- 2019年08月13日 06:15
パンや麺、カレー好きこそ摂るべき完全栄養食
3/3■どうして麺だったの?
【田原】どうして麺だったの? 主食といえば米もパンもある。
【橋本】単純に、僕がパスタ好きで日常的に食べていたことが大きいですね。お米も好きですが、自分で炊くのはちょっと大変なので。一方、パンは賞味期限が短くて、技術的に難しい。いまはパンもやっていますが、最初はインターネットでの販売が簡単なパスタかなと。
【田原】試作を1つ作るのに、どれくらいかかりました?
【橋本】買い物を含めると3~4時間です。当時は会社に勤めながら土日を利用して作っていました。じつはやり始めたときは、できないと思っていたんです。アイデアとしては誰でも思いつくものなのに、まだ世にないということは、もともと無理なのだろうと。でも、好奇心で試作していくうちに、退職して本気でやれば作れそうな手ごたえが出てきた。当時はDeNAの自動運転チームが20人くらいに増えていて、僕が1人抜けても前に進むくらいに勢いがついていました。そこで退職して起業することにしました。
【田原】上司は賛成してくれた?
【橋本】最初は「IT企業出身の人間が麺を作って起業するのは、リスクが高いんじゃないの?」と反対されましたが、それでもやりたいと言うと、「ダメだったら戻ってこい」と快く送り出してくれました。
【田原】栄養食品一本に集中できる環境になって、何から始めましたか?
【橋本】しばらく1人で麺を作り続けました。満足いくものができるまで、100回は作ったかな。最初は茹でたらドロドロになって麺じゃなくなるレベルだったし、何よりまずかった。煮干しとココアと大麦若葉とかを混ぜたりするので、めちゃくちゃまずいんです。最初はビタミンが一番豊富な食材、ミネラルが一番豊富な食材というようにオールスターで組み合わせるから、スター選手ばかりでバランスが悪いサッカーチームみたいになってしまって(笑)。
【田原】おいしいものができた後は?
【橋本】特殊な麺を得意にしている岐阜の製麺所をインターネットで見つけて、まず1000食作りました。資金は自分の貯金と、政策金融公庫からの融資で賄いました。
【田原】作った後は売らなきゃならない。どう売りましたか。
【橋本】最初はアマゾンで売りました。知ってもらうためにやったのがクラウドファンディング。ありがたいことに友達がSNSで拡散してくれて、約200人の方が参加してくれました。本格的に売れ始めたのは、17年2月に三軒茶屋のイタリアンレストランで試食イベントをしてから。それがニュースになって、1週間に3000食ペースで売れ始め、アマゾンの食品ランキングで1位になりました。ちなみにいまは自社のホームページで販売しています。
【田原】どうしてインターネット? 多くの人に届けたいならスーパーに置いてもらってもいいよね。
■お客様の反応を見て、より自然でプレーンな味に
【橋本】いずれはスーパーやコンビニにも置きたいと思っていましたが、いい商品にしていくために、最初はお客様から近いほうがいいと考えました。スーパーだとお客様が見えづらいので、まずは直販でお客様の意見をいただきながらやっていこうかなと。実際、麺は発売から4回、大きなアップデートをしているし、パンも3月に発売して1回アップデートしています。麺は当初“健康の味”がしましたが、お客様の反応を見て、より自然でプレーンな味になっています。
【田原】試食させてもらったけど、たしかにクセはない。下手に味をつけると好き嫌いがあるから、逆に売れなくなるかもしれない。いまどのくらい売れてますか。
【橋本】麺とパン合わせて累計で50万食以上で、パンは販売開始から2週間で2万食を突破しました。お客様のボリュームゾーンは30~40代。でも、50~60代の方も多く、わりと幅広く売れています。男女比は半々です。
【田原】そんなに売れるなら、競争相手が出てくるでしょう。
【橋本】日清食品さんが完全栄養の麺を作り始めました。パンは世界で僕たちだけです。
【田原】大手の参入は脅威ですか。
【橋本】気にしてないというのが正直なところです。後から日清食品さんが入ってきてくれたおかげでメディアで完全栄養食が取り上げられる機会が増えて市場が広がるので、参入はむしろいいこと。もちろん競合に負けるつもりもありません。大手は完全栄養ではない炭水化物中心のインスタント食品も作っているので、それだけに専念している訳ではない。僕らは完全栄養食だけだから本気で売れる。十分に勝負できます。
【田原】海外展開はどうですか。
【橋本】18年、サンフランシスコにオフィスをつくりました。アメリカでは19年の秋から販売開始予定です。海外展開に苦労している日本のベンチャーは多いですが、いまは日本食ブームで、ラーメン屋さんや寿司屋さんが増えています。それを追い風にして、日本人が作ったおいしくて健康的な新しい主食として売っていけたらなと。
【田原】将来は売り上げがどれくらいになるだろう。
【橋本】主食市場は世界で100兆円あります。いまは炭水化物中心の不健康な主食ですが、将来は100%栄養バランスのいい主食に入れ替わるはず。10%入れ替わるだけでも10兆円で、そのうちの半分を取れば5兆円になる。それくらいのポテンシャルはあるビジネスです。
橋本さんへのメッセージ:世界の人々の健康を、主食から変えてみろ!
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ジャーナリスト
1934年、滋賀県生まれ。早稲田大学文学部卒業後、岩波映画製作所へ入社。テレビ東京を経て、77年よりフリーのジャーナリストに。著書に『起業家のように考える。』ほか。
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ベースフード CEO
1988年生まれ、大阪府出身。甲陽学院高校、東京大学教養学部卒業後、DeNAに入社。ゲームのプロデューサー、駐車場シェアリングサービス、自動運転ビジネスの立ち上げなどに従事。2016年4月にベースフードを設立した。
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(ジャーナリスト 田原 総一朗、ベースフード CEO 橋本 舜 構成=村上 敬 撮影=宇佐美雅浩)
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