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なんでもぶっ壊す! N国・立花孝志代表の侮りがたき時代感覚 ~ビジネスパーソンの言語学57


最近、説明や謝罪時の、違和感のある言葉遣いが話題になりがちだ。当コラムでは、実際の発言を例にとり、公私の場で失敗しない言葉の用い方を考える。ビジネスパーソンのための実践言語学講座57、いざ開講!

「NHKをぶっ壊す。マツコ・デラックスをぶっ壊す」ーーー生放送中のTOKYO MXを電撃訪問したNHKから国民を守る党の立花孝志代表

破壊は、ある種の快感をともなう。“ぶっ壊す”対象が大きければ大きいほど、その快感は増す。それは当事者でなくとも同じだ。かつて小泉劇場と呼ばれた小泉純一郎元首相が一躍国民的な人気を獲得するようになったのは、「自民党をぶっ壊す」という発言からだった。たとえそれが無謀で無茶な言動であったとしても、果敢に既得権益に挑む人間に人々はどうしても注目し、やがて巻き込まれる。

NHKから国民を守る党(N国)の立花孝志代表は、「NHKをぶっ壊す」と言い続けることで、国会の議席まで獲得した。NHKという巨大な既得権益に挑むドン・キホーテ。無謀で無茶で過激、そして行動力がある。選挙に当選すると丸山穂高議員や渡辺喜美議員など“訳あり”の議員に声をかけ、仲間に引きずり込む。

8月12日には、N国について「ふざけて(票を)入れている人も相当数いるんだろうな」、「今のままじゃね、ただの気持ち悪い人たち」と発言したタレントのマツコ・デラックスに抗議すべく、生放送中のTOKYO MXを電撃訪問。支援者約100人とともに“出待ち”を行った。テレビ業界で絶大な人気を誇るマツコ・デラックスもまたある種の既得権益なのだ。

「公共の電波で投票してくれた人の気持ちを侮辱するのは、許されないでしょ」

そして最後はいつもの決め台詞をアレンジ。

「NHKをぶっ壊す。マツコ・デラックスをぶっ壊す」

自身の言動を常にYou Tubeで配信するあたり、メディアの利用法も見事だ。小泉劇場は、政治の世界にテレビのワイドショーを巻き込み熱狂を生み出した。アメリカのトランプ大統領は、常に国民の目が自分に向くようにTwitterを駆使している。2人とも最初はただの変人扱いだった。だが小泉元総理は郵政省と郵政族議員、トランプ大統領は移民、両者とも分かりやすい“敵”を設定し、自らを無謀なドン・キホーテに見せることで多くの支持者を獲得した。

その主張・政策の是非はともかく、立花代表の言動と彼が巻き起こしている熱気は、彼らを彷彿とさせるものがある。実際、参議院選以降、N国のメディアへ露出は自民党よりも多いのではないだろうか。すべてを計算づくで行っているとするならば、その時代感覚は侮りがたい。問題は、「ぶっ壊し」続けた先に何があるのか。ただ荒れ地と瓦礫だけが残るようなことにならなければいいのだが……。

Text=星野三千雄 Photograph=Getty Images

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