか」を問う。それは、ジャニー喜多川が人を選ぶときの「やる気があれば誰でもいい」という選抜基準と、驚くほど一致しています。その詳細は第2部で紹介しますが、もちろん当時の僕はそんなことを知るよしもありませんでした。

ジャニー喜多川がそうであるように、岡本さんは夢を笑わない大人でした。僕が初めて出会った、どんなに無謀な夢を語ったとしても、人の夢を否定しない大人。

岡本さんは、教えてくれました。ジャニーズの人たちが、小さい頃からどれだけ努力を重ねてきた人たちであるかを。

そう語る岡本さん自身、休みの日も稽古場に来て、空いているスペースでひとり稽古をしたり、他の出演者の様子をじっと眺めたりしていました。年下のキャストにアドバイスをするためだけに来てくれることもあり、その後、舞台演出家として活躍されるキャリアを思うと、演出家としての努力をしていたのかもしれません。

岡本さんをはじめとするジャニーズは、天性の才能を持って生まれてきたから、今の活躍があるわけではない。努力を重ねてきたからこそ、活躍できている――。

あわせて読みたい

「ジャニーズ」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    横浜市カジノ誘致でドンと対決か

    渡邉裕二

  2. 2

    報ステの立場を奪った羽鳥番組

    水島宏明

  3. 3

    不発多い韓国の不買 今回は成果

    WEDGE Infinity

  4. 4

    辟易する日韓問題は「踊り場」に

    ヒロ

  5. 5

    GSOMIA破棄 日韓対立は韓国に非

    和田政宗

  6. 6

    日本に国産戦闘機の開発能力なし

    清谷信一

  7. 7

    韓国側 輸出規制は関税より打撃

    ロイター

  8. 8

    福島産食品めぐる韓国主張に呆れ

    木走正水(きばしりまさみず)

  9. 9

    中国相手に香港問題 河野氏称賛

    やまもといちろう

  10. 10

    韓国政府が日韓GSOMIA破棄を発表

    AbemaTIMES

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。